【歴史を俯瞰すると全体が見える!】会計と経営の七〇〇年史|田中靖浩

会計と経営の七〇〇年史
  • 経営はヒト・モノ・カネの活用だと言われますが、実際のところその全てを管理するのってとても広い視野がないと難しいですよね。どうしたものか・・
  • 実は、歴史から俯瞰すると全体性を失うことなくその全てを把握する視点を得ることができます。
  • なぜなら、いまある会計(とくに管理)やそれにもとづく経営のスタイルはこれまでの人類の歴史の中で、試行錯誤されながら磨きをかけられてきたからです。
  • 本書では、会計士としてコンサルタントや講師業として活躍される田中氏が、ヨーロッパからアメリカに至る会計と経営の歴史を紐解いてくれます。
  • 本書を読み終えると、会計の発展の歴史と「簿記・株式会社・証券取引所・利益計算・情報公開」といった分野について俯瞰した視点を得ることができます。

自由なミックスがイノベーションを生んだ

「オランダで株式会社と証券取引所が生まれた」という事実にも驚かれる方が多いのではないでしょうか。いまや身近な存在となった株式会社。そして株式を売買する証券取引所。これらの発祥がオランダというのはかなり意外ですよね。

2オランダ黄金時代に商売人が集合

オランダのアムステルダムで世界初の株式会社と証券取引所が生まれました。このおかげで、人類は、融資だけではなく投資という便利な概念を手に入れたのです。

この画期的な発明の背景には、「宗教ノーサイド宣言」がありました。

2オランダ黄金時代に商売人が集合

でも、なぜオランダでこのようなイノベーションが起きたのか?

それを著者は宗教ノーサイドとして説明してくれています。

これまで、カトリック vs プロテスタントの対立が激しくなる中で、オランダは、経済もっというと商売をメインのコンセプトに掲げ、自由に商売をしたい人を超ウエルカムしたんです。まるでアメリカのような発想ですね。そう考えると、ニューヨークはもともとニューアムステルダムが期限であるので、いま世界のトレンド(ビジネスにおけるパラダイム)は、オランダが発祥だと言っても良いのかもしれませんね。

商売をメインのコンセプトに掲げて、世界中からさまざまな人材を集めることに成功したオランダは、国内を多様性で満たすことによって、イノベーションを達成したのです。

ここに学べることは非常に多くあると思います。

今、移民の問題が掲げられることが多くありますが、移民を受け入れる意味をどうとらえるかかと思います。つまり、単純作業の労働分担のためか、あるいは、多様性をもとに新たな社会を作り上げるためなのか、ということです。

いま、日本の政策はどちらにかたむいているのでしょう。考えるキッカケをオランダが与えてくれるのです。

短かったオランダ黄金時代。失敗から学ぼう!

世界初の株式会社として設立された東インド会社、それはまちがいなくオランダが生んだ偉大なチャレンジでした。
17世紀はじめに華々しくデビューしたこの会社、だんだん調子が悪くなり、最後は潰れてしまいました。しかしこれは「泡と消えた」わけではありません。

3短かったオランダ黄金時代の教訓

オランダが発明した世界初で有名な東インド会社のその後、を知る人はそんなにたくさんいなのではないでしょうか。実は、結局、あまりうまくいかなかったそうなんです。

それはなぜか!?

3つの理由があります。
1)航海中に船員が盗みを働いてしまった。
2)オランダ人が香辛料に固執してしまった。
3)東インド会社は株主に気前よく配当しすぎてしまった。

うーん、残念な理由です。でも、これらの失敗があったからこそ、現代の会社にたいして良き教訓を与えてくれているのも事実でしょう。

今、ガバナンス(内部統制)、セグメント(マーケティング)、ファイナンス(内部留保の重要性)が語られるのは、東インド会社からの学びがあったからなんですね。

鉄道ラブな人類の発明が、世界を会計でつなげた(連結!)

鉄道レールには「標準軌(standard gauge)」が存在し、ほとんどの鉄道がこれを用いていました。その標準がどう決まったかといえば、これがビックリ、「いちばん最初のものがずっと使われていた」のです。イギリス鉄道の父スティーブンソンがリバプール&マンチェスター鉄道などで使ったレールサイズがその後ずっと標準になりました。

1「漁夫の利」の地で連結決算が誕生

実は、標準軌ってなんで1,435mm(4フィート8.5インチ)っていう中途半端な数字なんだろうって思っていたら、なんとはじめて使われたたまたまが世界標準になってしまっていたんですね。やっぱりはじめた人は偉いということでしょう。そして、デファクトスタンダードって、ちょっとしたことで自然に定義されてしまうんですね。

という話も大変おもしろいのですが、実は鉄道が減価償却を生み、そして、そのことが、利益計算を行う土台を作りました。

減価償却をするようになってから、現金主義から、発生主義に会計の原則を転換させることになりました。
・現金主義会計=収入-支出
・発生主義会計=収益-費用

このように新たな体系を身につけたのです。

さらに、鉄道の標準軌が、個別開発していた鉄道各社をつなげたように、グループ会社が連結会計をしていく発展をみせたというのです。

つまり、産業革命が生んだ上記期間が鉄道をうみ、そして会計の進化を裏で支えたのですね。こうした俯瞰した視点でものごとをとらえると、今あるスタンダードがまた違った視点で見えてきますね。

まとめ

  • 自由なミックスがイノベーションを生んだ――商売の自由がイノベーションを生みました。多様性がイノベーションには大切です。
  • 短かったオランダ黄金時代。失敗から学ぼう!――世界初の株式会社は失敗でも世界の学びをつくりました。
  • 鉄道ラブな人類の発明が、世界を会計でつなげた(連結!)――世界標準をつくった鉄道が、会計の標準をつくって世界をつなげました。

細部を追求していくのも大切ですが、全体性を忘れないこともとても重要だと思います。全体を俯瞰して、今とこれからの向かいたい先を見極めることが経営には必要なのだと思いました。

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