- 情報化社会の中で、どのように本と向き合えば良いでしょうか!?
- 実は、あえてゆっくり時間をかけて読むことがポイントかも。
- なぜなら、質が高まるから。
- 本書は、そんな遅く読むこと、スロー・リーディングに関する1冊です。
- 本書を通じて、情報に触れるとは自分に何をもたらすのかについて、新しい視点を得ることができます。
情報の激流の中で・・!?
私たちが日常的に処理している情報量はますます増え、そのアクセシビリティも格段に上がっている。
文庫版に寄せて
生活をするにも、仕事をするにも、多くの情報に触れざるを得ない社会の中で、私たちは暮らしています。情報をシャットアウトすることも可能でしょうが、情報化社会と言われるように、一定の情報を摂取して暮らすことは、社会の一部として組み込まれている以上、避けられないでしょう。
たとえば、SNS疲れという言葉が現れているように、情報もより多くを繰り返していくと、自分を苦しめてしまいます。適切な量に加減することが重要です。
そんな時代において、本書は、スロー・リーディング(遅読)を提案する1冊です。
スロー・リーディングとは!?
スロー・リーディングとは、自分にとって無理のない範囲で、文章と向き合うことを指します。
読書量は、自分に無理なく読める範囲、つまり、スロー・リーディングできる範囲で十分であり、それ以上は無意味である。
第1部 スロー・リーディング基礎編 量から質への転換を
スロー・リーディングは、言葉を深く理解することに繋がります。
そして、5年後、10年後の自分をつくる読書になるとも言えます。それは、深く文章と向き合い、問いを持ち、それを抱えながら、著者やあるいは自分の気持ちと対話をしていくような、そんな行為だからです。
一方、速読は、明日のための読書です。明日の会議のために大量の資料を読みこなし、今日の話題のために慌ただしい朝の時間に新聞にざっと目を通す・・そんな読み方です。
文章の向き合い方として、いずれも必要でしょう。しかし、それぞれがあるということを認識して、文章に向き合うかどうか、は自分次第ということです。
そして何よりも、ゆっくり時間をかけさえすれば、読書は楽しい。私が伝えたいことは、これに尽きると言っていい。
文庫版に寄せて
どうしてもスロー・リーディングになってしまうのが、小説です。小説には様々なノイズがあります。そのノイズは時に、伏線と呼ばれたり、心象表現とも言われるかもしれません。いずれにしても、明日のティップスを説いたビジネス書よりも圧倒的に、読み飛ばすことがもったいないのが、小説です。
人にはそれぞれ、小説のように、ノイズを拾いながら、向き合うべき読書が、必要なタイミングや内容があると思います。
情報に向かうとき、大切なこととは!?
大切なのは、立ち止まって、「どうして?」と考えてみることです。
第2部 スロー・リーディング テクニック編 魅力的な「誤読」のすすめ
疑問を持つ人だけが、得られるものがあります。疑問を持てればしめたものです。たとえ、その時は理解できなくても、きっと繰り返し問うていくなかで、問いは、あなたの価値観を創ります。何年か経ってから「ずっと不思議だったけれど、あれはそういうことだったのか!」と気づきを得られることもあるでしょう。
そのとき、初めて、長い時間をかけて、作者の最も深い場所から発せされた声は、読者に届くのである。
第2部 スロー・リーディング テクニック編 魅力的な「誤読」のすすめ
ビジネス書や新書にはない、自分自身の価値観をゆさぶるような、あるいはそれを創り出すような読書体験が、スロー・リーディングにはあります。そして、それは一概には、どんな本で・どうやって行うべきか、決定できないものでもあります(きっと)。
なぜなら、問いは、ひとりひとり異なるはずだから。
今の自分が気になる内容を、今の自分に良いノイズをもたらす内容を、出会い選び、問いを持ちながら、向き合い続けることが、スロー・リーディングの本質なのではないかと思いました。
スロー・リーディングを通して、人と会話してみたり、他の本にふれるところを探してみたり、自分自身の読書地図を更新しながら、知の探求をすすめてみましょう。きっといいことがあるはずです。
一冊の本とのつきあいは、決して一期一会ではなく、もっとずっと長いものである。
第2部 スロー・リーディング テクニック編 魅力的な「誤読」のすすめ
読書に関してぜひこちらの1冊「【本は風のように読め!?】乱読のセレンディピティ|外山滋比古」もお手に取ってみてください。おすすめです。
まとめ
- 情報の激流の中で・・!?――量ではなく、質を意識しましょう。
- スローリーディングとは!?――じっくりと楽しく文章に向き合うことです。
- 情報に向かうとき、大切なこととは!?――問いを持つことです。