【「株主TAM」を意識せよ!?】投資家をファンに変える「株主ケア」|デービッド・スノーディ

投資家をファンに変える「株主ケア」
  • どうしたら株価を維持・向上することができるでしょうか!?
  • 大切なのは、投資家の方にファンになっていただくことです。
  • 個人投資家の方にファンになっていただくことで、株を保有し続けていただくことができるからです。
  • 本書は、これからの時代のすべてのステークホルダーに共通する大切な見立てです。
  • 本書を通じて、企業や事業のファンを作る視野・視点を知ることができます。
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企業価値のファクターは!?

上場企業であるということは、それは同時に何を意味するでしょうか!?実は、株式を簡単に売却されてしまうということです。

企業は、主に、従業員と株主との関係を向上させることが大切です。こちらの投稿「【いかに長期的に豊かな経営を目指せるか!?】経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営|中神康議」でもレビューをさせていただきましたが、3社間のよりよい関係こそが、企業永続のヒントです。

従業員の解約コストは大きいものです。従業員にとって、解約、つまり退職とは、給料のストップを意味します。これまでの関係性を捨てて、新たな企業に就職することのリスクを考えれば、現状維持で、同じ会社に勤めていたほうが不確実性をなくせると判断しがちです。結果日本では、生涯において1~3社程度勤め先を変えると言います。中には生涯で1社の方も少なくないでしょう。

従業員と会社の関係は一定程度、束縛の関係ですが、しかし株主はそうは言えません。上場企業であれば、非常に流動性が高くなるのです。顧客以上にそれは流動的です。

顧客の解約コストは、従業員よりは低いものの、かなり大きい。
もし、企業Xから5年間にわたり部品の一部を調達していた場合、新たな調達先を探し、その部品の効率的な活用方法に慣れるまでには時間を要するだろう。

上場企業であるということは簡単に株式を売却されるということ

祭日を除き、株式市場は1日6時間、週5日で開いています。2022年において、TOPIXの年末時点の時価総額が705兆4341億3700万円であったのに対して、取引総額は872兆を超えました。これは平均すると1.1回の回転率になります。毎月約10%程度の株を売買されていることになります。

キーポイントは、ボラティリティにあります。

ボラティリティとは、金融市場における価格変動の度合いや不安定さを示す指標です。具体的には、株式、通貨、商品などの価格がどれだけ大きく変動するかを表しています。ボラティリティが高い場合、価格の変動が激しくリスクが高いことを意味し、低い場合は価格変動が小さく安定しているとされます。

ボラティリティ隠れた真実とは!?

TAMという概念が大切です。TAMは、現在構築中の事業の潜在規模を示す「TAM(=Total Addressable Market)」という概念です。獲得可能な最大市場規模という意味です。

通常の事業を考えてみましょう。顧客が少ないよりも、多いほうが、リスクが分散されることは容易に想像がつくでしょう。同種の顧客ばかりをポートフォリオに有している場合、環境の変化等により、自社の収益に大きな影響をもたらす可能性が高く、リスク管理を適切に行う必要があります。

これは、株主という“マーケット”においても同じように適用される概念であるはずです。

ボラティリティが低下するについれ株主TAMが拡大するばかりではなく、同時に、株主TAMの拡大はボラティリティを低下させる。

株主TAMはボラティリティの低下に伴い増加する

株主が多くなるということは、投資家も人間であることから、痛み分けの意識が働くことになります。なので、株主との向き合いに際しても、どれだけの方にジョインいただけるのかボリューム&スケール意識を持つということも非常に大切な視点となります。

ボラティリティが下がると、株主TAMが拡大するのみならず、各株主が自社の会社の株をポートフォリオの中により多く持つことが可能になり、結果的に株価の維持向上に寄与するのです。

デービッド・スノーディさんによると、多くの上場企業がIRに注力しますが、そこには株主TAMという概念がないと指摘します。株主TAMを無視するということは、企業価値の向上維持を無視することと同義だと捉えます。

株式市場は非常に複雑で流動的かつ、相互影響度の強い動き方をします。株主TAMとボラティリティが相互関係を示していることからもわかることです。さらに、ボラティリティが低くなれば、株主資本コストが低下し、自社の運営コストを圧縮し、よりより経営力に繋がることになります。

株主資本コストは株式のボラティリティにより導かれ、ボラティリティが上昇すると、想定されるコストも増大する。

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ボラティリティ・コントロールの方法とは!?

企業価値のためには、

1)利益の拡大
2)ボラティリティの低下による資本コストの低下
3)より効率的な債務と資本の組み合わせによるWACCの低下

がキー要素になります。ボラティリティは、資本コストの低下になることにより、WACC自体を低下させるので、より効果的なキー要素であることになります。

ボラティリティをコントロールするには、株主TAMの考え方を意識しながら、いくつかのツールを活用することも前提としましょう。

ツール1)最低投資金額・・投資単価を低下させることもボラティリティを低下させることになります。単元株を見直すだけなので、低コストで実施できるようになります。

ツール2)配当・・配当の支払いも、ボラティリティを下げることになります。配当を支払い、かつ利益を出している約3000社の中では、配当性向が20%を超える企業のボラティリティが急激に減少しています。

ツール3)株主優待・・上記の配当と同様に、株主優待もボラティリティ低下の要素になります。

ツール4)自社株買い・・自社の株を適切に行うことによる、ボラティリティ低下が見込めます。一般に、自社株買いを行うことによって、EPS(1株あたりの当期純利益)がUPするためです。

ツール5)コミュニケーション・・貸借対照表の項目に目標と枠組みの情報伝達をすると価値が増大するように、各コーポレートアクションは、どのように株主を扱いたいのかという取り組みを伝達すると効果が大きくなります。
各コーポレートアクション(配当の増額、自社株買い等)は、投資家がそれらの行為が株主ケアの一環であると信じられた時に、より大きな価値を生み出すのです。1円=1円ではないのです。情報伝達する内容が問題なのです。

事業のより高いバリュエーションと安定性が提案する明らかなメリットに加え、多くの企業が見落としているもう一つのメリットがある。
私はそれを「人材CAPM」と呼ぶ。

人材投資が事業バリュエーションを高める

なぜ、人材が株価に影響を与えるのか?それは以下のメカニズムが働くためです。

  1. 日本は構造的に深刻な労働力不足に直面している。
     ↓
  2. 最も賃金の低い層では、派遣労働者と外国人が、企業に労働力不足(および終身雇用に起因する問題)に対するある程度の柔軟性を提供している。
     ↓
  3. 最も賃金が高い層ではこのような解決策は機能しない。
     ↓
  4. 日本の労働者は、勤務する会社の株価に対し、 10年前とは異なる形で関心を持っている。より多くの労働者が株を所有するようになったのが一つの要因だ。より大きな変化は、今や株価が企業の名声の構成要素の一つであり、従業員にとって企業の名声は大きな社会的価値となっていることだ。
     ↓
  5. よって、自社の評価は、従業員の質に直接的な影響を与える。

こうした有機的かつ、システム的に捉えられる好循環を掴むためには、上述の通り「ボラティリティ・株主TAM」&「人財の質」をケアして、「バリュエーション」に繋げる必要があるのです。全体を俯瞰しましょう。

まとめ

  • 企業価値のファクターは!?――ボラティリティが影響を与えます。ケアするべきです。
  • ボラティリティ隠れた真実とは!?――実は、「株主TAM」と相互互換の関係にあります。
  • ボラティリティ・コントロールの方法とは!?――「ボラティリティ(5つのツール活用)&株主TAM)」&「人財の質」をケアしましょう。
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