【資本家の原点は、禁欲!?】逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~|森下伸也

逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~
  • 欲望の資本主義とはどのように生まれたのでしょうか!?
  • 実は、禁欲思想が原点かもしれません。
  • なぜなら、禁欲的なプロテスタンティズムの発生に端を発しているためです。
  • 本書は、そんな「逆説」の効用に関する1冊です。
  • 本書を通じて、いろいろなことを本当!?と考えられる得る力を養えるでしょう。
森下伸也
¥726 (2024/01/14 01:51時点 | Amazon調べ)

今回の投稿は、前回「【逆説のポイントとは!?】逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~|森下伸也」に続き、こちらの1冊「逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~」を取り上げたいと思います。

特に今回は、実は禁欲思想から生まれたとも考えられる資本主義について、逆説的に見ていきましょう。逆説=欲望膨張装置は、禁欲思想から生まれた。

宗教がいかに社会を変えるか!?

今回のレビューでは、社会学史上最大の巨人マックス・ウェーバーが、古典的著作『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で展開した主張をご紹介します。

近代の根幹をなす資本主義という経済システムは、宗教改革から生じたプロテスタンティズム、とりわけカルヴァニズム(その英米バージョンがピューリタニズム)を中心とする禁欲的プロテスタンティズムから生まれたとした。

禁欲思想から生まれた欲望膨張装置

まず、宗教が社会システムに与える影響を見てみましょう。

ある宗教が新しい社会の仕組みを作るとしたら、次のようなシステムによるものです。

1)「新しい教義」(まずその宗教に、それまでにない画期的な教義がなければならない)
 ↓
2)「新しいライフスタイル」(信者がその教義を全面的に受け容れて生活することで、新しいライフスタイルが出現する)
 ↓
3)「社会的浸透」(その宗教が社会に広く受け容れられることで、新しいライフスタイルが社会的な多数派または主流はになってくる)
 ↓
4)「新しい社会システム」(新しい社会的多数派・主流派に合わせて社会システム自体が革新される)

禁欲的プロテスタンティズムとは!?

禁欲的プロテスタンティズムは、「魂の救済」というもっとも重要な問題について「予定説」を説きました。これが独創的で新しい教義でした。死後の魂は髪によって救済されるかされないか、そもそも永劫の昔から神様によって決められていた・・・だから、生前のどんな行いによってもそれは覆ることがない、というものです。しかも、人は誰ひとりとして自分の運命を知ることはないともしました。

絶望ですね。

ここで救済ポイントがあります。

それは、以下のような道筋です。

自分が救済される側に属しているとすれば、このような生活をしているはずだという、救済への道しるべとなる教えがきちんと用意してあるのだ。

禁欲思想から生まれた欲望膨張装置

そんな生活が、次の2つのポイントでまとめられます。

1)「被造物神化の否定」・・神さま以外のものに執着し、心奪われることはよくないことだ。
2)「職業召命説」・・職業は神さまが個々に与えた命令だから、一生懸命休むまもなく必至に働くこと。

このコンセプトによって新しいライフスタイルが創造されました。

それは、ぜいたくや浪費などはとんでもないものとして、かつ、仕事に熱心に働くことです。極めて勤勉な生活態度が生じることになります。

そして次がポイントなのですが、2つめのポイントによって、仕事は神によって与えられたというコンセプトによって、「職業に貴賤なし」としただけではなく、「金銭は穢(けが)れたもの」という伝統的な観念も打ち破ったことにあります。

その結果、職業上金銭と切っても切れない関係にあることで、どうしても下目に見られがちだった商人・職人層に大きな共鳴板を得ることになったのである。

禁欲思想から生まれた欲望膨張装置
森下伸也
¥726 (2024/01/14 01:51時点 | Amazon調べ)

資本家はどのように誕生したか!?

商人や職人層が2つのポイントのライフスタイルに邁進するとどうなるでしょうか!?

人一倍働くから、人一倍儲かります。そしてぜいたくや浪費は禁忌なので、出費が極めて少なくなります。

では、溜まったお金をどうするか・・

神の命令たる職業労働、つまり商売の元手につかうことである。

禁欲思想から生まれた欲望膨張装置

商売の手が広がれば、それは神さまの命令に人一倍忠実であることの証明にもなります。商売の元手として蓄積された貨幣は資本と呼ばれ、こうしてプロテスタントの商工業者は、同業者よりもはるかに早く、はるかに大きな資本を蓄積して、「資本家」へ転身していくことになりました。

「小さな資本家」は「大きな資本家」には勝つことができません。よって、この事態にプロテスタント「でない」経営者も、勤勉に働き、節制することよりほかないということになり、社会全体が変わっていきました。

資本主義の誕生です。

資本主義を別の視点から俯瞰したい場合、こちらの投稿「【資本主義とはそもそも何か!?】面白くて眠れなくなる社会学|橋爪大三郎」もおすすめです。ぜひご覧ください!

「資本主義」と日本語で表記してみると、明確な意志があって主義主張を持ったニュアンスとしてとらえられますが、果たしてどうなんでしょう・・禁欲的プロテスタンティズムの背景には、商工業者による想いはあったにせよ、結果的に資本家が生まれて、システムを作り上げているとも捉えられて、あくまで結果であって、明確な主義や主張があったわけではないのだなと、思います。

まとめ

  • 宗教がいかに社会を変えるか!?――4つのステップを通じて教義が社会システムを構築します。
  • 禁欲的プロテスタンティズムとは!?――ぜいたくを禁じ、仕事に一生懸命になるコンセプトです。
  • 資本家はどのように誕生したか!?――貨幣を蓄積し、これを元手に新しい仕事を創り出す好循環モデルが生み出されたことにより誕生しました。
森下伸也
¥726 (2024/01/14 01:51時点 | Amazon調べ)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!