【コストカットではなく、アップサイドを目指そう!?】日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか|渋谷和宏

日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか
  • どうして、日本の労働者は「やる気」を失ってしまったのでしょうか。
  • 実は、この30年は経営に責任があるのです。
  • なぜなら、人的資本のコストも削減し、とことん守りにはいった経営によって、私たちは希望を見出すためのスキルや視点を失っているからです。
  • 本書は、バブルから今日に至るまでの日本経済を俯瞰する1冊です。
  • 本書を通じて、どうしたらこれからの時代をいきいきと過ごせるのか、視点を得られます。
渋谷和宏
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社員はコスト!?

1990年代なかばに入ると日本経済の状況は一変します。デジタル技術の普及によって、設計、製造段階で下請け部品メーカーと緊密なすり合わせをしなくてもよりよい製品がつくれるようになりました。それまで、日本の経済を支えてきた製造業のバリューチェーンの必要性が薄れてきてしまったのです。

垂直統合型のサプライチェーンの優位性は失われて、中国や韓国等のメーカーと厳しい価格競争に巻き込まれていくようになります。

この状況に際して、日本の経営は、大きなミスを冒しました。設備投資や開発に振り向ける予算を絞り、交通費や会議費などの諸経費を切り詰め、韓国や中国のメーカーに価格協働で勝負を挑もうとしたのです。

コストダウンは、人件費にも及びました。この頃から、派遣労働や契約社員などが規制緩和の中で重用されるようになってきました。とにかくコストを下げて利益を確保することに邁進しました。製品の付加価値を向上しながら、売上をUPする考え方は弱いまま。走行しているうちに、米国アップル社等が、コンピュータ領域でデザインが優れたイノベーティブな商品群で、デジタル機器の市場を創造するに至ります。

本来日本の経営者がやるべきだったのは、のべつ幕なしの一律的なコストカットではなく、従業員の教育だったのです。デジタル技術に長けたエンジニアや優秀でクリエイティブなデザイナーをスカウトしたり、社員を再教育するべきでした。

1997年の金融危機は、なんとかコストカットで来ながら得てきた日本企業に打撃を与えました。1997年11月3日準大手証券会社の三洋証券がバブル期の積極経営で積み上がった夫妻を返済できなくなり、会社更生法適用を申請し、事実上倒産しました。それから2週間後の17日には北日本最大の銀行だった北海道拓殖銀行が1年以内の精算を発表し、戦後初の都市銀行破綻となり、さらにその1週間後には、4大証券会社の1角であった山一證券が自主廃業に追い込まれてします。1998年秋には日本長期信用銀行と日本債券信用銀行という大手金融機関の破綻があいつぎ、景気は一気に冷え込みました。ここから「失われた30年」と呼ばれる不況の長いトンネルを日本は経験していきます。

当時の経営者たちは、3つの過剰をなくすことをコミットしました。すなわち、過剰雇用、過剰設備、過剰債務の削減です。

あなたがわるいのではありません。あなたの会社の過去30年にわたる経営が間違っていたのです。

はじめに

なぜ日本の賃金は上がらないのか?

結論から言うと、付加価値の高い製品を作ることができていないからです。当時の垂直統合型のサプライチェーンにおけるすり合わせ設計、生産時代の優位性に固執したために、新たな論点で、ものを作ったり、サービスを開発したりが難しく、市場が求め、市場を変えるようなよりよい製品を作ることができていません。

たとえば、デザインという観点から日本の自動車を見てみるとどうでしょう。これについては、山口周さんが「役に立つ・役に立たない」×「意味がある・ない」という論点で明快に語ってくれている内容でもあります。

日本車は、「役に立つ」のですが、「意味」はありません。一方、単価が非常に高いイタリアのスポーツカーは、「役に立たない」のですが、「意味」があります。そのスポーツカーから感じる、歴史・伝統やクラフトマンシップ、そして、美しいデザインセンスから、所有者は大きな価値を見出すことができます。イタリアのスポーツカーはは、単なる足ではなく、ある種ひとつの芸術作品として、歓迎されます。

詳しくは、こちらの1冊「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか? 経営における『アート』と『サイエンス』」もぜひご覧ください。

日常の仕事現場で生産性というと、私たちは、無駄の削減を「能率」という観点で見てしまいます。その結果、1990年代の経営者は、コストカットを頑張ったのです。でも、実は、経営において「生産性」とは、もう少し違う指標を捉えていきます。

