【「無我の境地」は、ありえる!?】無(最高の状態)|鈴木祐

無(最高の状態)
  • 人生は、楽しくもあり、辛くもあり、でも、やっぱり苦しいもの!?そんな思いを日頃から感じてはいませんか!?
  • 実は、私たちを苦しめているのは「私たち自身」かも知れません。
  • なぜなら、私たちは、自然と自己とその物語という虚構を通じて、自分を認識しているからです。
  • 本書は、そんな物語を鳴り止ませて、「無我」という境地に達することへの処方箋です。
  • 本書を通じて、生きる苦しみについて客観性を持って考えるヒントを得られるでしょう。

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鈴木祐
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人類だけが「苦しみ」にさいなまれる!?

人間以外の哺乳類も生きるのに苦しみを抱くといいます。でも、それはあくまで「現在」に限ってのこと。過去や未来について苦しむのが人間の特徴です。

ひとつだけ動物と人間には重要な違いがあります。それは、哺乳類は苦しみをこじらせない、という点です。

1 なぜチンパンジーは半身不随でも幸福なのか?

なぜ、人間は、過去も現在も含めて、苦しみをこじらせてしまうのか!?それは、人間だけが獲得した「脅威に満ちた環境を生き抜くために必要な機能」が関係しています。

まず重要なのが、人間が抱くネガティブな感情はニーズが満たされないサインだという点です。

6 すべての苦しみは「自己」の問題に行き着く

たとえば、

  • 怒り=自分にとって重要な境界が破れたことを知らせる
  • 嫉妬=重要な資源を他人が持っていることを知らせる
  • 恐怖=すぐそばに危険が存在する可能性を知らせる
  • 不安=良くないものが近づいていることを知らせる
  • 悲しみ=大事なものが失われたことを知らせる
  • 恥=自己イメージが壊されたことを知らせる

と、こんな苦しみを人は抱くのですが、いずれも、「自己」が中心に存在するから感じる苦しみです。これらの苦しみの根源には、「自己」を認識してしまうという根本的な原因があるのです。

自己は、本当に存在するのか!?

しかし、幸いにもここ数年の認知科学や脳科学の発達により、自己についてわかりやすい考え方が生まれてきました。それは、自己とは、あなたの内面に常駐する絶対的な感覚ではなく、あなたの感情を支配する上位の存在でもなく、特定の機能の集合体にすぎないというアイデアです。

7 ヒトの心などなくしたほうが良いのでは?

ここで思い出すのが、過去の投稿「【本当のあなたの「個性」はどこにある!?】私とは何か「個人」から「分人」へ|平野啓一郎」です。本当は、「個人」というかっこしたものは、なくて、人は実際は、TPOにあわせて自分を使い分けている、そういう全体感を「分人」という言葉で表現している1冊です。まさに、自己というのは、本当は曖昧なものなのです。

でも、そもそもなぜ、「個人」でも「分人」でもそうですが、人は人から見られたときの自分=自己を認識することが得意になったのでしょうか。それを、今回の投稿の著者である鈴木祐さんは、社会やコミュニティを形成して、協力して生きていくようになっていくために必要な能力だったと言います。

・他者とうまくコミュニケーションし、自分が裏切られないかどうかを予測する
・他者からどのように見られているかを予想し、期待されたとおりに振る舞う

7 ヒトの心などなくしたほうが良いのでは?

近年の神経心理学では、この「自己」が持つ働きを次のように分類しています。

  • 1)人生の記憶:過去のイベントをエピソードとして想起する機能
  • 2)性格の要約:自分のパーソナリティのおおまかな概要をつかむ機能
  • 3)感情の把握:外界の変化に対して肉体が発するサインを感情として把握する機能
  • 4)事実の知識:自分に関する単純なファクト(年齢とか、国籍とか)を理解する機能
  • 5)連続性の経験:いまのわたしと過去のわたしを同一視する機能
  • 6)実行と所有感:自分がこの肉体の持ち主でありその行動と思考が自分の意志で決まると実感する機能
  • 7)内面の精査:自分の行動や思考、感情をモニタリングし、そこから得た情報をさらに新しい言動にする機能

