【現代社会を俯瞰すると・・!?】現代社会の理論-情報化・消費化社会の現在と未来|見田宗介

現代社会の理論-情報化・消費化社会の現在と未来
  • なにかに取り憑かれた現代社会の光と闇とは、どんなものでしょうか!?
  • 実は、消費と情報化で切り取ると私たちの病と可能性が見えてきます。
  • なぜなら、前世紀には、この消費と情報化が社会のシステムを担っていたためです。そして、いずれもよく目を凝らしてみれば、負の側面だけではないのです。
  • 本書は、1996年に発刊され、現在までに実に30刷を重ねる現代社会の入門書と言われる1冊です。
  • 本書を通じて、21世紀の土台となっているこれまでの社会を俯瞰することができます。

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消費社会とは!?

「ほしいものが、ほしいわ。」というトートロジーに溢れたコピーをご存知でしょうか。

これは1988年、糸井重里さんによって、作られた西武百貨店の広告コピーです。1988年という年はみなさんにとって、どんな年でしょう。バブル崩壊の始まり?昭和の終焉?などなどいろんなイメージが浮かびますが、明らかに、それまでの社会に対する違和感とアンチテーゼが噴出するきっかけとなった年なのではないかと思えます。モノが溢れ、それを求める社会の終焉の足音がなっていたのだと思います。

本書は、そんな現代社会が歩んできた歴史を消費と、そして、情報化という側面から切り取ります。まず、消費という側面から、長いスパンで私たち人間の行動を見ていくと、もともとは、消費とは、自然に与えられ、限り有る需要のもと行われる行為でした。

しかし、私たちは、「商品」をつくり欲望(需要)を無尽蔵に作り出す市場というシステムを構築しました。

現代の消費社会のダイナミズムを保証する<欲望のデカルト空間>は、欲望が自然から自由であるだけでなく、欲望が文化からも自由であることをとおして実現する。

4 資本主義の像の転換 純粋資本主義、としての<情報化/消費化社会>

「自然」や「文化」といった欲望を限定したり、決まり決まったものから、情報の力を借りて、私たちは自由になったのが、大量生産・大量消費社会の背景にありました。「産業的な狂気」にも満ちた一方通行のシステムを構築してしまいました。

情報化社会とは!?

こうした消費社会と相乗効果をなすのが、情報化社会です。

量的な消費においてその臨界に達したという「ゆたかな社会の」食品市場で、新しい需要を創出する仕方には、肉食化のような方向もあれば、イメージ化のような方向もある。

4 「ココア・パフ」

モノ(つまり肉食化)というアプローチもあれば、イメージに依存した方向性もあるといいます。具体的には、次の事例が理解の補助線となります。

<情報化>それ自体はむしろ、その一般的な可能性においてみれば、この事例の示唆しているように、現代の「消費社会」が、事前収奪的ではなく、他社会収奪的でないような仕方で、需要の無限空間を見出すことを、はじめて可能とする条件である。

4 「ココア・パフ」

ここで事例とは、米国における「ココア・パフ」の事例を指しています。ココア・パフは、単にココアと砂糖と塩を用いた素材ですが、実に25倍以上の値段で取り扱われる商品になったとのことです。ここには、「ココア・パフ」という語感からくる、ふんわかとしたお菓子に最適なイメージ想起が少なからず寄与しています。25倍という数字をどう見るかですが、物質から25倍自由になれたという見立てもできるはずです。

そうなのです、情報は、モノ(マテリアル)から自由になれるために必要なファクターなのです。

たとえば、これをより良く理解するために、バリューコーンというフレームワークがあります。最下層には、物性(マテリアル)その上には、機能価値。さらに、情緒価値、生活価値と、価値のレイヤーを切り取るものです。このフレームワークを通じて、生活者に対して適切な情報を届けるための編集を可能にします。

情報には、このように価値を何倍にも膨らませ、与える力があるのだと思います。

21世紀的社会の展望とは!?

消費、情報で、私たちは、環境を破壊し、そして格差を拡大させてしまいました。不幸せな人もたくさん生まれてしまったかも知れません。でも、消費と情報には、負の側面だけではないのです。

情報化/消費化社会という社会のあり方が、未来の可能性に向かって、原理的には限りなく開かれたものであることをみてきた。開かれていることの根拠は、消費の社会という側面からみれば、それが生産の自己目的化という、「産業主義的な狂気」からの脱出であることに基づいており、情報化社会という側面からみれば、それが「物質主義」的な、したがって外部収奪的であるほかのない価値観と幸福のイメージからの脱出であることに基づいてきた。

8 <単純な至福>。離陸と着陸

正の側面を通じて、私たちは、いかに新たな社会をめざしていけるでしょうか?

自然収奪的でなく、他者収奪的でないような仕方の生存の美学の方向に、欲望と感受の能力を転回することもまた可能なはずである。

結 情報化/消費化社会の転回

私たちはなぜ生きるのか、そして私たちは何者なのか、を突き詰めた先に、美や、幸福や、ウェルビーイングのような新しい存在価値を賛美できるような社会基盤がつくれるのではないでしょうか。消費や情報をさらに、うまく使って、こうした社会を、一人ひとりが幸福に満ちて暮らせる世界観を作っていけるかを、著者見田宗介さんの90年代後半からのメッセージとして受け取ります。

ところで、少し前からウェルビーイングというキーワードが盛んに語られ出しました。社会のあり方を考える一つの視点としておすすめです。過去の投稿「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために その思想、実践、技術|渡邊淳司,ドミニク・チェン他」もご参照ください。

まとめ

  • 消費社会とは!?――無尽蔵の需要を生み出し、それを満たすことを志向する社会です。
  • 情報化社会とは!?――消費社会を促進させる相乗効果を持つ情報消費的な社会です。
  • 21世紀的社会の展望とは!?――消費と情報の正の側面を土台に、人の存在価値を問うような志向性で、新たな社会を構築していくことが望ましいでしょう。美・幸福・ウェルビーイングなどもキーワードでしょう。

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