- 中小企業は、戦略的PRに無縁でしょうか!?
- 実は、中小企業ほど、戦略的PRを活用していくほうが良いのです。
- というのも、メディアも社会も「固有の」ストーリーを求めているからです。
- 本書は、テレ東→ソフトバンク→戦略PR会社を起業された下矢一良さんによる、小さな会社のための戦略的PRを説いた1冊です。
- 本書を通じて、ストーリーを武器に企業PRを展開するヒントをたくさん得ることができるでしょう。
テレビ取材1回だけ?いや、何回も出ることがポイント!?
「人脈がなくては、テレビに出るのはムリ」「300万円払えば、有名な報道番組にも出られる」「プレスリリースなんて、全く読まれない」これ全部誤解です。あたかも真実かのように語られています。それは、テレビ業界が人材の流動性が低いため、なかなか内情が表立って見えてこないからです。
本書は、テレビ東京でディレクターをつとめた下矢一良さんが、そんなテレビ業界と戦略的PRのコツを語ってくれる、ある種の暴露本です。
メディアの取材、露出を狙っていくときに、新商品や新サービスを切り口にされることもあるでしょう。
あるいはそれだけ!という会社も多いのではないでしょうか。でもこれではもったいない!と、下矢一良さんはいいます。というのも、新しい情報がなくても、取り上げられ続ける企業は、確実に存在するからです。
何回も、テレビに出続けている会社がアピールしている、商品以外のもの。
はじめに
それが、ストーリーです。
あなたの会社のストーリーは!?
創業時の苦労、商品開発の秘話、倒産危機からの脱出、事業承継……。中小企業は、さまにテレビが取り上げたくなるストーリーの宝庫なのです。でも、これらのストーリーは、経営者や働いている人には、客観的に理解することが難しいです。なぜなら、毎日の生活のなかで「当たり前」になってしまっているから。
本書は、そんな当たり前化している自社のストーリーを思い切って武器にしてみよう!と語ります。
マスコミが取り上げるような種は、どの中小企業にも存在します。ただ、ほとんどの中小企業がその種の存在に気づいていないだけなのです。
01 大企業以上のブランド力をタダで手に入れる
中小企業がテレビなどのマスコミに出ることを狙う上で、いまは絶好機にあります。さまざまなメディアが登場し、「他メディア化」している中で、取材者やディレクターは、他よりも独自性の高い記事や番組を構成したいという気持ちが高まっています。
そこで、中小企業です!
大企業に比べてなかなか注目しづらいのは事実ですが、それを逆手に取って、ストーリーを武器に、継続的に取材される関係性をメディアと構築しましょう。
事実、あの獺祭を製造している旭酒造さん、こちらも一時は大変厳しい時代がありましたが、それを逆手に継続的にメディアに取り上げられるようになりました。
- 2005年――朝日新聞地方版「あすを拓く:やまぐち企業トップ列伝」:10年以上ともに酒を造ってきた杜氏がFA宣言!?
- 2009年――「日経ビジネス」2009年7月13日号:売れない時代に私が売る
- 2014年――テレビ東京「カンブリア宮殿」:倒産寸前の”負け組”酒造が起こした奇跡!ピンチに挑み続けた大逆転経営
- 2018年――「日経ビジネス」:『負け』を認める音、会社を変えたいなら、まずそこから始めよう
このように、繰り返し、繰り返し、同じテーマで旭酒造さんは取り上げられているのです。大切なのは、ストーリーとそこに込められた会社の想いです。
ニュース番組で取り上げられる企業には、3種類あります。
01 テレビが取り上げるニュースの原則
「①日本経済を象徴しているから」「②今どき感があるか」「③ストーリーがあるか」です。
3つを意識しながら、とくに自社にすでに内在しているストーリーの発掘を行ってみましょう。
ストーリーの強力な構成3要素とは!?
軸で結びつけなければ、すべては他人事
01 ストーリーをつくるための3つの軸
軸の通っていないストーリーには無関心になる
報道番組などに取り上げられる内容には、常に軸が通っています。この軸は細分化すると8種類になります。本書では、その中に最も使いやすく、しかも強力な3つの軸を紹介してくれています。
①社会軸、②社長軸、③組織軸です。大切なのは、「商品(サービス)ではなく、商品が働きかける対象の社会、商品を生み出す社長や組織に焦点を当てること」です。
- 社会軸――企業が世の中を変えるために挑み続けるというものです。
- 社長軸――その名の通り、これまでの歩みを中心としたストーリーのことです。
- 組織軸――組織のあり方やそこで働く人々の働き方に焦点を当てたストーリーです。
それぞれの軸の見つけ方は、次のステップにそって考えてみることにあります。
<社会軸>
1.どう世の中(=業界、地域)を変えたいか?
2.一般へのメリットは?
3.そのために取り組むことは?(過去、現在、将来いずれもOK)
4.将来の夢は?
<社長軸>
1.今の事業をはじめたきっかけは?
2.きっかけの後の取り組みは?(変化への対応の指針となるもの)
3.将来の夢は?
<組織軸>
1.目指している組織の姿は?
2.組織の姿を目指した理由は?
3.組織の姿の実現のための取り組みは?(すでに取り組んでいること、取り組み始めたこと)
4.将来の夢は?
また、ストーリーの軸に気づくための24の質問も活用してみましょう!!
- 1)今のビジネスを始めたきっかけは?
- 2)なぜ今のビジネスではなくてならなかったのか?
- 3)今の生き方を選ぶことになったきっかけ
- 4)自社の最も強い部分はどこか?
- 5)自社の強みはなぜ生まれたか?
- 6)自社の最も弱い部分はどこか?
- 7)自社の弱みはなぜ克服できていないのか?
- 8)現在のビジネスで最も楽しかったことは?
- 9)現在のビジネスで最もつらかったことは?
- 10)つらいことを乗り越えられた理由は?
- 11)絶対に許せないものはあるか?
- 12)最近のビジネス環境の変化はなにか?
- 13)変化を乗り越えるために取り組んでいることは?
- 14)顧客の役に立っていると思えるのはどんなときか?
- 15)顧客に言われて、印象に残った言葉は?
- 16)同業者のことをどう思っているか?
- 17)ビジネスで成功した暁に、自分自身はどうなりたいか?
- 18)引退するときに、自分自身はどうなっていたいか?
- 19)10億縁が手元にあったら、何をしたいか?
- 20)子どもの頃に好きだったことは?
- 21)子どもの頃に嫌いだったことは?
- 22)他の従業員と普段接するとき、どんなことを感じているか?
- 23)他の従業員にはどうなってほしいか?
- 24)理想の組織とはどのようなものか?
ストーリーの軸は、不変の法則です。ですが、軸の「装い」は時代とともに変えていかなくてはならないのです。
最終章 >>> 大きな成果を生む小さな一歩
過去の投稿「【ブランディングよりも大切な視点!?】パーセプション 市場をつくる新発想|本田直也」、社会にイメージ(パーセプション)を作る!という視点もあわせておすすめです。ぜひご覧ください。
まとめ
- テレビ取材1回だけ?いや、何回も出ることがポイント!?――企業に内在するストーリーに着目すれば、社会と継続的な関係を作れ、その結果、メディアにも取り上げられやすくなります。
- あなたの会社のストーリーは!?――社会との関係性=軸を探してみましょう。
- ストーリーの強力な構成3要素とは!?――社会軸、社長軸、組織軸で考えてみましょう。