【私たちは何を信じているのか?】現代思想入門|千葉雅也

現代思想入門
  • 私たちは、私たちが当たり前に思っていることに縛られながら生きているかもしれません。
  • 実は、そのあたりまえをちょっと待った!の気持ちで、客観的に見つめられるのが現代思想かもしれません。
  • なぜなら、現代思想とは、知の先端が深めている現代思想とは、60~90年代を中心にフランスで展開された「ポスト構造主義」という今、私たちの思考のパターンを見極め、そこにカウンターを当てようとした思考のことなのです。
  • 本書では、日本を代表する若手思想家の一人である千葉雅也さんが、極めて明快に難解な現代思想についての手引を示してくれました。
  • 本書を読み終えると、現代思想という切り口から、私たちの暮らの自由にまつわるヒントにふれることができるでしょう。

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千葉雅也
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本書では、ジャック・デリタ、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコーを取り上げ、とくにジャック・デリタの主張した「脱構築」について、3者を貫いています。

ジャック・デリタの考え

二項対立のむしろマイナスの側、劣位の側に味方できるようなロジックを考え、主張されている価値観に対抗する。そして対立の両側が互いに依存し合う、いわば「宙づり」の状態に持ち込む。そういう論法が「二項対立の脱構築」です。

ここまでのまとめ

世の中のものごとを「二項対立」で考えて、これをパターンとして全世界を覆う共通のセンスで捉えていくのが構造主義とのことです。これを否定しながらも一歩踏み込むのがポスト構造主義であり、本書の対象とする現代思想です。

私たちは、ものごとをしらずしらずのうちに「二項対立」で捉えがちです、例えば、自然 vs 文化/飲酒 vs 健康などなど。

「二項対立」には、プラスとマイナスがあります。そして、マイナスの側はいつでも「他者」です。そして、この考え、つまりいつでも他者をマイナスにしちゃうことに、ジャック・デリタの脱構築は介入します。

自分をプラスとして守るのではなくて、その反対の力、「自分は変わらないんだ。このままなんだ」という鎧を破って他者のいる世界にたいして開くことについて説きます。

これについては、著者の千葉雅也さんもスピリチュアルなものとして、仏教の「縁起」を照らしてます。

過去の投稿「【ラクがいちばん!】考えすぎない生き方1|藤田一照」にも記載がありましたが、仏教でも「他者との関係の中に自分があるのだから、そちらの方に開くとラクになれますよ」という風に説きます。不思議な一致ですが、これは専門家の解釈が登場することを待ちましょう。(千葉雅也さんも、「縁起」を登場させるけど、これ以上の解釈を述べていません)

ジル・ドゥルーズの考え

つまりA vs. 非Aという二項対立を超えて = 脱構築して関係しあっているということで、その意味で、リゾーム的に物事を見るのは「存在の脱構築」だと言えるのです。
そうすると、すべては関係している = 世界に無関係はない、ということになりそうですが、そこで改めて無関係が問題になる。AはBではない、という大ざっぱな無関係ではなく、リゾームのなかの多数の、多方向の無関係があるのです。

ここまでのまとめ

世界のものごとのすべては、時間軸の中にあって、固定的ではないということをドゥルーズは語っているといいます。すべてが過程で、もしかしたら、デリタ的なプラスもマイナスも入れ替わりながら、それも激しく入れ替わりながら、いまをつくりあげているのかもしれません。

「諸行無常」でしょうか。人間も、それが作った社会も、移ろいでいくのが世の常です。これに抗うことはだれもできない。

そして、人間は、生きつ死につしているから、その個体だって、移ろいで行くものです。細胞のひとつひとつはその直前とまったく同じ構成ではありません。

ミシェル・フーコーの考え

フーコーは、「権力は下から来る」と言い、弱い者がむしろ支配されることを無意識的に望んでしまうメカニズムを分析し、実は権力の開始点は明確ではなく、それこそドゥルーズ的な意味で、多方向の関係性(と無関係)として権力が展開しているという見方を示しました。

ここまでのまとめ

権力も複雑に成り立った結果であって、権力者が権力を振るうのは、弱者がそれを求めるからだということだそうです。

前に、どこかで、リーダーをリーダーたらしめるのは、フォロワーがいるからだということを読んだことがありました。もしかしたら、これも複雑な絡み合いの中の解釈かもしれません。

誰もが、リーダーであり、そしてフォロワーであるという前提で、人間関係を見ていくこと、新しい自由の視点が得られるかもしれませんね。

まとめ

  • ジャック・デリタの考え――世の中のものごとを捉える二項対立の良し悪しという枠組みについて、どちらも互いに依存しあっているとして、このどちらつかずの3つ目の視点を持つことに自由のヒントがあるかもしれません。
  • ジル・ドゥルーズの考え――ジャック・デリタ的な視点に立つと、すべてが無関係という前提で複雑に関係しあっているというふうにも捉えられます。
  • ミシェル・フーコーの考え――デリタやドゥルーズの視点にたち、権力を見ていくと、これまた複雑な下から上を支える構造見えてくるようにも思えます。

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