- 顧客価値を検討する際に、なにかヒントになる指標はないでしょうか!?
- 実は、ひとくちに顧客価値とってもいくつかのレイヤーがあるのです。
- なぜなら、価値はその作用先として機能・情緒・生活などさまざまなメリットとして出現するからです。
- 本論文は、そんな価値をレイヤーでとらえる1冊です。
- 本書を通じて、価値をとらえるヒントを得られるでしょう。
30の価値要素とは!?
エリック・アルムキストさんら、著者チームは、1万人以上の消費者分析により、30にのぼる「価値要素」を特定しました。
これらの価値要素は、レイヤーで分類されています。1)機能、2)感情、3)人生の変化、4)1社会への影響です。
我々は、クライアントのために30年にわたって消費者の調査や観察をしてきた経験から、30の基本要素を特定した。その下地となったのは、定量的、定性的な顧客調査の数々である。
マズローの欲求階層説を拡大・発展
<価値要素のピラミッド>
社会への影響・・自己超越
人生の変化・・希望の創出、自己実現、モチベーション、資産継承、帰属・縁
感情・・不安の軽減、自分へのほうび、懐かしさ、デザインや美観、象徴性、健康、癒し、娯楽、魅力、つながりの提供
機能・・時間の節約、簡素化、収益確保、リスク低減、整理・整頓、統合する、つなぐ、労力の軽減、面倒の回避、コスト削減、品質、バラエティ、感覚訴求、情報提供
仮説1)複数要素とロイヤルティ
複数要素で、高評価を得た企業ほど、顧客の忠誠心が高くなる傾向があります。
4つ以上の要素について全回答者の半数超から高評価(「8」以上)を獲得した企業(具体的には、アップル、サムスン、USAA、TOMSシューズ、アマゾン・ドットコムなど)は、高評価が一要素またはゼロだった企業と比べて、NPSがそれぞれ3倍、20倍に達していた。
売上高の増大
顧客の価値を複数個満たすことができれば、NPS、つまり他の方への今後の推奨意向が高まる傾向にあります。
仮説2)売上高相関
第2の仮説は「複数の価値要素で高評価を得る企業は、売上高の増加率が相対的に高いはずだ」というものである。そのような企業は売上高成長率が高く、しかも右肩上がりを続ける傾向が強かった。
売上高の増大
価値が結果的に評価されれば、売上高にもよい相関を得ることができます。
既存事業の再構築や、新規事業の立ち上げの際には、顧客目線で何が提供できるのかを深く検討する必要があるでしょう。普及拡大のためには、利用者からの支持が必要です。もっといえば、キャズムを超えるためには、最初の利用者の熱狂的な好意が不可欠になります。
価値は、プロダクトやサービスの結果です。何を提供すれば、どのような価値として解釈してもらえるのかを、検討することが事業づくりにはかかせません。
顧客の価値について検討するには、こちらの投稿「【ブランドは、深さである!?】ブランド 「自分の価値」を見つける48の心得|岩田松雄」も大変おすすめです。
まとめ
- 30の価値要素とは!?――1万人の消費者調査によりまとめられた4つのレイヤーの顧客価値群です。
- 仮説1)複数要素とロイヤルティ――複数価値を満たす企業は、顧客からのロイヤルティが高い傾向にあります。
- 仮説2)売上高相関――複数価値を満たす企業は、売上高も高い傾向にあります。