【ものごとの本質的な見方とは!?】本質を見抜く「考え方」|中西輝政

本質を見抜く「考え方」
  • いろいろな見解や考えに触れて、いったい何が正しいのだ!?って思うことありませんか。
  • 実は、そんなときこそ、考えるチャンスかも知れません。
  • なぜなら、できるだけいろいろな視点からものごとを見ることが、自分で考えるヒントになるからです。
  • 本書は、政治学者の中西輝政さんが、本質的なことに向き合う考え方を53の視点でまとめています。
  • 本書を通じて、日常生活や業務にあたり、いろんな角度や視点をもつ大切さを再確認できるでしょう。

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中西輝政
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ふと立ち止まってしまうときを、大切に!

世の中や社会に対して、色んな人がいろんなことを言ったり、発表したりしています。たとえば、過去の投稿「【新ジャンルの「編集アート本」誕生!】ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律|堀元見」では、ビジネス書の教えを闘わせるという編集で見事に1コンテンツとして成立させた事例もご紹介させていただきました。たぶん、いろんな人がいろんなことを言っているなぁという社会の気持ちを汲んだものなのではないかな、と思います。

いろんな結論に触れたときこそ、自分の頭で考えてみるチャンスだと思います。

正しいものの見方や考え方というのは、できるだけいろいろな立場や視点からものごとに光を当て、曇った眼鏡や色眼鏡、歪んだレンズでものごとを見ないようにすることから始まるということです。

まえがき

生き方や働き方が多様化する中でこそ、大局を見る力を養う必要があると感じます。

考え始める技術とは!?

本質を見通す考え方を持つための工夫はどのようなところにあるでしょうか。まず、中西輝政さんが大切にするべきだというのは、言葉にしてみることだそうです。

「考える」ということの一番わかりやすい作業化は、「言葉にする」ということなのです。

第1章 考え始める技術

そして、その上で、「仮説」を持つことが大切です。メディアや人の意見に触れた時に、ふと、「あれ?本当かな?」「背景には何があるのかな?」って感じることがありませんか。そんな好奇心こそが考えるヒントになります。中西輝政さんは、日本人は同質性を意識するあまり、自分の考えを持つことを忘れていると指摘します。

多少見えることがあっても、「そういうふうに考える自分のほうがおかしいのではないか」「善意を無視して、後ろ向きな考えをしているのではないか」「そもそも人間同士は理解できるはずだ」などと、自分の思いに自信が持てないときほど「優等生」的なものに逃げ込もうとするのです。

第1章 考え始める技術

時に「直感」を大切にしてみましょう。自分が感じてしまうことも、それは事実なのです。なぜそう思ったかを突き詰めていくことで、きっと自分らしい考えや探究の世界が奥行きとして広がります。また、「直感」を大切にすることは、違和感に意識的になることができます。

考えを深めていくときには、「むずかしいことを、やさしく」とらえ、言葉にすることも大切です。中西輝政さんは、井上ひさしさんの言葉を引用します。

作家の井上ひさし氏は、色紙に「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」という言葉をよく書くそうです。

第1章 考え始める技術

むずかしいことを、やさしくするには、相当深く考えないとだめなのです。この点からして、中西輝政さんは日本の学者さんは情報収集のみでそれを難しいまま発信しているだけ、と痛烈に批判しています。しかし、深く考えると言っても、知性だけでは限界があります。そんなとき中西輝政さんは、3つの法則性を意識するといいます。

私が考えるのは、前の項で取り上げた「動あれば反動あり」に加えて、「慣性の法則」と「鹿威し(ししおどし)」の三つです。

第1章 考え始める技術
  • 「動きあれば反動あり」・・一つの現象を見たときに、必ず逆の動きがあるぞ!という予測です。作用反作用の法則とも言われるニュートンの法則です。例えば、「永田町でこんな動きがある!」と報道された時に、その動きに対して政敵がどんな動きを見せるのか、予測することができます。一つの情報から、もう片方や各方面への波及を想定することが可能になります。
  • 「慣性の法則」・・これもニュートンの運動法則から。ある質量を持って動き出したら、その質量が大きかろうと、小さかろうと、外から力を加えない限り、止まらないということです。組織も一度動き出したら、止まりません。これを止めるには始めるときよりも大きな力が必要です。
  • 「鹿威し(ししおどし)」・・竹筒に少しずつ水が溜まっていって、限界を迎えるとパカーンを音を鳴らして水が吹き出すそんな庭園装置に、なぞらえています。例えば、バブル経済が弾けたときも、水が溜まる音は確かにしていたはずだといいます。

どんな問題でも、この三つのセオリーに当てはめて吟味すると、いろいろな予測を筋道立てて考えやすくなります。

考えを深めるためには!?

