【悪用厳禁!?】悪魔の傾聴|中村淳彦

悪魔の傾聴
  • 会話も、人間関係も、思いのままに握る手法があれば、知りたいですか!?
  • 「悪魔の傾聴」がそれかもしれません。
  • なぜなら、「人の話を聞くこと」は、誰しもが望んでいることなのに、だれもその方法を教えてくれないからです。
  • 本書は、ルポライター中村淳彦さんによる、傾聴に関する1冊です。
  • 本書を通じて、聞くことの可能性を知り、本当の意味での聞くことについて手法を知ることができるでしょう。
中村淳彦
¥1,386 (2024/02/23 16:08時点 | Amazon調べ)

やってはいけないことで、傾聴を知る!?

悪魔の傾聴とは、「相手から本音を聞き切ること」、または「本音を引き出すことで、相手の問題や疑問、現状の答えを相手から導き出すこと」です。傾聴のスキルを高めることで、相手との関係を意のままにコントロールすることができるのです。だから、「悪魔」。悪用厳禁です。

そもそも、人には「話したい」「伝えたい」という願望があります。誰しもが持つ、この願望を軸に、傾聴について考える必要があります。相手ののぞみを叶えるのです。

ですから、傾聴する側の人は、やってはいけないことがあります。それは、次の3つです。

  • 否定する
  • 比較する
  • 自分の話をする

これは、本書の中で最重要ポイントとなっています。繰り返しこの3つについて、角度を変えながら説いてくれていると言ったも過言ではないです。

相手の考えを否定してしまっては、相手の話が続きません。また、相手の提示した概念に対して、比較対象を用いたり、あるいは優劣をつけたりしては、当方のジャッジの視点を加えることになってしまいます。そして、最悪なのが、自分の話をしてしまうこと。これでは、傾聴の入り口には立てません。

誰でも、話したいことを聞いてくれた相手、希望を叶えてくれた相手には好印象を持ちます。

2基本技術 ピックアップ・クエスチョン

傾聴のためには、自分のエゴも捨て去る必要があります。相手の感情と欲望を引き出すときに、自分の感情と欲望はじゃまになるためです。

感情と欲望の雪だるまを作るには!?

本当に必要なスタンスとは、「相手に興味や好奇心があって、知りたい、聞きたいという気持ち」です。この気持さえあれば、適切な質問が浮かびますし、相手が本音を語ってれるようになるでしょう。

また、相手の語りの強さも想定しておく必要があります。例えば、「死」など強いインパクトのあるテーマなどで、返しが来たときに、受け手の度量が試されます。普段から強い精神状態やメンタルを作っておくことも重要になるかもしれません。そのためには、自分の受け皿を大きくできるようなさまざまな経験で、価値観をアップデートしていく必要があるのです。

相手は聞き手の受容力の範囲内でしか語ることはありません。会話は話し手と聞き手の情報交換であり、聞き手の理解の範疇でしか情報交換は成立しないからです。

30 相手が自殺未遂の体験を語りだした

過去の投稿「【人間OSの高め方とは!?】リフレクション(REFLECTION)自分とチームの成長を加速させる内省の技術|熊平美香」における価値観の定義がここでは、別の視点で参考になるかもしれません。

大切なのは、「欲望の断捨離」です。相手に好かれたい、自分をよく見せたい、自分から働きかけないといけないなどということは捨てる必要があります。自分の欲望や感情が、相手の欲望や感情の出現を邪魔してしまいます。

中村淳彦
¥1,386 (2024/02/23 16:08時点 | Amazon調べ)

傾聴に際して、相手が発した「キーワード」を起点に質問を展開させましょう。「あれ?」と思った内容を掘り下げて、あとは、雪だるまが斜面を下るように、相手の感情や欲望を物語として語ってもらえばいいのです。その時、受け手は、その雪だるまを向かいたい先へ向かわせていく、ガイドが必要になります。反対に言えば、雪だるまを転がすのは、相手方の斜面であるので、受け手はガイドさえすれば、あとは、自動なのです。

「質問→返答→質問→返答→……」というリズムで、相手の物語を膨らましていく、創造的な関係性が、傾聴です。

時間、ミラーリング、心のセンタリング!?

相手の言葉を受け取るにも、限界があります。中村淳彦さんは、最大でも120分。平均して90分程度が限界だといいます。それ以上の時間をかけても、言葉が受け手側に入ってくることはありません。

濃密な時間が必要です。だから、実はインタビューは、本題から入ってしまってもかまわないといいます。私たちは、どうも誤った関係性構築の理想を持ってしまっているようです。

<誤>
・まずは相手と雑談しながら、リラックスしてもらう。
  ↓
・相手が心を開いて、たくさん語ってくれる。
  ↓
・信頼関係が結ばれ、なんでも語り合う深い仲になる。

<正>
・欲望の断捨離をした状態で、すぐに本題に入る。
  ↓
・すべて相手軸で聞く。自分の話は必要最低限にする。
  ↓
・語りながら相手は心をひらき、勝手に信頼関係が形成される。

前提を変えましょう。

また、相手軸に立つときに「ミラーリング」も意識したいポイントです。これは、相手と同じ姿勢、体制、言葉遣いで、相手の語りとリズムを合わせることです。そのため、メモも必要最低限に止め、また、相手が敬語ならば、敬語。くだけた言葉なら、様子を見ながらくだけた言葉にしていくことで対応するのもGOODでしょう。

また、ジャッジをしてはいけません。何が良いか、悪いのかは、相手が決めることで、受け手が差し挟むことではないのです。だから常に「心のセンタリング」が必要です。そして、仮に相手が超すごい人であったとしても、フラットな関係を意識しなくては、傾聴は生まれません。

尊敬という感情は、言い換えれば、コミュニケーションの断絶です。

27 立場が圧倒的に上の人物と話すとき

いっさいの感情は、断捨離すべしです。

話し手の語りは理解するのではなく、受容する。そして、共感して情報共有する。それだけのことです。そう考えないと、とても相手の語りのゴールには到達できません。

31 壮絶な人生を語る相手に対して

まとめ

  • やってはいけないことで、傾聴を知る!?――3つです。「否定する」「比較する」「自分の話をする」
  • 感情と欲望の雪だるまを作るには!?――相手のキーワードを起点に、質問→返答を繰り返し、相手の感情と欲望の物語を創造していきましょう。
  • 時間、ミラーリング、心のセンタリング!?――これらを意識して傾聴に望むことです。また、経験を積み、受け手の受容力を高め続けていきましょう。一生ものです。
中村淳彦
¥1,386 (2024/02/23 16:08時点 | Amazon調べ)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!