- どうしたら自社のブランドや得意先のビジネスが、一般的に広まるでしょうか!?
- 実は、「一言表現」がポイントになるかもしれません。
- なぜなら、言葉少なく、でも、想像を豊かにすることこそが、人の気持をくすぐるからです。
- 本書は、博報堂のクリエイティブチームが執筆した、体験価値を一言表現に落とし込む実践書です。
- 本書を通じて、一言の重要性を知り、企画のコツを見つけることができるでしょう。
伝える→関わるについて、大切なのは「一言」!?
情報化社会の中で、生活者は以前よりも多くの情報を得られるようになりました。企業が伝える情報は、ともするとノイズとして、敬遠されがちです。一方で、リアルな体験価値は、相対的にその重要性を高められているようにも思えます。
これからは、情報提供だけではなく、商品やサービスの利用体験やその後のアフターフォローも含む、体験づくりがブランド構築のために重要です。
本書は、そんな体験価値を一言で表現することに特化した実用書となっています。上手に一言で表現できれば、生活者に「伝わる」だけではなく、「関わる」ことを誘発します。一瞬で、新しい概念を伝え、想像力を高め、興味につなげられるからです。
広告コミュニケーションの実戦で培った経験の中で、体験づくりにおいても重要なキーワードがあります。それはズバリ、「メタファー」です。
CHAPTER 0 | はじめに
メタファーは比喩的な意味合いを持ちますが、本書の中では、次のように定義しています。
「新しい概念を共有しやすいイメージの見立て」
CHAPTER 0 | はじめに
たとえば、「目玉焼き」。目玉(のような見た目のたまご)焼き。それが目玉焼きです。目玉焼きは、日常的な言葉としてすでに当たり前に流通しているので、驚きが少ないのですが、実は、これもメタファーだったんですね。メタファーを使わずに目玉焼きを表現するとしたらどうなるでしょう・・。「たまごの白身と黄身をこわさずにそのまま焼いた料理」のような感じでしょうか。伝わらない・・。いかにメタファーが重要な機能を果たしているかを知ります。
大切なのは、メタファーは「既知」の組み合わせであることです。目玉も、(たまご)焼きも、それぞれなんとなく多くの人にとってイメージがあるから、すぐに理解が追いつく、そして、理解されるから、想像力も膨らむ。そんな、理解の構造がありそうです。
体験は3つの領域に分かれている!?
体験は、3つの領域に分かれます。それぞれの領域で活用するメタファーも異なります。
1)仕組み
商品やサービス体験のコア部分です。プロダクトやサービスの使用を指します。この仕組み体験に軸足を置くためには、「行動メタファー」を考えます。新しい商品やサービスの体験を考える上で、行動に注目することがポイントです。どんな行動ができたらうれしいか?この行動とこの行動を組み合わせたら面白いのではないか?など、体験ではなく具体的な行動から考えると発想しやすいです。
例えば、働く時間を”デザインする”コーヒー Work Design Coffeeとか、記事から株が”買える”投資サービス日興フロッギーとかです。
2)対話
顧客体験全般にかかわる部分です。事前事後サービスを含む広い領域です。「擬人メタファー」を考えます。いかに人間らしい対話的なやり取りを体験として提供できるか?がキーポイントです。
例えば、”楽器学習支援サービス”Fenderとか、”結果にコミットするパーソナルトレーニングジム”ライザップとかです。特に、この場合は、どんな人が登場するかどうか人格にフォーカスするのがポイントだといいます。
3)世界観
ブランド体験のさらに広い概念を捉えるためには、世界観も含むイメージの領域を捉えます。「舞台メタファー」を考えます。世界観を考えるときには、生活者を主役において空間や場をイメージできる舞台をメタファーに使うことで発想が広がりやすくなります。
例えば、”(ジャングルのような世界観で)クセになるショッピング”ドン・キホーテとか、”(文学と図書館のような)世界観のあるアイウェアブランド”WARBY PARKERとかです。
大切なのは、どの領域で自社のブランドや製品、サービスを切り取ることが重要かを事前に検討してみることです。
この3つのレイヤーの体験に対して、まずは取っ掛かりとして、それぞれおのメタファーで発想し始めるとアイデアが浮かびやすくなります。
CHAPTER 2 | 一言発想法【基礎編】
企画のための7つのステップとは!?
一言発想は、上記のメタファーの実戦あるのみです!次の7つのステップを参考に、体験をメタファーで表現してみるクリエイティブの切り口を試してみましょう。
- 1)「イシ」(自分の想い=パーパス)を書く。
- 2)「イヤ」(生活者の不平、不満)を書く。
- 3)2つの間にある「目的」を書く。
- 4)3つの体験の領域のどこを重視したいのかを確認する。
- 5)メタファーで体験の一言を発想する。
- 6)他の領域にも広げてみる。
- 7)最後にちょっとしたイメージの絵を描く。
パーパスの設定が起点になっています。パーパスについては、ぜひ過去の投稿「【パーパス記述の手法とは!?】パーパス・ブランディング|齊藤三希子」もあわせてご覧ください。
本書はファンの心が動く「一言発想法」と題して、一言をキーとしていますが、みなさんお気づきのように、これはコンセプトワークとも言えるものです。
CHAPTER 6 | さいごに
まとめ
- 伝える→関わるについて、大切なのは「一言」!?――強力な一言が、想像を広げます。
- 体験は3つの領域に分かれている!?――3つの領域ごとに「メタファー」を活用しましょう。
- 企画のための7つのステップとは!?――パーパスから始まる7つのステップで一言を発想しましょう。