- どうしたら、経営や自分のキャリアビジョンを明確に描くことができるでしょうか!?
- 実は、資本経済の仕組みを俯瞰して知ることが大切かも。
- なぜなら、仕組みを知らないことには、自分のビジョンも持てないからです。
- 本書は、経済の栄枯盛衰の全体像を描いた非情にシンプルな1冊です。
- 本書を通じて、資本経済のメカニズムとダイナミクスを知り、感じることができます。
利益創出の原則とは!?
経済の本当の仕組みを知っておくことはとても重要です。私たちは、気づいたら社会に飛び出していて、企業に勤めたり、フリーで働いたり、起業したりしながら、生計を立てます。しかし、経済の全体感について触れる機会というのはなかなかないのです。全体感を知っておくことによって、自分の言動や自社が経営する企業の方向性を検討することが可能となります。本書は、マルクス経済学を端的にレビューしてくれる1冊です。
前提の知識として、資本主義について知っておくとより良い理解に繋がります。ぜひこちらの1冊「【資本主義とはそもそも何か!?】面白くて眠れなくなる社会学|橋爪大三郎」もご覧ください。
ビジネスは、つねに「利益を出すこと」を考えます。そして、資本家は、労働者に働いてもらうことで利益を生み出します。利益を出すには、効率的な生産が大切なので、それぞれの資本家は、生産性を向上させようとします。その過程にて、機械を導入したり、ITを活用したりと、一定の投資をするようにします。
機械化(IT化含む)の一方で、どんどん生産性が向上し、人手が減少していきます。労働者が減らされることが可能になるため、労働者の価値が相対的に低下していくのです。
労働者が働かないと剰余利益は生産されないのに、労働者は機械化によってどんどん減らされていくのです。
概要
競争の原則とは!?
また、機械化(IT化)に加えて、競争も起こります。
資本主義経済は基本的に自由競争社会なので、常にライバルに勝つために努力していかなければなりません。
概要
常にライバルよりも、よりよい製品やサービスを提供することに努力していくのです。よりよい製品やサービスを提供すると、特別な利益を得ることが可能となります。でも、競争社会の中で模倣が発生することで、相対的な競争優位は低減していくことが一般的です。
この結果何が起こるかと言うと、最初はよりよい製品やサービスであったものが「ありふれた普通のもの」に成り下がり、その商売から得られる利潤も、普通のレベルになってしまうのです。
実はこの競争の背景の中で、生産性も大きく絡んできます。自分だけ利益を上げようとすると前述の生産性の向上もわれさきに!と起こりやすくなって、機械化(IT化)も早く進行します。
- 発明的な新しいアイデア
- 新しい技術
- 新しい機械設備
これらによって、特別な利益が得られますが、とくに「新しい技術」や「新しい機械設備」によって、特にこの利益は大きくもたらされるためです。
ムリの積み上げが弾ける瞬間とは!?
一人ひとりの労働者が生産できる価値の大きさは、機械化(IT化)で格段に増えていきますが、しかし、競争によって多くの生産物がありふれた普通のレベルに陥っていきます。
全体としてみると企業の利益率は傾向として下がっていかざるを得なくなります。
概要
企業の利潤が下がれば、労働者が受け取る賃金も下がります。
ただ、企業は生産性を向上させているので、商品やサービスの提供能力は社会全体で格段に高い状態が続いています。すると、需要と供給のバランスが崩れ、商品が売れなくなる時がやってきます。
直接消費者に商品を売っている企業は、需要の変化に敏感ですが、間接的に商売をしている生産企業はこの変化に気づきにくい状況に陥ります。
末端の消費者は既にものを買わなくなっているのに、なんとかして好業績を維持しようとがんばる企業は生産をしつづけるため、材料・機械設備を発注し続けます。
概要
そして、過剰生産だと気づいたときには、時既に遅し・・・。消費者である労働者の賃金が減るなかで、商品を買えなくなった結果、一気に、しかも連鎖的に企業の業績は悪くなり、ひずみが恐慌を生み出します。
この資本主義の仕組み自体は、逃れようがありません。私たちが普通にビジネスを行っていれば、この全体観の中に取り込まれていくのです。ただ、それを知っているか、どうかは、私たちの意志で決められます。そして、その上で、自分がどういうふうに行動を行っていくのかについても、決定権は自分たちで持てるはずです。社会の仕組みを俯瞰しながら、自らの活動にフィードバックしていくことが大切であるように感じます。
まとめ
- 利益創出の原則とは!?――生産性の向上で企業は利益を最大にしようとします。
- 競争の原則とは!?――競争が、さらに生産性向上のための投資を加速させますが、差別点も研磨されていきます。
- ムリの積み上げが弾ける瞬間とは!?――ありふれた製品の生産性が格段に増える中で、消費体力を失った社会のムリがたたり、恐慌となります。