【自ら問い続けよ!?】バリューのことだけ考えろ トップ1%コンサルタントの圧倒的な付加価値を出す思考法|松永エリック・匡史

バリューのことだけ考えろ トップ1%コンサルタントの圧倒的な付加価値を出す思考法
  • どうしたら限られたリソースで、成果をもたらすことができるでしょうか。
  • 実は、バリューに集中することが重要かも。
  • なぜなら、それが得意先の価値になり、社会の価値になっていくからです。
  • 本書は、仕事の本質を考える1冊です。
  • 本書を通じて、何のためのリソースなのかを意識して、瞬間を積み重ねることができます。

バリューで働け!?

著者である松永エリック・匡史さんは、プロのミュージシャンでありながら(なんと米国バークリー音楽院出身です)、コンサル業界に転身された異色の経歴の持ち主です。アクセンチュア、野村総合研究所、日本IBMを経て、デロイトトーマツ、PwCコンサルティングで働かれた後、独立されています。現在も大手企業に対して経営戦略等の伴走支援を実施しています。

そんな松永エリック・匡史さん、ミドルネームかと思いきや、ご自身でご自身を名付けたお名前だそうです。幼少期に南米や米国で過ごしてはいますが、海外にルーツを持つ方ではありません。本書の中では、なぜ、エリックという名前をご自分で設定されたのか、幼少期のお話などに触れていただいていて、お人柄もうかがえる内容になっていることもとても印象的です。

本書が一貫して説くのは、「『バリュー』にいかに向き合えているか」という問いを持てるかどうかです。コンサルティングの現場は、この「バリュー」を得意先に提供できるかがキーです。あらゆるシーンで、「バリュー」が発揮されていなければ、存在意義を問われてしまうハードな世界線だからです。

そして、私は今後、こうした「バリュー」思考が一般の多くの企業で働くすべての人にとても大切なものになっていくと感じました。

メンバーシップ型 vs ジョブ型という二項対立の中だけでは、これからの時代の働き方を定義しづらくなっていることはみなさんご承知のとおりだと思います。メンバーシップ型では、雇用がずっと保たれていきますが、メンバーの貴重な資源である「やる気」が削がれていってしまうように感じるし(そもそも、企業の体力が持たない!?)、ジョブ型はやっぱり稼げないし、不安定すぎて、一部の人にしか受け入れられそうもない・・。

こうした中で、ある種の自営業・フリーランスのような働き方への移行が進んでいくような世の中の流れが見えているようです。事実、働き方で先行するアメリカでは、就労人口に占めるフリーランスの割合が一定程度あります。

自営業やフリーランス的な働き方とは、まさに松永エリック・匡史さんが説く「バリュー」思考で駆動しているものです。限られたリソース(自分の時間、ノウハウ、体力、人脈)を投入して、最大の効果を生み出していくことを常に求められています。したがって、リソースの確保とアップデートが求められる(学びを続けていくこと)し、俯瞰した視点で、自らの「バリュー」が発揮される場所を探すことを志向します。

よって、こうしたことが言えます。

“バリュー思考”がビジネスパーソンとしての生き残りを左右する

はじめに

これからは、「バリュー」思考は、一部のハードワーカーのものだけではありません。社会と仕事で関わろうとする人すべてが身につけておきたい視点です。

ちなみに自営業的働き方を俯瞰するには、こちらの1冊「【自分で自分を営もう!?】「自営型」で働く時代――ジョブ型雇用はもう古い!|太田肇」も大変おすすめです。ぜひ、本書『バリューのことだけ考えろ トップ1%コンサルタントの圧倒的な付加価値を出す思考法』とあわせて、ご覧ください。

バリューとは!?

「バリュー」とは、付加価値のことです。コンサルティング業界では、この概念がとても大切にされてきました。そもそもコンサルティング会社に何をお願いするか・・ということですが、おうおうにして企業変革です。企業変革とは自分だけでは、とても難しいからです。なぜなら、人も組織も、自分自身のことはよくわかっているようで、よくわからないのが、常だからです。自分自身には、死角が多すぎるためです。

「バリュー」とは、付加価値であり、そして、相手に変革を導くことができる価値のことかもしれません。それは時に、視点かも知れないし、視野かも知れないし、実行プランかも知れないし、実行かもしれないし、いずれにしても相手方がこれまでとこれからの差分を感じられるなにかであることは確かでしょう。

コンサルティングのフィー(報酬)は高額です。なぜ高額なのか、ということですが、実は「専門家でないから」こそ、高額であると、松永エリック・匡史さんは言います。

それは、なぜか――

逆に言えば、専門以外の業界では門外漢で、井の中の蛙になってしまっていることもある。

なぜコンサルのフィーは高額なのか?

