【格差にどう立ち向かいますか?】あなたが世界のためにできるたったひとつのこと|ピーター・シンガー

あなたが世界のためにできるたったひとつのこと
  • 日本でも格差社会が問題視されています。私たちは、この社会の生き辛さの中でどのように立ち振る舞うべきなのでしょうか。
  • 実は、そんなときこそミレニアル世代で登場している「効果的利他主義」者の生き方が参考になるかもしれません。
  • なぜなら、彼らは利他を自分の利益の一部とみなし、そして、1人でも多くの人をいかに助けられるかという問い自体を生きがいにしているのです。
  • 本書では、現代の哲学者として名高いピーター・シンガー先生が、多くの「効果的利他主義」者との出会いを克明に記録して、浮かび上がってくる彼らに共通したマインドと生き方にふれることができます。
  • 本書を読み終えると、単純に「効果的利他主義」とはなにか?ということだけではなく、私たち現代人の生き方はどうあるべきか?という先生の問いに触れることができるでしょう。

「効果的利他主義」の人とは?

効果的な利他主義は、非常にシンプルな考え方から生まれています。「私たちは、自分にできる<いちばんたくさんのいいこと>をしなければならない」という考え方です。

はじめに

現代になって、特にミレニアル世代を中心に、利他的に生きる人が増えています。

また、その中で、より一人でも多くの貧困者を助けようとか、よりインパクトのある仕組みを作ろうとか、そういう「効率性」を重視した人が登場しています。

これらの人々を、「効果的利他主義」と呼びます。

効果的利他主義者は、自分の利益と他者への利益(利他)を包含して考えています。

つまり、自分がいかに効果的に利他的でいられるか?に挑戦していることでの充足感が、彼らの利益であるのです。

また、「効果的利他主義」の人は、極めて合理的な判断をすると言います。

この場合の合理的とは、世界に対して、何が利益になるのか、そしてそれは自分の利益になるのかをエビデンスを含めてジャッジできる姿勢を持った人のことです。

合理的な人は、合理的な批判の余地のないエビデンスや価値観に従った考え方を大切にします。

「効果的利他主義」が今、増えている背景をシンガー先生は、次の3つをあげます。

1.社会が豊かになり、人生の意味や充足を追求するようになった。
2.データやエビデンス業界で、働く人が増加した。
3.インターネット等を通じて利他主義者どうしがつながった。

破壊的な発想ではなく、今ある最善の策は何か?

資本主義が一部の人を極度の貧困へ追いやることは確かでしょう。これほど巨大なシステムですから、そうでない方が驚きです。ですが、資本主義がこれまで数億の人々を極度の貧困から救い出してきたことも事実です。

第4章 お金を稼いで世界を変える

資本主義は、多くの貧困を生みましたが、その一方で、多くの富を生みそのことで、多くの人を救ったことも事実です。

効果的利他主義者は、資本主義というシステム全体を否定するのではなく、その中で、自分が「いかに最大限の利他を発揮できるか?」についてこだわります。

いくら否定を繰り返していても、物事は始まりません。

だから、いまできることの最善を尽くすマインドが今、求められているのではないでしょうか。

そして、自分がもっとも影響力を発揮できるのは何か?

どのキャリアを選べば、世の中のために<いちばんたくさんのいいこと>ができるだろうか、という問いへの答えは、あなたの興味や才能や性格次第と言えるでしょう。先程紹介したように、新しい組織を立ち上げれば非常に大きな社会貢献ができる可能性があります。ですが、その選択が成功する確率を考えることも必要です。

第5章 そのほかの倫理的なキャリア

合理的な「効果的利他主義」であるからには、単に、事前活動団体に勤めればよいのか?というと、そうではありません

仮にあなたが、金融業界で能力を発揮できる人材の場合、そのまま金融マンとして慈善団体に対して融資したり、あるいは、財務面のコンサルティングすることで、世界におけるあなたのパフォーマンスは極めて高い状態を保つことができます。

このように、「効果的利他主義」であるには、自分の適職についても合わせて考えるなどの徹底的な合理的、効率的マインドでものごとを測っていき、言動を制御する必要があるのです。

まとめ

  • 「効果的利他主義」の人とは?――ミレニアル世代で増加している、利他主義でありながら、少しでもインパクトの大きな福祉利益を世界にもたらそうと追求する人のことです。
  • 破壊的な発想ではなく、今ある最善の策は何か?――効果的利他主義は、合理的にものごとを判断します。だから、今あるシステムを否定するのではなく、その中で自分がいかに最善の貢献ができるのか?を考えます。
  • そして、自分がもっとも影響力を発揮できるのは何か?――職業選定についても、自分のパフォーマンスや適職を考えて行動します。

この本は、単に、利他主義がよい・わるいということを語るのではないです。「効果的利他主義」者の彼らが、資本主義を破棄するとかそういう究極的な選択を志向するのではなく、最善を尽くして生きているということにフォーカスしています。まさに、これがシンガー先生の問いかけなのだろうと思うのです。だから、タイトルの「あなたが世界のためにできるたったひとつのこと(・・・・)」には続く(・・・・)を埋める何かが入るのではないかなと思っています。

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