【私たちは、遺伝子の乗り物!?】そんなバカな!遺伝子と神について|竹内久美子

そんなバカな!遺伝子と神について
  • どうしたら自己理解が深まるでしょうか。
  • 実は、遺伝子と向き合うことが私たちの本性を知ることに繋がるかも知れません。
  • なぜなら、私たちは単なる遺伝子の乗り物だ、とすることも可能だからです。
  • 本書は、遺伝子のリアルに関する1冊です。
  • 本書を通じて、自己理解について新たな視点を得られます。
竹内久美子
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生命の本質とは!?

生命の本質とは、自分で自分のコピーを作ること、つまり自己複製をすることなのだ。

完全無欠のスーパースター/R・ドーキンス

嫁と姑はなぜ憎み合わねばならないのか?魅力的で性格もいい男がどうして浮気だけはおさまらないのか?賭博と酒におぼれ、すってんてんになっても渡り歩く男がなぜ滅びないか。倹約にいそしみ、お金がたまると「うしし」とほくそえみたくなるのはなぜか。

人間は賢いはずなのに、時々とんでもなくアホになる、それは、この遺伝子が傍若無人に振る舞うからです。

私たちは、乗り物!?

遺伝子側から、人を見てみると、これは単なる「乗り物」だということがわかります。

利己的な遺伝子は自分の乗っている乗り物がいつ命を落としてしまうか心配でならず、なんとか早めに新しくて生きのいい乗り物に乗り移って起きたいのである。

完全無欠のスーパースター/R・ドーキンス

そんな視点で、遺伝子視点で人や動物の行動を説明したのが、『利己的な遺伝子』で有名なリチャード・ドーキンスさんです。

リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
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遺伝子の視点から、人生を見ると、とてもシンプルなことに気が付きます。そこには、「個体の成功」とはまったく切り離された、遺伝子的成功ロジックが潜みます。私たちは、遺伝子の世界と自分の世界、2重の世界観を内包しているのです。

遺伝子的成功とは、ひたすらコピーを増やしていくことです。そこには、貴賤などなく、富や名声などは無関係です。もっというと、個体が幸福かどうかさえも無関係かもしれません。少なくとも個体が生きながらえ、いち早く、そしてより多く、遺伝子がコピーされ若い身体で代を繋いでいくことができれば、御の字なのです。

こうした視点に立つと、宇宙から自分たちを眺めているような、マトリックスの映画を見たあとのような、メタ認知を獲得することができます。

利己的な遺伝子からすれば、それぞれの個体の区別はなく、それぞれがすばらしい遺伝子の乗り物なのです。

我々は何かの分野で成功を収めたり、世間から立派な人間であると称賛されたり、あるいはその人なりに充実した人生を送るというような具合には必ずしも設計されていない。

エピローグ

個々の人間は、利己的遺伝子の自己複製の乗り物として認識した時、はじめて、平等であると本当に理解することができるのです。

乗り物は乗り物の上に乗り物を作らないし、乗り物の下にも乗り物を作らないのである。

エピローグ
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文化も遺伝子的である!?

人間や一部の動物がもつ、「文化」も遺伝子によって伝達され、あるいは、遺伝子を残すのに役立っています。リチャード・ドーキンスさんが「ミーム」と名付けたのは、この文化的遺伝子のことです。

宮崎県の幸島のサルはイモを洗って食べることが有名ですが、これを最初に始めたサルとその習慣の伝播が記録に残っています。1953年に初めてイモを洗って食べるメスのサルが確認されてから、瞬く間に群れの中で広がっていきました。面白いのは、伝播は、下の世代と、上の世代はその母親と一部の親だけにとどまったということです。群れのリーダーや他の大人たちには広がらず、世代交代がされていく中で、ほとんどのサルがイモを洗って食べるようになりました。

新たなカルチャーが上の世代に伝わらなかったという文化的遺伝子の特徴も印象的ですが、イモを洗って食べることによって、エサが食べやすくなり特定の個体が(遺伝子のお望み通り)生き延びやすく、そして、遺伝子複製をしやすくさせたことも非常に印象深いです。

「文化」は個体の脳から脳へ主に模倣によってコピーされて伝わり、ときにはコピーミスが起きる。これが新しい「文化」を産むこともある。役に立つ「文化」はよくコピーされるが、どうでもいい「文化」はあまりコピーされないので、「文化」の複製の頻度には差がある。

ミームという名の曲者/ニホンザルのイモ洗い文化

道徳や宗教のような人間の精神的な文化も遺伝子の問題と行き着くはずです。たとえば、ある道徳がある遺伝子のコピーを増やすのに都合の良い声質を持っているとすると、その遺伝子はその道徳のおかげで増えることができます。そしてポイントなのは、その道徳もその遺伝子が増えることで、増え続けることが可能になるという点です。

インドでは、牛を聖なる動物として大切に世話をします。牛は家族同然のように扱われ、人と四六時中ともにします。すると、蚊は相対的に緩慢な牛を刺すようになり、人が蚊に刺されることが少なくなります。結果、人はマラリアに罹患することが少なくなり、牛を大切にするという宗教観・道徳が、後世まで受け継がれていくことになります。

私たちの「理由はわからないけれど昔から行っている生活習慣」などは、ほとんどが、遺伝子が利己的に運んでいるカルチャーである可能性が高いです。

なんとなく続けていることを、利己的な遺伝子の視点で、点検してみると、人間の性や文化の核心にふれることができるかも知れません。

まとめ

  • 生命の本質とは!?――自分で自分のコピーを作ること、つまり自己複製をすることです。
  • 私たちは、乗り物!?――遺伝子のカリヤドです。
  • 文化も遺伝子的である!?――特定の文化と相乗効果をなし、遺伝子は伝達されやすくなります。
竹内久美子
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