これは得意先企業のことです。

コンサルタントは、専門性は、得意先企業で叶うわけないものの、企業や業界、あるいは社会を俯瞰する視点や視座において、得意先に示唆を提供できるだけ、絶えず情報をアップデートしておく必要があります。

また、企業や組織をよりよく変革することができたという実績づくりを絶えず行っていく行動力も必要になるでしょう。さらには、そうした活動を行い続けることができるだけの、志を自ら研鑽しておく必要だってあります。

こうした意識の高さと、行動力によって、得意先に提供できるだけの付加価値を生み出す、自分自身というリソースを見出し続けることが可能になります。

さらには、「人格」を磨いていくことが、特に大切だと思われます。

「あなたの会社はだめです」と相手を否定したところで、相手の行動を引き出すことはできないでしょう。かえって、変革の気持ちが萎えて、当初の目的を達成することができないかも知れません。コンサルティグの業務は決して一方通行ではありません、先生ポジションを取るのではなく、まるでコーチングのように得意先に伴奏して、共に変化を見出していく課程こそに、「バリュー」は生み出され続けていくはずです。

そうした対話の経緯が、コンサルティグであるとするならば、相手をむやみに否定するということは、それすなわち自らを否定しているということにほかならないかもしれない、というスタンスを持てるかがキーです。

「この環境でよく今まで頑張ってきましたね。価値を出せば絶対に広がるはずです」というような、相手の心を感じた言葉を発することができるかが、問われているのです。

本当に大切なことは!?

であるからこそ、凡事徹底。

当たり前にできることをしっかりおこなっていく徹底さが何よりも大切です。

もちろん、「バリュー」という付加価値がなければならないのですが、考え方次第では、ごく当たり前のこと(とコンサルタント自身が思ってしまい、蔑ろにしてしまいがちなこと)を、しっかりと行っていくことが、実は企業運営や組織開発においては大切なのかも知れないと思います。

世の中は、上手くできています。理にかなっていれば、素直に成長していくことができるはずだからです。でも、その理にかなっている状態から、外れてしまうことが多くあるのです。

それは、組織の力学かも知れないし、人的リソースの集合の誤謬かも知れないし、あるいは、外部環境の変化も大きい。

そうした状況に俯瞰的になって、自分自身を顧みて、「何ができているのか・できていないのか」を把握すること、そこを行わないで、新しいことだけに集中してしまっては、何も変革は起きないのかもしれません。「伝家の宝刀」や、「魔法の杖」は、決してなくて、凡事徹底という足場がためをまずしっかりやる。余剰資源をもってから、新しい取り組みを行っていくことが、どれだけ大切かということを知ります。

そして、凡事徹底を図っていくことは何より、得意先からの信頼を得ることにつながっていきます。

凡事徹底により、信頼を積み上げる

凡事徹底により、信頼を積み上げる

上述のようにまるでコーチングのような伴走支援をしていくことが大切である時、自分と相手がバディになっていることがとても大切です。そしてバディであるには、互いを信頼関係の絆で結び目をつくることが欠かせません。

相手を知ることです。相手の一挙手一投足に対して、その背景を常に感じ、想像し続けましょう。何が原因か、ということに目を凝らしていった先に、凡事徹底の道を見出すことができます。

松永エリック・匡史さんは、「挨拶」と「感謝」を日常の業務でとても大切にされています。これこそ、まさに人が人とともに仕事をしていくうえで、欠かせないOSのように思います。相手を想う気持ち、互いにどうしたら気持ちよく仕事ができるかをまず考えてみることが大切かも知れません。

スキルを磨いて、だれもが「あっ!」と驚くような施策やプランを考えることも大切かも知れませんが、でも、本当に大切なことがなされていない中の打ち手こそ、悲しいものはないかも知れません。

バリューは自身のコンプレックスの痛みも癒やしてくれる。小さな成功体験(バリュー)を積み上げる過程で、見える景色も広がっていくものだ。

おわりに バリューとは生きることそのもの

冒頭、なぜ「エリック」さんと、自らを命名したのかについて触れましたが、幼少期のコンプレックスにあったと吐露されています。松永エリック・匡史さんは、得意先企業や社会と向き合いながら、同時にご自身と向き合っていきました。相手方に「バリュー」をもたらすことをご自身の喜びとしてシンクロしていった先に、自分を信じる気持ちに繋がり、そして、新しい自分にアップデートしていくことができました。

本書は、テクニック論ではありません。本書は、生き方について繰り返し問う、素敵な1冊であると思いました。仕事に、自分に、改めて向き合いたいそんなすべての方におすすめしたい1冊です。感謝。

まとめ

  • バリューで働け!?――バリューを生み出しているか、に集中してみましょう。
  • バリューとは!?――相手に変革をもたらすことができる付加価値のことです。
  • 本当に大切なことは!?――常に、凡事徹底であること、そこから世界が広がります。
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