【自分で自分を営もう!?】「自営型」で働く時代――ジョブ型雇用はもう古い!|太田肇

「自営型」で働く時代――ジョブ型雇用はもう古い!
  • これからの働き方を考える上で、大切になるポイントはどこにあるでしょうか!?
  • 実は、メンバーシップ vs ジョブの二項対立で語らないことがポイントかも。
  • なぜなら、いずれも時代・日本の状況から遠いのです。
  • 本書は、第三の働き方「自営型」というスタンスを知る1冊です。
  • 本書を通じて、これからの時代と組織にフィットする働き方の方向性を学べます。

二項対立に陥るな!?

冷静に考えれば、日本式のメンバーシップ型 or 欧米のジョブ型で語られる違和感を覚えます。

日本式のメンバーシップ型

  • 雇用形態: 長期雇用が前提で、定年までの安定した雇用が重視されます。
  • キャリアパス: 社内でのジョブローテーションが一般的で、多くの部署を経験しながら幅広いスキルを習得します。
  • 評価基準: 勤続年数や協調性が重視され、昇進や昇給は年功序列が基本です。
  • 福利厚生: 企業が従業員の生活をサポートする包括的な福利厚生制度が整っています。
  • 組織文化: 組織への忠誠心やチームワークが重要視され、企業文化への適応が求められます。

欧米のジョブ型

  • 雇用形態: 職務ごとに契約が結ばれ、特定のスキルや職務に対する責任が明確です。
  • キャリアパス: 専門性が重視され、特定の職務やスキルを深く追求するキャリアパスが一般的です。
  • 評価基準: パフォーマンスや成果が重視され、実績に基づく昇進や昇給が行われます。
  • 福利厚生: 基本的な福利厚生は整っているものの、日本に比べて個人の責任が大きい場合が多いです。
  • 組織文化: 個人の自主性や成果が尊重され、仕事とプライベートのバランスが重視されます。

例えば、日本の4割を占めるパート、アルバイト、派遣といった働き方は、メンバーシップではなく、ジョブの側面が大きいし、アルバイトやインターネット経由で行ういわゆるギグワーカーを見ていると、必ずしもジョブ型がよりよい働き方のバランスをもたらすことが言い難いのです。

ジョブ型の未来が必ずしもバラ色でないことは容易に想像できるだろう。

まえがき

あるいは、活躍するスポーツチーム(例えば、侍ジャパンや、サッカー、ラグビーなどのチーミング)を見つめてみると、メンバーシップ、ジョブ、いずれにも当てはまらないような活躍のスタンスを見出すことができます。一人ひとりが与えられた仕事だけをこなすジョブ型とは異なります。

また、事実として、多くの経営者、人事担当者からは、次のようなコメントが聞かれています。「これまでの日本的な雇用はもう限界だが、欧米式のジョブ型は弊害が多すぎる」ということもあります。

理想的な社員の在り方としては、彼らは、「自分で判断して行動できる自立型社員」とか「プロジェクトを安心して任せられる社員」といった答えが返ってきます。

二項対立は、物事の本質をついたり、あるいは現実的なニーズを曇らせます。二項対立によって、満たされない中庸あるいは、もう一つの軸を見出す視点としても本書のスタンスには、非常に学びがあります。

ちなみに、両立の視点から、二項対立の危うさを描いた1冊としてこちら「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」もぜひご覧ください。

第三の働き方!?

上記のような視点から、新しい働き方の軸を見出してみましょう。それが「自営型」と言われる働き方として定義されるものです。

「自営型」とは、組織に属しているか否かにかかわらず、半ば自営業のようにある程度まとまった仕事を一人でこなす働き方です。

例えば、イタリアの革製品職人は、一人で多くのことを行います。高級ブランドを制作する食品は、多くの行程に責任をもって、自らの名前で商品を販売していくスタンスを持ちます。そして、日本のとある工場でも最終製品に、責任者の名前を刻印するようにしてみたところ、非常に生産性が向上し、従業員のマインドセットも向上したそうです。

人の責任感や、頑張る気持ちなど、正しい側面を強調することが「自営型」によって可能になりますし、そうして生み出されたものごとには、他者の共感を生む力をもたらすのです。

これからの時代には、IT化やソフト化によって、大量生産・大量消費の世界観に大きな変化がもたらされます。それは、人が不要になるということです。むしろ人が介在しないほうが、生産性が高くなる現実があります。おなじ規格で作られるものは、ますます自動化が進む中で、「人は何を仕事にするべきか」という問いは常につきまといます。

これに一つの答えを提示してくれるのが「自営型」というスタンスです。

自動化が進む中で、人はさらに自由を得ます。一箇所に集まって仕事をする必要性がなくなります。そして管理職が担っていた、管理業務の一定程度は、ソフトウェア等によっても代替することがますます可能になります。こうした環境下の中で、大きな組織や社内のさまざまな制度、ルールが、生産性に対してマイナスに働く現象も置き始めています。

結果的に「規模の不経済」や「制度の不経済」が働く中で、過去のやり方に縛られない方法を見直していったほうが、より良い環境につながっていきます。

むしろ一人ひとりによりよい環境とは、「自営型」の従業員を含むステークホルダーに対して「インフラ」と同じように機能する基本機能を備えたものとなるべきなのではないか、と想定されます。

自営型のメリットとは!?

必要なインフラを提供しながら、一人ひとりが自らの仕事をデザインして、他者を巻き込みながら、自発的に働き続ける環境を整備することが、これからの企業には特に求められます。インフラの内実には、情報環境や労働環境(福利厚生等含む)、法規制などの基本遵守は当然のことながら含まれますし、ミッション・ビジョン・バリューなどの社会とのポジティブな接点の考え方についても含有してくると考えるのが理想でしょう。

従業員にどうやって仕事をさせるのか?ではなく、何をステークホルダーと共有しものごとを推進していくのか?というスタンスが求められるのです。

一人でまとまった仕事をこなす自営型は、企業にとって生産性向上と人材不足対策の切り札になるかもしれないし、エンゲージメントの高さはリテンション(人材確保)につながる。また、勘や熟練を活かしマイペースで働けるところは、シニア層の活用にも適している。

まえがき

「自営型」に進んでいくためには、一人ひとりの自己変革がキーになります。

こうした社会では一人ひとりに求められる能力や姿勢もこれまでとは大きく異なってきます。とくにAIが席巻するこれからの時代には、人間特有のアナログ的な能力と自営業的な発想、生き方がより大切になります。

したがって教育や仕事に対する向き合い方も180度転換しなければならない。

まえがき

「自営型」ではチームワークが強固になります。

メンバーの間に有形無形の交換関係が発生するからです。ギブをしながら、互いに支え合いに対して感度を高めながら仕事をしていきます。メンバーシップやジョブ型ではメンバーはあくまで組織のメンバーとして協力関係にありますが、個人ベースの贈与のやりとりや感謝のやりとりは薄れてしまいます。自営型では、個人ベースの観点で助けたり助けられたりが繰り返し行われる中で、自発的に協働できる関係を構築することが可能になります。

必然的に、それは、健全なチームワークの醸成につながっていきます。

まとめ

  • 二項対立に陥るな!?――実は、第三のスタンスに方針を目指すことが理想かも知れません。
  • 第三の働き方!?――「自営型」という組織に属しているか否かにかかわらず、半ば自営業のようにある程度まとまった仕事を一人でこなす働き方です。
  • 自営型のメリットとは!?――働きがいやチームワークの向上等により、生産性が向上します。
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