【コンビニの神様かく語りき】鈴木敏文のCX(顧客体験)入門|鈴木敏文,勝見明

鈴木敏文のCX(顧客体験)入門
  • いかに、これからの時代も社会から求められ続けるビジネスであり続けられるか!?と、ふと悩むことはありませんか?
  • 「顧客の満足度」の追求が何よりも大切です。
  • なぜなら、結局はお客様のために価値を作ることがビジネスであり、絶対価値になるからです。
  • 本書は、セブン-イレブン・ジャパンを創業し、日本流のサービスに進化させた鈴木敏文さんによるCXを考える1冊です。
  • 本書を通じて、セブン-イレブンが他店とことなり、顧客価値・顧客体験のためのさまざまな着眼点にふれることができるでしょう。

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なぜ、セブン-イレブンの日販は他チェーンより15万円も高いのか!?

なんと、セブン-イレブンの全店の1日に販売される額(平均)と競合店とでは、15万円も異なるそうです。コンビニというと、そんなに品揃えでは差がないと思われますが、なぜ結果として、売上に差が出るのでしょうか!?

単にモノを売るのではなく、モノをとおして、お客様に満足していただけるようなコトを提供する」

なぜ、セブン-イレブンの日販は他チェーンより15万円も高いのか

あくまで、モノではなく、コトを販売していると鈴木敏文さんはいいます。そして、このコトを販売するために、セブン-イレブンでは、「仮説・検証」を現場で行えるような組織、風土、仕組みを作ってきたというのです。モノあまりの時代において、セブン-イレブンは、顧客に対して単なるモノではなくコトを提供して、かっこたるブランドを作ってきました。

モノ・・物質的/物理的
コト・・心理的/感情的

このようにとらえられるでしょう。いかに、モノだけではなく、コト、つまり顧客の心を動かし、感情を沸き立たせられるような販売ができるかを日常的に考えている組織、それがセブン-イレブンであると言えるでしょう。

最近、鈴木敏文さんが考えているのは「近くて便利」だけではなく、そこにいかに付加価値が付けられるか?ということです。たとえば、「家族ぐるみのレジャーとしての消費」や「自ら組み立てて独自性が出せる商品(食品等)」などに、勝機がありそうとのことです。こうした「仮説」を自らもち、顧客に問い続けていく姿勢が大切なのですね。

顧客価値のための顧客体験の追求とは何か!?

大切なのは、自分たち(会社)ではなく、顧客(お客様)を起点に考え続けることだと、鈴木敏文さんはいいます。ともすると、企業は、「競合を打ち負かそう!」という気持ちが強くなって、顧客をおざなりにしてしまうこともありえます。そうなると、顧客が求めることとはことなる次元での競争となり、結果、何も満足を作り出せない状況にもなりかねます。

イノベーションのジレンマでもよく語られることですが、技術革新に盲信してしまった結果、超高スペックで多機能なモノはできたけれど、ぜんぜんほしい!って思えないものになっていた、なんてことがありうるのです。

モノマネをせず、自己差別化を進めるには、一人ひとりが自分の頭で考え、独自のアイデアと創意工夫を生み出していく必要があります。

CXとEXは両輪をなす

ここで鈴木敏文さんは、スターバックスの成功と失墜と回復を事例であげています。

ハワード・シュルツさんが創業したスターバックスは、「第3の場所(自宅でも、職場・学校でもない、サードプレイス)」をコンセプトに顧客ロイヤルティを獲得してきましたが、2000年にシュルツさんがCEOを引退したあと、投資家の要請に応えて店舗を急拡大した結果、サービスクオリティが非常に低下してしまい、顧客離反につながったそうです。それは、まるで、ファストフード・チェーンと同じようなマネに近い、ビジネスモデルに自分たちを近づけてしまったようでありました。

その後、シュルツさんが急遽経営に復帰して、再生に取り掛かりますが、その時にポイントとしたのは、従業員の満足度だったといいます。仕事に対するワークエンゲージメントを高めるために、数多くの施策を展開していったといいます。学生アルバイトでも「お客様は何を求めているのか」「お客様はどのようにとらえているのか」を自問自答しながら、毎日のサービスを提供することで、自分たちも、よい顧客体験を積み上げることに気づくものです。

「単なる作業」はあらかじめ「答え」がわかって行うのに対し、「本当の仕事」は自分で責任を持って挑戦し、自分の頭で考えを出し、問題解決をしていかなければなりません。

CXとEXは両輪をなす

「本当の仕事」について、考え・実行できる組織が強いのです。

顧客体験の作り方、その視点とは何か!?

では、そんな柔軟性に富んだ強さを発揮するには、どうしたらいいでしょうか!?それに答えてくれるのが、鈴木敏文さんのいくつかの着眼点です。

1)予定調和を壊す
2)「上質さ」×「手軽さ」の空白地帯を見つける
3)仮説力を鍛える ①疑問を発することが出発点
4)仮説力を鍛える ②「先行情報」を見つける
5)仮説力を鍛える ③ミクロとマクロの両方の目をもつ
6)仮説力を鍛える ④「川モデル」ではなく「井戸モデル」で考える
7)仮説力を鍛える ⑤「素人の発想」を大切にする
8)ものごとを「再定義」することで新しい価値を生み出す

すべての着眼点の中で、共通するのは、自分たち(自社)ではなく、お客様への眼差しです。「買い手」や「買い手市場」をつねに主語にして、これらの着眼点を鍛えながら、仕事の中で使っていくことが、遠回りのようで、近道のように思えます。詳しくは、ぜひ本書をご覧いただきたいと思います。

鈴木氏は、20代から83歳でいんたいするまで、60年間にわたって第一線で活躍できた理由として、次の3つをあげます。
1つ目は、「会社」と「仕事」を一体化させなかったこと。
2つ目は、「判断の尺度」を常に「お客様」に合わせたこと。
3つ目は、仮説を生み出す発想力について、一貫して同じ力を発揮できたこと。

常に「お客様」を分母にして判断する

もう1社全く異なるアプローチで顧客体験を作っている企業の事例は、こちらの投稿「【小売の未来が、高崎にあった!?】おいしいものだけを売る-奇跡のスーパー「まるおか」の流儀|丸岡守」をぜひご覧ください。ここでも、モノマネによる「作業」ではなく「本当の仕事」に従う企業のあり方に触れられます。

まとめ

  • なぜ、セブン-イレブンの日販は他チェーンより15万円も高いのか!?――常に、顧客視点でモノだけではなく、コトを提供し続けられているからです。
  • 顧客価値のための顧客体験の追求とは何か!?――顧客が求めていることを、考え、自分なりの行動に落とし込めるかどうかに、顧客体験創造がかかわってきます。
  • 顧客体験の作り方、その視点とは何か!?――8つの着眼点を道具として、常に顧客視点でものごとをとらえ、考えることです。

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