- マーケティングってそもそもなんでしょう!?マーケティングは、いわゆるマーケティングに従事する人だけのものでしょうか。
- 実は、マーケティングに関わらない人でも、マーケティングを知る必要があります。
- なぜなら、マーケティングは企業活動に広く横断的に関わる分野だからです。
- 本書では、P&Gやユニリーバなどの国際的マーケティング企業で活躍された音部大輔さんが、マーケティングの普遍的な基礎について語ってくれます。
- 本書を読み終えると、マーケティングの基礎について触れられるだけではなく、これからもずっと変わらないマーケティングの本質について知ることができます。
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マーケティングがカバーする領域は、広い。
マーケティングはその実行の最終段階ではとても具体的な施策や活動に携わることになる。こうこくなどのコミュニケーションやメディア、施策などのプランニングにかかわる人は少なくない。いずれも現場の力量として技術的専門性や実行力が重要である。(中略)同時にマーケティングの全体設計やブランドの構築などに従事するためには、極めて概念的な技術も必要になる。
まえがき
私は広告代理店に10年以上在籍し、一貫していわゆる「マーケティング」と呼ばれる部署に所属してきました。広告屋さんですので、企業のブランドを預かって広告戦略を立案したり、もっと川上に上って、商品開発を支援したりします。そのたびに感じるのが、この引用のように、マーケティングといっても本当に幅広い!ということです。
ときに、施策の実行力が試されたり、ときに、もっと時代を読むブランドづくりのことがあったり、非常に多種多様な領域を横断して考えていきます。
また、中小企業診断士として企業の経営者の方と向き合うときには、このマーケティングの領域をすべて経営者の方が統率しているようなシーンも多く見られます。そして、経営に一貫性が感じられる企業さんほど、経営者の方がマーケティングの全体をよりよくご理解されているようにも感じます。(特にマーケティングという概念を知らなくても、感覚的にご理解されている方も多々いらっしゃいます。これは本当にすごい・・)
いわゆるマーケティングを習って慣れるには、著者いわく莫大な時間が必要だといいます。本書では、そんな莫大な習熟に莫大な時間を要するマーケティングについて、俯瞰して見られるように知見や知識をまとめたものとして書かれています。
マーケティングとは、「いい○○」探し!?
製品であれサービスであれ、複数の要素の組み合わせが市場を定義付けている。市場の定義とはすなわち「いい○○」の定義だ。「○○」には製品カテゴリーの名前が入る。例えば、「いいクルマ」だ。
02 あなたの参入している市場で、「いい○○(製品カテゴリー名)とは何か」
この言葉を読んで、マーケティングの根幹にふれることだと思いました。マーケティングについてはいろいろな定義があります。もしかしたら、関わる人の数だけあるかもしれません。でも、著者のように「いい○○」というふうなことを定義・創造することとして示すことには意味があるように思えました。というのも、これはそのまま問い担っているからです。
引用のように、「いいクルマ」とはなんだろう!?という風に考えることで、原典に向かう力や、協力する力、そして、未来へ向かう力などなど、さまざまな力が湧いてくる感覚を共有できるように思えます。
「いいクルマ」とはなにかという問いの答えは、もちろん会社・組織・人・ブランドによって異なるでしょうし、時間軸を用いれば、時代によっても変わるものです。そして、ターゲットによっても変わるかもしれません。
私は、マーケティング業務に携わる中で、マーケティングとは、「その瞬間のピントをあわせること」というイメージを持っています。企業、社会、顧客の3者のピントです。カメラの単焦点のレンズはいくつかのレンズが組み合わされて、ステキな1枚の写真が取れます。それぞれのレンズの曲率で、距離を測っていく必要があるのです。そして、被写体となる価値は時代によって移ろいで行くので、この距離感やピントはこまめに見直さなくてはいけません。3者のピントというのはなかなか合うものではないですが、バチッとあったときに人の気持を動かす「価値」が創出されるのだと思っています。
ピントがあうということは、「いい○○」の”いい”部分が、気持ちよく3者間で共有されているということでしょう。
「強い」とは、資源を多く持っていること。
著者の言葉はとてもシンプルです。専門用語もほとんど出てこない本書の語り口にドキッとします。でも、本来的なことは、専門用語など使わずに語れるものなんですね。
どの種類であれ「資源をたくさん持っていることを強いと呼ぶ」と理解できれば、強くなるのは難しくない。
09 強い、とはどういうことか
たとえば、この「強い」と言うことについての見解も非常にシンプルですが、芯をついています。
経営資源とか、コアコンピタンスとか、ケイパビリティとか、パーパスとか、ビジョンとか、ヒト・モノ・カネとか、経営者の素質とか、ブランド浸透度とか、いろんな強さがありますが、それはすべて集約されれば「資源」があるかないかです。こを結局たくさん(質も含む)持っていれば、競争優位が働きます。
このように、非常にシンプルな見解で、マーケティングを俯瞰できるのが本書の魅力であると思います。上記は「強さ」についての記述でしたが、これ以外にもマーケティング戦略に利用できる一般的な「フレームワーク」や「現場への問いかけ」なども網羅されています。
中でも、私がハッとした言葉はこちらです。
優れたマーケティングやブランディングは、優れた建築と同じように「人間」を起点にしている。我々は、消費者である前に人間だ。
03 「マーケティングとは何か」、そして「ブランドとは何か」
実は、わたしは、建築学科出身です。早稲田大学の理工学部で学部・大学院まで建築を学んでいました。とくに大学院では、渡辺仁史先生の研究室に所属させていただきながら、人間の視点(人間工学など)から建築を立ち上げることを学びました。この在学中から、どうしてもコミュニケーションの領域やブランド、あるいは会社組織にとても興味が出てきて、現在の広告代理店に入社しました。
なので、著者のこの「人間中心」であることの大切さが非常にすんなりと腑に落ちました。HUMANITYの時代と言われて久しいですが、AIやロボティクスがさらに進展する中で、マーケティングプランナーの「人を視る目」はさらに求められると思います。
KGIやKPIの管理でPDCAを回すことも大切だと思いますが、本当の意味で、人のためにいかに存在できるか、についても考えていきたいと、改めて思いました。
まとめ
- マーケティングがカバーする領域は、広い。――本書では、そんな広範囲なマーケティングを俯瞰して見ることができます。
- マーケティングとは、「いい○○」探し!?――「いい○○(カテゴリー名称)」探しという問いからマーケティングを始めてみましょう。
- 「強い」とは、資源を多く持っていること。――シンプルにマーケティングを捉えること、そして、マーケティングの目的は「人」にあることを忘れないようにしましょう。
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