- トランスフォーメーション流行りです。いつのまにか「X」は、トランスフォーメーションの意を帯びています。こんなときこそ、俯瞰した正しい理解が必要かも。でも、なかなか情報を得るのは面倒だなと思っていらっしゃる方も多くいると思います。
- 実は、本書が、そんな方にとって非常に役に立ちます。
- なぜなら、当該分野で長年実績があり2019年にDXコンサルティング会社を立ち上げた八子知礼さんが、極めて広い視点から、トランスフォーメーションの背景、意味、事例を説明してくれるからです。
- 本書では、国の政策方針から始まり、個別企業の具体的な取り組みや、当該コンサルティング会社のDX化に向けたプロセスノウハウを公開してくれています。
- 本書を通じて、1つの俯瞰した視点から、トランスフォーメーション界隈を見ることができるでしょう。
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すべてのおいて「データ」主導の社会が来る!
国も、このチャンスを捉えようとしています。
AI・IoTの社会実装が進むことによって、サイバー空間とフィジカル空間が一体化するサイバー・フィジカル・システム(CPS)が実現し、データを最大限活用したデータ主導型の「超スマート社会」に移行していくことになる。
「情報通信白書」(令和2年版)
このことで、多くの恩恵が社会にもたらされる可能性が示唆されています。
端的に言うと、「フィジカル(現実)空間からデータを吸い上げ、サイバー(デジタル)空間において、AI等で分析を行った結果を再びフィジカル空間にフィードバックすることで、よりよい社会を実現しましょう」と説いてるわけです。
<1-1> すべてにおいて「データ」が主導する社会の到来
デジタルツインと呼ばれるのもこうした状況を俯瞰しています。
デジタル上に、精緻に観測された現実世界をそっくりそのまま創り上げると、分析して、予測して、フィードバックができるようになります。このためには、あらゆるもの・ことをデータ化して、蓄える体制を作っておく必要があります。
デジタルツインでもたらされるメリットを、国はこのように指摘しています。
1)暗黙知の形式知化
2)過去解析から将来予測への移行
3)部分最適から全体最適への転換
すべての状況が見える化する中で、経営に与えるインパクトは相当なものになります。
ちなみに、「デジタルトランスフォーメーション」に関する定義や背景は、総務省ホームページにも記載されていて、参考になります。
今後20年のトレンドを俯瞰する5つのステージとは!?
今後20年のトレンドを読む上での観点は、「①現実世界の仮想化」「②仮想世界のリアル化」「③業界の境目がなくなる」「④リモート化が進行する」「⑤SDGsとESG経営」の5つに大別できます。
第2章 今後20年のトレンドを読む上での大前提
「①現実世界の仮想化」・・・リアルな空間のあらゆる事象やモノがソフトウェア化、あるいはデータ化していく、つまりデジタル化することを意味します。
「②仮想世界のリアル化」・・・たとえば、携帯電話コンテンツの歴史を思い浮かべると、2G→5Gと移行する中で、より立地な体験をすることが可能になっています。
「③業界の境目がなくなる」・・・①と②の変化と同時に、これまで、便宜上境目が設定されていた業界の区分が曖昧になっていきます。たとえば、建設業でもデジタルデータを活用すれば、ITベンダーよりも遥かにデジタル化に詳しい業種となれたり、農作物の6次化加工業でもデジタルデータを活用すれば、遥かに効率的な物流拠点となりえたりします。
さらに自動運転技術が確立すれば、たとえば、移動するコンビニや飲食店が、地域の特性に合わせて、ものやサービスを届けることも可能になります。既存の業界区分が、デジタルデータと新たに登場する技術の掛け合わせの中で、融合し、新たな産業構造を作っていきます。
そして、「④リモート化が進行する」「⑤SDGsとESG経営」の実現に社会は進んでいきます。
こうした社会変革を支える技術について触れるには、過去の投稿「【1】2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ|ピーター・ディアマンディス,スティーブン・コトラー」や「【2】2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ|ピーター・ディアマンディス,スティーブン・コトラー」も合わせて、ご参考にいただけると思います。
中小企業ほど、トランスフォーメーションできる!
トランスフォーメーションは、デジタルデータを作るだけでは成り立ちません。もちろん、データ化する課題がありながらも、それを、運用活用する人(組織)の問題が必ずつきまとうからです。とくに大企業は、これまで構築してきた組織文化のレガシーがあるので、なかなか変化がむずかしい。
しかし、中小企業であれば、関与人員の少なさや結束力などを背景に、トランスフォーメーションを進めやすいといいます。ですが、資源面での課題は浮き彫りになります。
ただ、中小企業にとって悩ましいのは、スモールスタート戦略でデジタル化を実施した場合、デジタル化を進める過程で、投資規模の拡大が次第に難しくなっていく点です。つまり、資金的な要件が課題となる時間が訪れるのです。
<4-2> 中小企業のDX投資の回収のポイント
ここで、面白いのが、トランスフォーメーション後にもたらされる商売のタネも含めて、投資判断をしていこうという、姿勢です。
中小企業の経営者に対して、「デジタライゼーションへの投資額は5000万円程度は必要です」と伝えると、びっくりする人が大半です。ですが、そのような場合に私はまず、「投資から初めて、構築したシステムを外販していきましょう」と進言します。
<4-2> 中小企業のDX投資の回収のポイント
いわゆる「ダブルハーベスト」と呼ばれるものですね。たとえば、システム開発をまずは自社で行って、うまく言ったら、そのシステムを同業他社へ導入してもらう作戦です。
例えば、老舗食堂ゑびやの世界最先端DX「EBILAB」プロジェクトなどは、好例でしょう。自店舗のために開発した、顧客の入り予測システムを、外販して、投資回収を加速させています。
まとめ
- すべてのおいて「データ」主導の社会が来る!――デジタルツインを構築して、現実世界とサイバー空間を融合し、フィードバックできるような技術が確立されていきます。
- 今後20年のトレンドを俯瞰する5つのステージとは!?――「①現実世界の仮想化」「②仮想世界のリアル化」「③業界の境目がなくなる」「④リモート化が進行する」「⑤SDGsとESG経営」を見据えましょう。
- 中小企業ほど、トランスフォーメーションできる!――柔軟にスピーディに取り組める中小ほど、チャンスありです!ダブルハーベストも視野に積極投資をかんがえてみましょう。
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