【世界から愛される経営者の残した言葉】岩田さん:岩田聡はこんなことを話していた。|ほぼ日刊イトイ新聞

岩田さん:岩田聡はこんなことを話していた。
  • 任天堂という会社を知らない人はいないのではないでしょうか。
  • 実は、その任天堂の新時代を作った人が本書の主役、岩田社長です。
  • 岩田さんは、Nintendo DSやWiiなど、新たなハードを世に送り、現在に続く任天堂の理念と志をかたちにしてきました。
  • 本書には、2017年に若くして亡くなられた岩田さんが残された数多くの言葉が収録されています。また、生前当時から親交の深かったほぼ日糸井さん、専務の宮本さんの回顧インタビューも収録されています。
  • 本書を読み終えると、彼の経営者としての理念と、そして、ご友人やご家族、世界から愛された人柄を感じることができます。
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幸せへの眼差し

わたしは、自分がどんな会社で働きたいかというと、「ボスがちゃんと自分のことをわかってくれる会社」や「ボスが自分のしあわせをちゃんと考えてくれる会社」であってほしいと思ったんですね。

第一章 岩田さんが社長になるまで。

岩田さんは、学生時代からアルバイトを続けていたプログラミングの会社HAL研究所の社長を任された時に、従業員全員と面談をしたと言います。

その時に大切にしていたことが、この発言に集約されています。

一人ひとりと向き合う中、「面談をしてはじめてわかったこと」が多かったらしいのです。

それまで普通にコミュニケーションが取れていたと思っても、実は内心考えていることがあって、それを引き出せていなかった。それを、面談で丁寧に紐解くことから、一人ひとりと向き合う経営をはじめていったのです。

社員全員と面談するなかで、話し合うテーマは全員違います。ただ、面談のプログラムのなかで、唯一決まっているのが「あなたはいまハッピーですか?」という最初の質問でした。

第一章 岩田さんが社長になるまで。

面談の際には、必ずこの質問をするそうです。

カタカナの「ハッピー」という言葉に、込められた、本質をつきながらも、安心してしゃべってもいいんだと促すようなそんな人柄を見ます。

得意なことをする

物事って、やったほうがいいことのほうが、実際にやれることより絶対多いんですよ。だから、やったほうがいいことを全部やると、みんな倒れちゃうんです。ですから、自分たちはなにが得意なんだっけ、ということを自覚したうえで、「なには、なにより優先なのか」をはっきりさせること。順番をつけること。これが経営だとわたしは思います。

第二章 岩田さんのリーダーシップ。

任天堂三代目社長の山内さんに、糸井さんと、ときどき宮本さんも加わってお話を聞く機会があったそうです。

そのなかで、山内さんがしばしば触れていたのは、「任天堂はケンカしたら負ける。よそとケンカしたらあかん」という言葉だったそうです。

この「向き不向き」の精神は、任天堂という会社を経営するにあたってはもちろんのこと、いちビジネスマンとして自分の立ち位置を俯瞰する際にも考え続けたとおっしゃっています。

といってもそれは、歯を食いしばってものすごく努力するようなことではありません。ちょっとずつ努力をして、それに対して「あ、ちょっとわかったな、おもしろいな」という、自分の変化の兆しみたいなものをご褒美として感じとれることができたら、わたしはそれを続けることができるんです。ひとつひとつはとっても小さんだけれども、わかったり、つながったりすることで努力することがおもしろく感じられて、その連続で身についていくような感じなんです。

第二章 岩田さんのリーダーシップ。

自分の「向き不向き」をきちんと向き合った上で、「向いていること」を少しずつ楽しみながら努力をしていかれた方なんだと思いました。

そして、その働き方がとても素敵だなと思いました。

これからの社会、なぜ自分が働くのか?について、自分なりの答えを持たなくては、心身ともにつらい状況に陥りやすくなってしまいました。

これは、過去の投稿で取り上げた書籍『Dark Horse』(「【人生のコンパス持ってますか!?】Dark Horse|T・ローズ他」)でも触れられていました。

大きな情熱よりも小さなモチベーションを!「目的地」のことは忘れて、充足感を今抱いているか自問する!など、ダークホース的生き方を実践された方でもあるのかな、と岩田さんの生涯に触れ感じました。

敬意をもって人と接し、仕事をつくる

つまり、仕事で出会ういろんな人たちに敬意を持って接することが、自分の仕事をおもしろくしてくれる。それを言いたいだけなんです。

第二章 岩田さんのリーダーシップ。

これは、岩田さんが糸井さんの姿勢を尊敬しているという内容について触れた言葉です。

糸井さんは自分の知らないことを知っている人やできないことをできる人に、とても素直に感動したり、敬意を払ったりしていた。これをご覧になって、ご自身でもこうなりたいと強く思ったそうです。

わたしは思うんですが、一人で取り組むコンピュータの世界にも、誰かと一緒に仕事をする世界にも、じつは共通点がすごくいっぱいあって、その共通点を見つけることでわかることがたくさんあるんです。

第二章 岩田さんのリーダーシップ。

プログラミングとは、孤独な作業ではありますが、それはどこかで人とつながっています。もちろん、1つのゲームをつくるという共同作業であるのですが、なんとなくそういう実務的なことだけではなくて、同じ風景をみたいのだという気持ちでつながっているという点で、どこか尊い作業なのかもしれないと思いました。

そして、「【こんなにも孤独な人生で】会って、話すこと。|田中泰延」の投稿を思い出しました。自分と相手は互いに興味がなく、孤独であるのですが、互いの間にあるものについて会話をすることによって、共通の風景を見たり、何かが生まれる経験をする可能性があります。

ゲームづくりとは、作る過程も、そしてプレイされる過程も含めて、この風景を共に具体化していく一連の作業の重ね合わせなのかもしれません。

よいゲームが生まれる状況を振り返り、岩田さんはこのような言葉も残されています。

最初の計画では決まってなかったことを、「これ、ぼくがやっておきましょうか?」というような感じで誰かが処理してくれるとき。そういう人がたくさん現れるプロジェクトは、だいたいうまくいくんです。

第二章 岩田さんのリーダーシップ。

これは、たとえばWiiをつくっているときにも生まれた状態だそうです。初期のころから「Wiiはこういうゲーム機にしたいんだ」という話をたくさんしてこられたからこそだと、振り返られています。

同じビジョン(風景)を共有しているからこそ、自分自身のやるべきことなすべきことが逆算できます。

その絵の共有が、プロジェクトや事業の長い間牽引してくれるのですね。

まとめ

  • 幸せへの眼差し――人は、幸せを感じられたり追求したりできると信じられる会社で働きたいものです。
  • 得意なことをする――苦手なことができる人に素直に敬意を表し、そして、自分が得意なことを真摯にやり続けましょう。
  • 敬意をもって人と接し、仕事をつくる――人と、プロジェクトの風景を共有しましょう。

もちろん一度もお会いしたことがないのですが、その人柄の暖かさが伝わってくる言葉たちだと思いました。人はなくなってからもこうして、考え方や体温までも人に伝えることができるだと、思いました。不思議な気持ちです。

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