- パーパスの力が注目されているけれど、それって、結局なんなの?って思うことありませんか。
- 実は、パーパスこそ、「人」であるのです。
- なぜなら、人こそがビジネスのリソース(資源)ではなく、ソース(源泉)だからです。
- 本書は、米国大手小売チェーン「ベストバイ」をパーパス経営で再建したユベール・ジョリーさんの記録です。
- 本書を通じて、パーパス経営について書かれた数少ない書の中から、「人」起点の経営のあり方に具体的に触れることができるでしょう。
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パーパスと利益の関係とは!?
人の脳は、定量的な結果が大好きなようです。比べられて、「わかりやすい」から、どうしても飛びついてしまう。最終的には、手段であるはずの定量が、目的になってしまって、スタックしてしまうこともあるようです。もちろん、ビジネスなので、定量的な目標は重要だと思います。でも、冷静に考えれば、それは目的ではありません。
たとえば、健康診断を考えてみましょう。健康診断のスコアがよろしくなかったとして、それを向上させることが、あなたの人生の目的でしょうか。異なるはずです。定量的な指標はあくまで、体と心のメンテナンスをして、状態を客観視するためのツールであるはずです。そのさきには、よりよい人生を歩むという普遍的な目的が、誰しもあるはずです。
組織だと、どうしてこういう当たり前のことが、覆い隠されてしまうのでしょうか。あるいは、組織でなくても、一人で業務や事業にあたっていても、どうしても定量的な売上、利益に囚われてしまうことだってあります。・・やっぱり人間の脳は、定量が好きみたいです。ここから一歩踏み出すことが、パーパス経営を考えるために必要です。
利益をビジネスの唯一のパーパスとみなすことは、4つの根本的な理由において間違っている。
第4章 株主価値という絶対権力
- 1)利益は業績を測る良い指標ではない。
- 2)利益ばかりに注目することは危険である。
- 3)利益だけに目を向けていると、顧客や従業員を敵に回す。
- 4)利益だけを負うことは精神に良くない。
と、ユベール・ジョリーさんは指摘します。
パーパスの起点とは!?
人→ビジネス→財務
第5章 ”大聖堂”を築く
利益は、最初の2つの結果として生み出されるのです。1つ目の要素、「人」が優れており、従業員の育成や充実度が高水準だと、2つめの要素「ビジネス」において、顧客が忠実に繰り返し製品やサービスを購入してくれるという好結果につながります。
起点を誤っては、よろしくないのです。つまり、言い方を変えれば、企業が満たしているべき普遍的なパーパスの方向感が見えてきます。それはすなわち、次のようなものになります。
パーパスとは、従業員を育てて充実感を持たせ、その周囲の人々にも目を向けていくものなのだ。
第5章 ”大聖堂”を築く
それでも、売上や利益が大切だ!と、思いますよね。でも、それだけではないということをいかに意識できるかも重要なのです。ゼロサムゲームではなく、ビジネスは、「どちらも」なのです。
ビジネスはゼロサムゲームだという世界観を捨てれば、「どちらか(either / or)」ではなく「どちらも(and)」という視点が持つ力は無限大になる。ビジネスは善を為すことと成功すること、どちらも可能なのだ。
第6章 ノーブル・パーパス(大いなる存在意義)を実践に活かす
若干、横道にそれますが、過去の投稿「【生きるための知恵の身につけ方とは!?】勉強するのは何のため?|苫野一徳」を思い出します。苫野一徳さんは、二項対立を「問い方のマジック」として、私たちに「正解」を選択させます。でも、本当にどんなときにもフィットする答えというのは、二者択一では見いだせないものです。世の中はもっと複雑なので、「or思考」よりも、実際は「and思考」で捉えていくほうが、方向感を誤りにくいはずです。

ちなみに、ユベール・ジョリーさんにもこんなご経験があったそうです。
何年も前にマッキンゼーに勤めていたころ、招待した夕食の席でフランス人のCEOジャン=マリー・デスカーペントリーズから、二者択一の問いの98パーセントは「どちらも(and)」と答えたほうがいいと教わった。
第6章 ノーブル・パーパス(大いなる存在意義)を実践に活かす
さて、パーパス経営に戻って、さらに解像度を上げていきましょう。すると、人の中に、自分という存在を見出します。
仕事とは、人生の意味や充実感の探究に対する答えである――そう捉えることからビジネスの再構築は始まる
◆第2部 パーパスフルな人間らしい組織
パーパス経営へと導く、「自分らしい」リーダー像とは!?
まずは、自分のことを突き詰めることが、実は遠回りのようで、パーパス経営の第一歩なのです。次のような言い方もユベール・ジョリーさんはマッキンゼーのウェブ媒体でされていました。
はじめに、何があなたを動かしているかを知ることです。リーダーとしてのあなたのパーパス、あなたの周りの人々のパーパス、そしてこれら全てがどのように自社のパーパスと結びついているかを明確にすべきです。
解説 矢野陽一郎
人起点だからこそ、まずは、自分から、そして身の回りの人を考え、最終的に組織のパーパスとの整合性をはかっていくアプローチが大切なのです。
本書のテーマの一つであるリーダーシップ(leadership)の語源「leith」の意味をご存知だろうか?インド・ヨーロッパ語のleithには、「境界を超えて足を踏み出す」という意味があるそうだ。語源をたどると、リーダーシップとは、自分の慣れ親しんだ考え方や環境を飛び越え、新しい選択をすることなのである。
日本語版序文 平井一夫
ソニーのCEOである平井一夫さんは、序文によせ、このように語ります。過去の投稿「【越境人材は、2度死ぬから、生きる!?】越境学習入門|石山恒貴,伊達洋駆」を思い出します。アンラーニングの越境、自己認識のための越境が、パーパス時代に一人ひとりに求められているともとらえていも、よいかもしれないですね。

実は、ソニーは日本でも最初期に企業の存在意義を定義し、MVVと置き換えた会社でもあり、また、本書の著者であるユベール・ジョリーさんがCEOとして再建を果たした「ベストバイ」との深いパートナー関係にもある会社です。
まとめ
- パーパスと利益の関係とは!?――人を大切にするパーパスがあれば、利益は自ずとついてきます。
- パーパスの起点とは!?――人であり、人がビジネスを作り、そして、結果として利益を創出します。
- パーパス経営へと導く、「自分らしい」リーダー像とは!?――自己認識の定まるリーダーから始まります。
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