- 世の中の仕組みって、どうなっているのか、俯瞰的にみるのって、案外難しいものですよね。
- 実は、そんなときに阪原淳さんの「社会原理序説」がいいかも。
- なぜなら、図表をもって社会の仕組みを切り取ってくれているのです。
- 本書は、阪原淳さんの円錐形モデルで社会の仕組みを俯瞰できます。
- 本書を通して、なかなか気づけない社会の仕組みについて見通すことができるでしょう。
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社会の原理は、意外と教えてもらえない!
社会の原理とは、社会の根本的な仕組みですが、実は学校教育では教えません。そのため、社会の原理を知らないまま、学校や家庭から社会へ巣立つ人が多く、その結果、とまどいや不安が必要以上に多く膨らんだり、悩んだりすることになります。
はしがき
実は、社会の原理原則って、学校で教えてもらえる機会がないかもしれません。三権分立とか、憲法とか、民主主義とか、そういうことは知識として教えてもらうかもしれないのですが、本当に社会がどう動いているかについては、案外俯瞰することがないものです。
「社会原理序説」の4つのコーンとは?!
カール・マルクスは、社会を大きく下部階層の経済実態と、上部階層の政治・政治制度・法律制度に区分して説明しました。これにならって、阪原淳さんもヒエラルキー型の構造で社会を説明します。
私は、カール・マルクスのような三角形ではなくて、コーン(円錐)によって社会の仕組みを示しています。
4 四つの階層のコーン
4つの階層を定義します。一番下の1階層目は、自然。2階層目は、経済活動。3階層目は、政治活動。4階層目は、価値観となっています。円錐であることから、横から見た時はヒエラルキーに、そして上から見た時に同心円になります。これらの見立てを駆使します。
コーンの第二階層から第四階層までは、人間が勝手に作り上げた構造物ということになり、人間は何をしようとも第一階層のルールから自由になれることはできません。
6 価値観とは何か
ここで思い出すのが、過去の投稿「【日本文化をカミから、客観視する!】日本人の神|大野晋」です。この中で、その地域ごとの自然環境がすべての宗教、ひいては文化の起点となっているという分析がされています。日本のカミは四季のある緩やかな自然から、そして西洋の宗教は沙漠の厳しい自然から誕生したという内容です。
実際に、こうして自然から逃れられない存在である私たちは今後、どのような社会を築いていくのかについては、もしかしたらオムロンの「SINIC理論」が示唆深いものかもしれません。これによると人類は「自然社会」へと歩みを進めると分析されています。どのような自然との調和あるいは、融合のすえにどのような社会を目指していくかを考えるのは、未来を見通すヒントになるのかもしれません。
4階層の関係性とは?
阪原淳さんのコーンによると、「自然」→「経済活動」→「政治」→「価値観」という、順番でものごとがつくられるというのが印象的です。
最も変革する力が強いのは第一階層の「自然」に基づいたもの、つまり科学的な発見や技術です。それらが社会を変えていくのだと思います。この本の最初に書いたように、社会は技術と社会の「ハンバーガーの弁証論的展開」で変貌していくのです。
9 社会を変革するのはだれか
これについては、同じ阪原淳さんの著書が理解のヒントになります。過去の投稿「【アウフヘーベンしようぜ?】直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~|阪原淳」で詳しく、「技術」と「社会」のアウフヘーベンについて記載していますので、あわせてご覧ください。新しく生み出された技術と、これまでの社会が融合しながら、新しい意味のある社会を構成していくというのが、阪原淳さんが見出す社会のアウフヘーベンです。
そして、技術や自然資源を種として、経済活動が生まれるのですが、ここで問題が発生します。限られた資源をだれがどうやって使うのか、という交通整理や利害関係の調整が必要になるのです。たとえば、魚がたくさん取れる池があって、そこで釣りをして、市場におろせば儲かるわけです。で、友達がその池の存在を知った時に、「わたしも釣りをさせてほしい」と言ってきたとします。ここで合理的なジャッジが行われます。着眼点は、資源の枯渇の問題と、売価の低下の問題。これらをクリアしたら友達にも釣りをしてもらっても良いということになりますが、無尽蔵に友達の数を増やせません。ここで、組合を結成して、既得権益を守ることになります。組合ごとに、その資源配分に便宜や調整を図ってもらうために、政治に働きかけをするのです。こうして、政治が作られていきます。
自分一人のために法律を作ってもらうのは難しいので、ほかに池を見つけて、自分と同じように漁業組合を作りたいと考えている人たちとグループを作って、政治家に働きかけるでしょう。
7 政治とは何か
既得権益を保守することが、ある種の政治の役割になって(しまって)いるということを示唆します。
最終的に最上位の「価値観」、つまり何を大切にするかという見えない規範によって、政治が相互作用を受けることになって、一定のみながなっとくできるようなジャッジを永続的に執り行っていく仕組みが構築されているということです。「価値観」は長い間かけて作られてきたものなので、なかなか変革することは難しいものです。
この他、本書内では、「社会原理序説」のコーンを上から見た同心円でも、社会を説明しています。ぜひ本書をご拝読ください。
まとめ
- 社会の原理は、意外と教えてもらえない!――社会の原理を円錐型の「社会原理序説」で説明します。
- 「社会原理序説」の4つのコーンとは?!――「自然」「経済活動」「政治」「価値観」で社会を説明します。
- 4階層の関係性とは?――資源の配分を軸に全ての構造を説明しています。
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