【物語のかきかたとは!?】書こうとしない「かく」教室|いしいしんじ

  • ブランディングのためには「ストーリー」を語る時代だと言います。「ナラティブ」という文脈でも物語の重要性が語られています。でも、どうやって物語を作れば良いのでしょう。
  • 実は、人もブランドも、内面にヒントがあります。
  • なぜなら、表層的な事実ではなく、記憶やこだわりといった方向性を付けていくことが物語だからです。
  • 本書では、小説家いしいしんじさんが物語の方法論を語ってくれます。
  • 本書を通じて、ストーリーの紡ぎ方のヒントを得られるでしょう。

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物語とは・・!?

きっと力があって、新鮮で、しかも楽しい。

動く物

と、いしいしんじさんは、いいます。

ぼくが小説を書き出すときはいつも、自分のなかからわき上がってくるものを待つ、というふうに以前いいましたけど、別のいい方をすれば、自分のなかをひたすら探っています。

「女」と「おかあさん」

例えば「お祭り」とか「橋」とか、普通の単語が思い浮かんでも、固有の意味を持っていません。

ですが、「怖い」お祭りとか、「黄色い」橋とか、「犬でできた」橋とか、そんな風に書いてみると、想像がはたらく。

こんな言葉を物語のきっかけとして、いしいしんじさんは捉えています。

枕詞を内面に探すことが、物語を書くことだと言います。

言葉を引き上げるために、内面に釣り針を垂らしてみる

ことばを書くということは、世のなかにある、見えることばをいろいろとつなぎ合わせて、ひとに読ませるための文章をつくるだけじゃない。ふだんからも、誰かに手紙を書いたり、メッセージを送ったりしますね。そういうときに、ふいに、自分のなかへ、あることばが沈んでいくことがある。

ことばの釣り針

紋切り型の言葉を使っていては、表現にはなりません。

読んでもらえる言葉は、その人らしさ、そのものらしさ、そのブランドらしさを、まとってしまっているものであるのです。

ぼくたちは生まれてからずっといろんなものを見てきています。聞いてきています。いろんな記憶がたまっています。それらは記憶の奥底に沈んでいる。名もなく、目にも見えないから、ふだんのことばでつかめないわけです。奥のほうで溶け合わさっているんです。

ことばの釣り針

言葉にならない記憶を「見える化」するのが物語であるならば、それイコールブランディングです。

きっとブランドも、言葉にならない共通概念のようなもの。

それを見える化することが、事業者やプランナーの仕事だと思います。

ものごとはたえず動いていると認めてみる

この国の形ですら動いているのだから、動物もそうだし、夢もそう。ぼくたち自身、生まれてから全く同じ姿勢でいたことってないと思う。いつも動いている。ということは、ことばというのは、紙の上に、こうやって書き溜めていくから、ある形のままに止まっていると思っているけど、読むことで、書くことで、動いていて、流されていくことができる。それがおもしろさのひとつじゃないかと思うんですよ。

動く物

言葉には、共通の絵姿を思い浮かばせる力があります。

絵姿は固定的かもしれないですが、世の中の現実は絶えず動いています。

例えば、「猫」という言葉で、思い浮かべる猫という概念は止まっています。でも、現実はうろちょろと動いています。

固定ではなく流れて「いける」ものごとと、捉えると、不思議な自由を得られると思います。

仏教でも、ものごとは絶えず変化しているという考え方があります。

過去の投稿「【どうしたら自信がわくか?】考えすぎない生き方2|藤田一照」などで、とりあげました。

移ろい続けていく縁起の中で生きることを肯定することで、新しいみずみずしい言葉を生み出す自由を得られるのです。

もしかしたら、「柔軟になってみよう」「肩の力を抜いてみよう」のHOW TOが、いしいしんじさんには見えているのかもしれないと思いました。

固定的な誰かの価値観に生きないで、柔軟な自分の価値観を紡いでいくのもまた、良いものかもしれません。

まとめ

  • 物語とは・・!?――内面を表現した枕詞を加えた、力強く、新鮮で、楽しいことばの溶け合いです。
  • 言葉を引き上げるために、内面に釣り針を垂らしてみる――ことばになっていないで内面に積み重なっているものを探してみましょう。
  • ものごとはたえず動いていると認めてみる――意味や内容は、流れていけるからこそ楽しいのだと思ってみることが柔軟性や自由につながるのかも。

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