という具合です。これらが発動できるのも「自己」という認識があるためです。どの機能が起動するかは、脳がオートマチックに選択します。

ただ、常にこうした「自己性」が働いているかというと、そうではないことも事実です。「我を忘れる」というのは、昔からいったもので、「フロー状態」のパフォーマンスが良いことなども、近年の研究でわかっています。じつは、「自己」は、機能していないことは、さほど珍しいことでもないですし、そして機能していなくてもあなたは作動するという事実があるのです。

1)自己は日常的に生成と消滅をくり返し、「わたし」がなくても問題ない状況が多く存在する
2)自己は人間が持つ多くの生存ツールのひとつであり、感情や思考といった他の機能と変わりない

9 やはり自己は消せるのではないか?

私たちは、脳のキャパシティを極力使わないように作られています。

例えば、毎朝自宅のドアノブの質感に刺激を受けていたり、その先の景色に驚いていたら、生きていけません。事前に予測されている質感や風景の中を生きているといっても過言ではありません。そことのズレを感じたら初めて目がさめるのです。そうでないことは、現実であっても脳の中で再生される事前の物語を生きるのです。

実際には自己という唯一の精神機能は存在しないにもかかわらず、脳が間断なく作り出す物語のおかげで、あたかも自己が絶対の存在であるかのような錯覚が生まれるのです。

6 ありのままの自分を探すのが不可能な理由

「自己」という物語が、私たちを苦しめている、真因なのです。

「物語」を止めるために・・!

自己は、自分が勝手につくり出した虚構の物語によって、さらに強化されます。よい物語だけならいいですが、歪んだ物語も生成されるのです。

たとえば、友人がそっけない態度をとった(と感じた)場合、過去の物語から適切なものを自動で、参照して、その状況を定義します。そこで、例えば「わたしは愛されていない人間だから」という自己認識に向かい、そして、勝手に苦しみを感じるのです。

本当ならば、「友人がそっけない」以上!であったはずなのに、勝手に自動的に、その先の自己という苦しみを感じてしまう・・。

なのであれば、この苦しみから逃れるには、物語を止める必要があります。

苦しみをこじらせる人は、すべてを「自分ごと」に捉える

5 苦しみをこじらせる人は、すべてを「自分ごと」に捉える

ここにヒントがあります。外界の変化をいたずらに「自分ごと」にせず、ただ脳内に起きた現象のひとつとして観察を続けるわけです。

この点、過去の投稿「【人生、軽やかにいきましょう!】反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」|草薙龍瞬」と非常に近い論点です。仏教でも、感情と距離を置いて、それを客観視することを進めています。喜怒哀楽も、「虚構として、心が見せていること」と、割り切るのです。

こうした訓練を続けていくと、私たちは脳が生み出す物語にまきこまれにくくなると言います。こうした「無我」の状態が、3つの世界観の変化をもたらします。

  • 1)無我はあなたを永遠の初心者に変えます。
  • 2)無我は変化への限りない受容力を生みます。
  • 3)無我はあなたに圧倒的な自由をもたらします。

本書の中では、さまざまなものごとの捉え方や考え方を提示してくれています。ぜひ、一度「無我」にいたる感覚を、エクササイズを通して体感してみてください。行動は、これすなわち変化なり!一緒に、新しい世界観を見つけていきましょう。

もっとも大事なのは、物語が苦を生むメカニズムを理解した上で、「”わたし”とは生命の維持機能がもたらす明滅である」という感覚を養い続けることです。

あなたがなくなったのは、いまに始まったことではない

まとめ

  • 人類だけが「苦しみ」にさいなまれる!?――人類だけが、「自己」が見せる物語によって特有の苦しみを味わっています。
  • 自己は、本当に存在するのか!?――自己は脳が勝手に作り出す虚構です。これが、なかったとしても、人は活動ができてしまいます。
  • 「物語」を止めるために・・!――脳内が見せる物語と距離を置くことです。無我になれると、3つのメリットを享受できるでしょう。

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