- どうしたら、大切な情報を相手に伝えることができるでしょうか!?
- 実は、ひと言化がポイントかも。
- なぜなら、たくさんの情報は受け取れないし、自分向けじゃないと人は拒絶するからです。
- 本書は、情報をいかに加工し、短く伝わるものになるかについての1冊です。
- 本書を通じて、相手の立場に立って情報をまとめる技術を知ることができます。
「ひと言」化とは!?
どうしたら相手に伝える言葉ではなく、伝わる言葉を作ることができるでしょうか!?そのためには、ひと言でまとめる技術が必要かもしれません。
「ひと言でまとめる技術」とはずばり、言葉を「短く」し、「要約した状態」で相手に伝える技術です。
この本を手に取ったあなたに知っておいてほしいこと
多くの場合、表現するべき言葉を知らないのではなく、言葉が多すぎることがあります。ものごとをよりよく伝えていくためには、小学生までに習った言葉で十分。それを、ストレートに短く、まとめ上げることに意識を向けるほうがよいです。
ひと言でまとめることは、現代社会において非常にニーズがあります。なぜなら現代は、情報が氾濫する時代だからです。1日に生産される情報(データ)の数は膨大で、人間が到底処理しきれるものではありません。情報の量だけ増えて、処理能力は人間なので一定です。そんな中で、大切になるのは、情報をいかに精査して、取捨選択しながら、自分の解釈も含めて取り入れる活動です。
情報の海で溺れないためにも、あるいは、人を溺れさせないためにも、ひと言でまとめていく発想は欠かせません。
ひと言化のポイントは、のような工程です。
客観的に
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その技術によって幸せになる人の目線に立ち
↓
誰もが理解できるかたちで
↓
ひと言でまとめて、世に打ち出していく
相手の立場に立ってものごとを見ることから始めてみましょう。
相手について考える!?
ひと言化において、最も大切なのは、相手のことを考えるです。言葉は、一方的に発信されるものではなく、必ず受け手を想定して発信されるものであるはずです。(独り言以外は。でも、独り言も、自分を想定して発信されているのかもしれないことを考えれば、独り言も含めて相手の存在がうかがえますが・・)
- 相手が属するコミュニティ
- 相手の人格(発言)
- 相手の交友関係
- 相手がいま取り組んでいること
を、おさえて、事前に情報を集めて、その暮らしやライフスタイルに敬意をもって接することが大切です。
言葉は、考えの表面化です。そうした相手を思った考えが、より良い言葉を作る心構えになります。大切なのは膨大な情報のあらすじを伝えることではなく、物語のコアを見つけ出すことです。この時、相手のことをよく知っていれば、物語のコアを見つけるのも簡単になります。
「相手が知りたいこと」を起点に物語のコアを抽出すれば良いためです。
人は、捨てることが苦手です。
私たちコピーライターの世界でも、「情報過多は、伝えないより悪手である」というのは常識です。
プロセス6 ばっさり捨てる
言葉を詰め込んでしまえば、何も伝わりません。大切なのは、思い切って削ぎ落として、相手が求めていることにフォーカスしたひと言化を目指すことです。
伝えると伝わる!?
伝えると、伝わるについても検討しておく必要があります。この根底にも、相手の存在の捉え方があります。伝えるというのは、自分が主語です。自分が、相手に伝える。だから、自分が主体のため、相手のための言葉遣いがし辛いスタンスです。一方、伝わるというのは、主体が相手になります。わたしの言葉が、相手に伝わる。風景は一変して相手が自分を見つめるシーンになります。
・伝える→伝えるという「行為」
「伝える」と「伝わる」の違いとは?
・伝わる→伝わったという「状態」
伝えた後に、何が起こったのかを観察することが大切です。自分が言葉を発信した後に、相手の様子をよく見てみる。何かが変化しているかどうかを見極めることで、相手の状態を感じて、次にどんなアクションをすればよいかを考えるヒントを相手から得ることが大切です。
コミュニケーションとは双方向です。言葉だけでない様子の確認や態度を感じることで、よりよい「伝わる」を作る工夫はたくさんできるのです。
上述のようなスタンスを身に着けながら、下記のポイントを運用して、端的にひと言化できるスキルを磨いていきましょう。
<「ひと言」化のポイント集>
- 「解釈」を捨てる・・事実は一つですが、解釈は無数です。これを伝えすぎると、伝わらない言葉になります。
- 「感情」を捨てる・・とっさに出る言葉は、その人のホンネです。いったん、感情を排し事実ベースで行きましょう。
- 「自分だけ得するトーク」を捨てる・・相手が言ってほしいことを言いましょう。
- 「曖昧なゴール」を捨てる・・「スピード感を持って改善」のような言っているようで何も言っていないようなことはもったいないです。
- 「ぼやけた全体像」を捨てる・・全体の中のどの部分なのかが意識できるように、全体像を見出しましょう。ポイントは頭の中に、伝えたいことの地図を描くことです。
- 「曖昧な返答」を捨てる・・想定問答をつくるコツは、「自分のなかに、鋭く突っ込むもう一人の自分を持つ」ことです。
- 「抽象的な説明」を捨てる・・定量と定性を駆使して、具体的に説明しましょう。
- 「完全無欠なプラン」を捨てる・・あえてネガティブな情報にも触れることで、相手と一緒になって考えられる状態を作りましょう。
また、これらのテクニックに加えて、相手のための言葉を考えるのであれば、自分の発言が「ものがたり」になっているかどうか、チェックしてみるのもポイントです。
下記の2つの文章を比べてみましょう。
Xという技術が弊社にあります。
御社の特許Yと組み合わせてZという商品を作ることが可能です。U社という競合相手がいますが、T市場ならば優位性を保てます。
うまくいけば御社を業界トップに押し上げることができると信じています。
どうかご検討願えないでしょうか。
世界を変革する商品をつくる、それを夢物語だと思っていませんか?
私たちが手を組めば、XとYを融合させてZという画期的な製品が生み出せます。
T市場であれば、U社さえも打ち負かし、私たちが業界トップに躍り出ることも可能だと信じています。
目標達成には何が必要でしょう?
そう、ビジョンの共有です。
さあ、ともに始めていきましょう。
ポイントは、上記2つの文章が相手と何を共有しようとしているか、ということです。
こちらのひと言化に関する1冊「【感じるコピーの見つけ方とは!?】ひとこと化――人を動かす「短く、深い言葉」のつくり方|坂本和加」もたいへんおすすめです。ぜひご覧ください。
まとめ
- 「ひと言」化とは!?――短く、削ぎ落とした情報を作り出すことです。
- 相手について考える!?――ひと言化には、相手視点が欠かせません。
- 伝えると伝わる!?――相手主体のスタンスを保ち続けましょう。