【正しいナッジの見つけ方とは!?】行動経済学の使い方|大竹文雄

行動経済学の使い方
  • どうしたら人の行動を自然により良い方向へ向かせられるでしょうか!?
  • 実は、行動経済学のナッジを上手に使えば良いかもしれません。
  • ナッジとは、行動経済学のエッセンスを活用した「小突き」のことです。
  • 本書は、行動経済学の基本を見ながら、ナッジ設定のヒントを説きます。
  • 本書を通じて、自分にも組織にも活用できるナッジの考えを知ることができます。
大竹文雄
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前回の投稿「【踊る!「人の心理」とは!?】行動経済学の使い方|大竹文雄」に続き、今回も本書をご紹介させていただきたいと思います。今回は、行動経済学を活用した、人の動かし方にフォーカスしてみましょう!

ナッジとはなにか!?

一般的に人の行動を変えるためには、法的な規制や罰則を導入したり、補助金や税などの金銭的なインセンティブを設定することが先ず考えられます。

ただ、行政がすべてコントロールする社会というのは、どうも違うように思えます。

あるいは、教育を通じて価値観を変容させることなども可能かもしれません。

ただ、教育を通じた価値観形成は、短期的な効果を大きく期待でいるものではないですし、義務教育年齢の子供のには有効かもしれませんが、それよりも上の世代には、難しいかもしれません。

行動経済学を使えば、可能性を担保した人の行動変容を目指すことが可能です。

行動経済学的手段を用いて、選択の自由を確保しながら、金銭的なインセンティブを用いないで、行動変容を引き起こすことがナッジである。

1 ナッジを作る

ナッジは、命令ではありません。例えば、カフェテリアで果物を目の高さにおいて、果物の摂取を促進することはナッジですが、健康促進のためにジャンクフードをカフェテリアに置かないことはナッジではありません。人の行動の制限をするのではなく、人が持つ性分に訴えかけるアプローチをとります。

ナッジ設計のステップとは!?

経済協力開発機構が、ナッジを設計するステップを明確化しています。BASICです。

  • B・・Behaviour 人々の行動を見る
  • A・・Analysis 行動経済学的に分析する
  • S・・Strategy ナッジの戦略を考える
  • I・・Intervention ナッジによる介入をする
  • C・・Change 変化を計測する

人々の観察では、対象とする人たちが、意思決定をしている人にとってどれだけ重要な行動変容と意識されているのかを見つめることです。彼らにとっての課題感の大小でアプローチが異なります。

意思決定の重要性を本人が理解していないのに、何らかのバイアスによって望ましくない意思決定をしているかもしれないし、あるいは正しい意思決定をしていて、本人はその意思決定と整合的な行動をしたいと思っているのに、実際の行動が意図したものと異なっている可能性もあります。

その意思決定が行われるのは、どのようなタイミングであるかを考えてみます。本人が能動的に行っているのか、そうでないのかの把握も忘れてはいけません。意思決定のパターンについてもおさえます。

意思決定の際に、どのような情報を得ているのか、文章情報なのか、資格情報なのか、口頭情報なのか、も大切です。

もともと理想的な行動をとりたいと本人が望んでいたなら、コミットメント手段を提供するだけで、彼らはその手段を選ぶようになるはずだ。貯蓄を増やしたいということであれば、給与からの天引き貯金制度やクレジットカードの上限額設定の選択肢を提供することがこのタイプのナッジである。

1 ナッジを作る
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ナッジの切り口のヒントとは!?

ナッジを選択するためには、行動変容のボトルネックを見つめることもヒントです。

対策ボトルネック
自制心を活性化するようなコミットメントメカニズムの提供、社会規範ナッジ本人が自分がしなければならないことを知っているのに達成できないのか?
情報提供、デフォルト設定、社会規範メッセージ望ましい行動を知らないのでできないのか?
コミットメントメカニズムの提供、デフォルトコミットメント自分自身でナッジを課するだけの意欲があるのか?
損失回避・社会規範の利用情報を正しく提供すればよいのか?
シンプルに、何をすればわからないように、必要な情報だけに情報の負荷が多すぎるのか?
競合的な行動を抑制するようなナッジ(社会規範、ルール化)引き起こしたい行動と競合的な行動が存在するのか?
意思決定のボトルネックと対策

次のようなチェックもポイントです。

  • 1)本人は、自分がしなければならないことを知っていて、それが達成できないのか、それとも望ましい行動そのものを活性化すべきなのかという点。
  • 2)自分自身でナッジを課するだけで十分に動機付けられているかという点である。
  • 3)人は情報を正しく認知することができれば望ましい行動をとれるのか、それとも認知的な負荷が過剰でできないのかという点である。
  • 4)引き起こしたい行動と競合的な行動が存在するために目的の行動ができないのか、単に惰性のためにできないのか、競合する行動を抑制すべきか、目標行動を促進すべきなのかといった点である。

実は、これらの行動変容の施策(ナッジ)は、マーケティングにおけるカスタマージャーニー分析と施策立案のステップに酷似していて、かつ、応用可能だと思われます。次回の投稿では、具体的な事例を用いながら、ナッジとマーケティング施策立案の接合点を探っていきましょう。

意思決定の歪みを、行動経済学特性を用いることで、よりよいものに変えていこうという考え方がナッジと呼ばれるものである。

1 ナッジを作る

まとめ

  • ナッジとはなにか!?――行動経済学的視点で、人の行動を変容させることです。
  • ナッジ設計のステップとは!?――BASICで人を見つめてみましょう。
  • ナッジの切り口のヒントとは!?――人の行動のボトルネックの解像度をあげることです。
大竹文雄
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