- 情報環境の変化や経営環境の変化で、B2B営業の手法や方法がどんどん変わってきています。
- 実は、そんなときでも、「顧客のもとめること」に対して、機能価値やコストなど数値化できる指標だけではなく、定性的な指標についても、真摯に向き合うことが大切です。
- なぜなら、B2B営業の現場でも、実は提供している価値ののりしろは非常に幅広いのです。
- 本論文は、B2B営業の現場で使える顧客価値を40で分類したものです。
- 本書を通じて、営業のアプローチについて、論点を見つけることができるでしょう。
B2B営業に変革が求められている!?
B2B製品がコモディティ化している中で、顧客は購入の際に、価格や仕様などの合理的な要素だけではなく、その他の要素に対してもケアをするようになりました。これが最大の変化です。
たとえば、「買い手の評判を高めるか」「不安を減らすか」などです。
この論点の変化を見極めなくては、顧客が「導入したい!」「買いたい!」と思えるような営業活動は難しいでしょう。
買い手にとっての最重要事項は何なのかを考察し、40の基本的な「価値要素」を特定した。
法人顧客が購買を決める40の「価値要素」
本論文には、この価値要素が網羅されています。これらを学ぶことで、顧客の求めていることはなにか?についてチームで議論することが可能になります。
基本要素をくくる5大テーマとは!?
ずばり、40は、5大要素にくくられています。
1)必要最低限の要素・・顧客にとって容認できる価格で、指定された仕様に合わせて、法規制を遵守しつつ、倫理基準も守ることを満たします。
2)機能的要素・・コスト削減や拡張性など、企業の経済的なニーズや製品の性能に求められる要件です。
3)ビジネスをしやすくする要素・・たとえば、顧客の生産性の工場(時間の節約、労力の軽減)、業務遂行能力の向上(簡素化、整理・整頓)などを実現させることで、純粋に客観的な価値を提供するものです。
4)個人的要素・・実はB2B営業によっても個人的要素は影響する場合があります。これは、私的な要素で不安の軽減、魅力的なデザインや美観などが対応します。それぞれの買い手の優先事項に対応することで、別の種類の主観的価値を与えるものです。
5)インスピレーション要素・・これは、たとえば、顧客の将来展望を好転させる(市場の変化を予測し、それに備えるのを支援する)、組織や買い手個人が将来に希望を持てるようにする(たとえば、安価かつ容易に次世代技術へと移行できるという期待)、企業の社会的責任の実践を後押しすることなどです。
このように、B2B営業の現場とはいえ、顧客のニーズは多様化しているのです。当然、これに応じて、提供する(あるいは顧客と共有する)価値が異なってくるのです。
さらに、
複数の顧客要素で秀でると、見返りがどれほど大きいかが明らかになった。
最も重要なのはどの価値要素か
なのです。
1点突破で営業をかけるのではなく、複数のレイヤーで、価値を提供することを語るのです。さらに、製品だけが商品ではありません。顧客体験全体が提供価値を生むのです。つまり、サービス、サポート、対話、コミュニケーションなども、B2Bで洗練されるべきタッチポイントなのです。
顧客価値の見つけかた;5ステップとは!?
では、顧客がどんな点を望んでいるのかを把握するのはどうしたらいいでしょうか?本論文では、5つのステップを規定しています。
1)自社とライバルの価値提案を評価する
2)顧客と対話し、顧客体験を理解する
3)顧客にとっての価値を高める方法を想像する
4)修正、試験、学習
5)厳密な試験を行う
こうした、流れを参考にしながら、営業チームで顧客との対話に備える準備活動が欠かせません。
B2B企業のマネジャーは、提供する製品やサービスを改善して市場に投入する際に、数多くの選択肢と対峙する。希少な資源をどこに、どのように配分すべきか。法人顧客の優先事項には客観的なものもあれば主観的なものもあり、社内で意見が対立していることも多い。これらをすっきり整理するのは、えてしてやっかいだ。
実際の取り組み方
このやっかいを解決して、得意先貢献→サプライヤーの選定→意志決定に落とし込む作業こそが、「真の営業活動である」と言えるのです。
過去の投稿「【これが真のカスタマーサクセス!?】隠れたキーマンを探せ! データが解明した 最新B2B営業法|マシュー・ディクソン,ブレント・アダムソン,パット・スペナー,ニック・トーマン」もたいへんおすすめです!あわせて、ご拝読ください。
まとめ
- B2B営業に変革が求められている!?――商材のコモディティ化、情報化による顧客とサプライヤー間での情報格差の低減、経営環境の大きな変化などで、B2B営業の方法変化の要請がたかまっています。
- 基本要素をくくる5大テーマとは!?――「必要最低限の要素」「機能的要素」「ビジネスをしやすくする要素」「個人的要素」「インスピレーション要素」です。これらを複数満たしましょう。
- 顧客価値の見つけかた;5ステップとは!?――5ステップに沿って、まずは営業チームで検討しましょう。往々にして、顧客内でもさまざまな部門で価値要件のコンフリクションが起きているものです。これらをコーチングするのがB2B営業だと言えるのです。