経営において生産性とは、「利益」+「設備投資」+「人件費」なのです。つまり、付加価値を高く設定できるから利益が高くなり、そのための設備投資を積極化し、人の教育にもしっかり取り組む、ポジティブなスパイラルサイドを捉える視点もあるのです。

もっとシンプルには、「生産性=生産量あるいは付加価値/投入した労働力」とも捉えられます。

つまり、どれだけ付加価値をつけられたか、アップサイドの視点も持ち合わせている必要があるということです。

日本企業の賃金が安い理由の一つは、欧米企業に比べて付加価値(粗利益)が低いからなのです。

第1章 「安い賃金の国」への転落――なぜ日本企業の賃金は上がらないのか

「安い賃金」をもたらした低い労働生産性は日本製品が「安い」からです。「安い」のは独創的な機能や魅力的なデザインを製品に盛り込めないからです。あまりに人的資本に対する投資を怠ったために、そうしたイノベーションを起こす底力を私たちは、失ってしまったのかもしれません。

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アップサイドな経営を目指そう!?

コストをカットするダウンサイドの思考だけではなく、付加価値をいかにつけていくか、というアップサイドの発想を持ちましょう。そのためには、人的資本に適切に投資をしていくことが必要です。全てを同じようにカットすれば未来はありません。短期的な業績向上の効果はあっても、中長期的には、必ず痛い目にあいます。すでに「失われた30年」で経験していることをこれからも続ける必要はないのです。

マネジメントの手法も少し変えていく必要があります。こちらも人の詳細の管理つまり、マイクロマネジメントではなく、リーダーシップを発揮しながら、現場を信じて権限委譲していくような一人ひとりのやりがいや向上心を信じるマネジメントへシフトしていくことも有効です。

一人ひとりが有能感を持って、幸せに仕事をしている現場の生産性は、そうでない組織と比べて3倍近いアウトプットがあると言います。

下記のマイクロマネジメントのチェック表を活かしながら、過剰な管理が一人ひとりのやる気を阻害していないか注視してみましょう。

  • プロジェクトや仕事の内容、進め方について細かく指示される
  • プロジェクトや仕事の進捗状況を頻繁に報告しなければならない
  • 毎日、業務報告をしなければならない
  • 会議での発表や発言について、事前にチェックされたり、会議後にダメ出しされたりする
  • 提出書類の内容を事前にチェックされたり、書類の形式に細かなルールがあったりする
  • 小さなミスでも詳細な報告を求められる

マイクロマネジメントの弊害については、こちらの投稿「【エンゲージメントが大命題!?】組織の未来はエンゲージメントで決まる|新居佳英,松林博文」もぜひご覧ください。

「意味のない仕事」から、「意味のある仕事」を突き詰めていくことを志向したいものです。シーシュポスの神話的な労働へ自ら向かってはなりません。

これからの日本の経営がケアするべき視点を、3つの提言で渋谷和宏さんはまとめてくれています。

日本綺語うがかつての輝きを取り戻すための提言を3つ掲げ、本書の結びとしたいと思います。

おわりに

1)社員に報い、社員に投資すること
2)社員を信じ、加点主義で評価すること
3)起業家タイプのイノベーターに活躍の場を提供すること

これらの工夫により、ネガティブ評価のコストカット的経営へ邁進することを避けられます。人のより良いところを褒めながら、ポジティブな可能性ある未来を作るアップサイドの方向へと舵を切るための方策となります。

まず、報われる賃金制度を導入して、他の後進国に劣後しない賃金水準へと近づけていきましょう。さらに、社員の能力開発のためのコストを惜しまず、積極的に投資をしましょう。「やる気」や「幸福度」を最大限高めるためのマネジメント手法を学びながら、管理を再構築しましょう。

そして、社員を信じることです。加点主義で評価するマネジメントを実現するには、経営者の時代を読む「洞察力」と現場に権限委譲できる「胆力」が必要です。

コスト削減を最優先する萎縮経営から、付加価値を求める価値拡大の経営を目指すためには、イエスマン的社員だけを重用するのではなく、会社からすれば不思議な動き方・働き方をしている、越境人材やイノベータタイプの人間に大きく権限委譲してみることも大切です。それは、会社として、大きなメッセージとなります。

まとめ

  • 社員はコスト!?――本来、大切で、かけがえのない資本です。
  • なぜ日本の賃金は上がらないのか?――付加価値がないからです。
  • アップサイドな経営を目指そう!?――カットではなく、プラスの経営を目指しましょう。
渋谷和宏
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