【BtoBマーケティングには、『正しい型』がある!?】事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践|栗原康太

事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践
  • BtoBマーケティングって、なかなかそのノウハウが確立されていない!しかも、コロナ禍でさらにわからなくなった!という方は少なくないと思います。
  • 実は、BtoBマーケティングこそ、知識とフレームワークが成否を決める活動かもしれません。
  • というのも、『正しい型』があるからです。
  • 本書は、そんなBtoBマーケティングの『正しい方』についていくつかの視点でレビューされているものです。
  • 本書を通じて、BtoBマーケティングの全体像に触れ、自社にとって不足している点についてディスカッションできるようになるでしょう。

顧客が自らサービスを選定する時代になった!?

圧倒的に差別化されている商品が生まれにくい時代になり、さらに、情報が潤沢に流通される中、購買のあり方に変化が生まれています。これまでは、情報差によって、販売者が購買者よりもハイグラウンドでしたが、今は、逆転しました。

課題解決の方法は、いまや営業パーソンではなく、顧客自らが決めています。

インターネットの登場以降、顧客行動は大きく変わった

過去の投稿「【顧客の本当のお困りごとに寄り添え!?】B2B顧客の悩みを解消する「処方箋型」営業|ニコラス・トーマン,ブレント・アダムソン,クリスティーナ・ゴメス」においても、営業は第三者として顧客の本当の問題や課題に寄り添うことで、セールスを円滑にすることが説かれていました。つまり、単なる情報格差を埋める活動ではなく、顧客に寄り添った課題解決アプローチが求められているということです。

顧客が自ら行うベンダー選定の段階で選ばなければ、営業パーソンは声をかけてもらえないということです。

インターネットの登場以降、顧客行動は大きく変わった

LTVの強さがマーケティング戦略の自由度を決める!?

自分が担当するビジネスのユニットエコノミクスがプラスになっているか、マイナスになっているかを常に考える習慣を持つことが大切でしょう。

LTVの強さがマーケティング戦略の自由度を決める

「ユニット」とは、たとえば中古車販売であれば、「車1台あたり」のことです。さまざまなネジを売っているのであれば、「注文をしてくれる顧客1社あたり」になります。

このユニットエコノミクスは、「LTV÷CAC」という計算式で表されます。

  • LTVとは、顧客生涯価値のことです。たとえば、サブスク型であれば、「1顧客あたりの月次利益×リピート購買回数」、売り切り型であれば「1取引あたりの利益×リピート購買回数」で算出されます。
  • CACは、Customer Acquisition Costの略で、顧客獲得コストのことです。新規顧客獲得にかかった営業・マーケティング費用の合計を、新規顧客獲得数で割ることで算出されます。

これらを統合して、割り算すると、1顧客が生涯生み出す利益を獲得する効率性が、「ユニットエコノミクス」となります。ちなみにこれが、SaaS型ビジネスモデルであれば、3以上が目安になります。

BtoBビジネスモデルは、CACは一定以上かかってしまうのが一般的です。というのも、BtoB購買には次のような特長があるからです。

  • 衝動買いが少なく、購買までの検討期間が長い
  • 購買に複数人、複数職種、複数役職が関与するため、社内での調整や説明、稟議などのプロセスが必要
  • 商談から受注までの検討期間が長期にわたる
  • 最終的な販売チャネルは店舗やECサイトではなく、営業パーソンであり、訪問、提案、見積もり、契約などにおいて営業パーソンが介在する

CACの削減は、限界があることから、次の2つの方向性でなければ、BtoBサービスを展開する企業の上場は難しいといえます。

1)エンタープライズ(大手)企業向け
  例:Sansan、キーエンス、NTTデータ、電通など

2)インフラ系(単価は低いが、一度入ると継続期間が5年、10年と長くなる)
  例:Slack、Chatwork、楽楽精算など

極論を言ってしまえば、SMB(Small and Medium Business)、つまり中小企業向けに商品を開発した瞬間に、ビジネスのサイズが限定され、上場できる規模にはならないということです。

エンプラかインフラか

一方で、LTVをいかに向上させるかも、同時にポイントととなります。

CVポイントの設計がマーケティングの成果を決める!?

CV=コンバージョンには、実はさまざまなものがあります。購入だけがコンバージョンではありません。無料体験、資料請求、ウェビナーへの参加、これらの顧客行動はすべてコンバージョンと捉えられます。

大切なのは、いきなり「無料トライアル」などのコンバージョンを設定しない!ということです。なぜなら、顧客は慎重に一歩ずつ階段をのぼるように、あなたのビジネスに近づいてくるからです。

SaaSやサブスクリプション型サービスの代表例である、DropboxやEvernoteなどの影響か、BtoB市場におけるSaaS企業のWebサイトでも、CVポイントとして「無料トライアル」だけを設置しているケースが意外に多く存在します。

CVポイントの設計がマーケティングの成果を決める

「無料トライアル」→「商談」→「本導入」ではなく、
「資料請求/お問い合わせ/導入相談」→「商談」→「無料トライアル」→「本導入」と、
より細かい階段設計が望ましいです。

また、売り方についてもよりハードルを下げる工夫を検討してみましょう。

1)無料トライアル期間を設ける
2)初日から有料だけど「14日間返金保証」などをオファーする
3)一部機能・リソースを切り出し廉価版や新商品を販売する
4)一分作業を代行する
5)課金方法を変える

見込み客がより登りやすい階段を用意してあげることが、受注数の引き上げにも有効です!

まとめ

  • 顧客が自らサービスを選定する時代になった!?――顧客の立場に立った課題解決→情報提供アプローチを設計しましょう。
  • LTVの強さがマーケティング戦略の自由度を決める!?――CAC低下には限界があるため、LTVをいかに向上させるか検討しましょう。
  • CVポイントの設計がマーケティングの成果を決める!?――CVポイントを細かく設計しましょう。
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