歴史を学ぶことだといいます。世の中は、同じことが幾度となく本質的なことが繰り返されているので、トレンドに流されるような反射的な姿勢ではなく、太い潮流を見ることが重要です。また、問題を考えるときには、自分の視点だけではなく、いろいろな視点からものごとを見てみることが重要だといいます。

違う立場の人の意見を読んだり効いたりし、一見その問題と関係ないと思われる分野の勉強もしてみる。当面の問題の中からあえて一歩出て、外に立って大局的にもう一度問題を見てみる。

第2章 考えを深める技術

また、自分の感じ方、考えを大切にすることも重要だといいます。ただし、大切の仕方は2つあります。1つは考え自体を持つということ、もうひとつは、それが主流だと勘違いしないこと。この両方のバランスです。

「異端の哲学」を持って、これは本当に正しいのか、ほかの考えはどうなのか、を検討することで、考え方に広がりと深みが出ると思うのです。

第2章 考えを深める技術

また、「逆説(パラドックス)」こそ愛せよと、中西輝政さんは言います。

一見無秩序で不可解な世界に立ち向かってこそ、考える力は養われる。「逆説(パラドックス)」に愛を持ってつきあうと、必ず深い真理に行きつく。

第2章 考えを深める技術

真理の核心、この世の中の本質はパラドックスだといいます。本書の中でも、「正しいこと(真理)」と「効率的なこと(論理)」は互いに相反するものの、これら2つが揃わないと世の中はなりたたないと、語っています。あるいは、「物と心」「進歩と伝統」「個人と共同体」といった対立構造も登場します。

でも、人間の性が、パラドックスへの愛を拒みます。人は、どうしてもその本性として2つのものがあったら統一したいと思ってしまうものです。過去の投稿「【私たちが生きる意味とは?】愛するということ|エーリッヒ・フロム」を思い出します。ここでも、人類の歴史は「何かと一体化したいという願い」のれんぞくであったと語られていました。エーリッヒ・フロムさんの「愛」と中西輝政さんの「パラドックスへの愛」が重なるようでもあります。

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個人の自由はいかにもたらされるべきか、自由とはなにか?を考えるのも、パラドクスです。

しかし戦後、日本人は自由とは勝手気ままにふるまうことと解釈し、そこに責任が伴うことを忘れてしまったように見えます。
自由という言葉は、英語でフリー(free)といいます。この言葉の語源は、プリー(prii)という古代のゲルマン語です。これが訛ってフリーになりました。
これはもともと、人間の集団、昔でいえば部族、氏族、親戚、縁者、その他、大きな地域集団の中で、人間が自分自身の居場所を見つけ、「ほかの人といっしょにいることが幸せだ」と感じられる状態を指した言葉です。自分が、人の輪の中に入って一番幸せだと感じられる状態をプリー、つまり自由といったのです。

第3章 間違いを減らす技術

自由とは何かとは、難しい問いですが、語源をたどると、不思議な両義性を感じます。縁者等の中で、あたかも束縛がありそうではありますが、その中で、コミュニティと一体化しているからこそ、自由なのであるという、不思議な語感です。個が押し殺されるわけではなくて、コミュニティの中で自分らしく活きている状態を幸せだと感じることが、自由なのだとしたら、なんと含蓄のある言葉でしょうか。

そして、語源だけではなく中西輝政さんは、未来をも見通します。2030年に向けた視点を2007年時点でこのように語っています。これは、大変興味深い内容ですので、ちょっと長めに引用します。

これからは、日本の歴史的な「質的効率」の時代です。「質的効率」という言葉自体、多くの方にまだなじみがないでしょう。企業でいうと、バランスシートを画期的に改善していくとか、自社にしかできない技術の高度化、つまり「差別化」を図るといったことです。 「もっと売れる物を」と躍起になるのではなく、売れる売れないというまえに、ともかく「他社が作っていない物を」と考えを切り換え、その「違い」や「差別化」を大切にする。それが「質的効率」です。
それには、一見、非効率的に見える開発過程が必要ですが、いまだ「量的効率」にとらわれている古い世代の効率論には、そういう大きな視野が欠けているように思います。
ひたすら質的効率を求め、数十年どっしりと腰を据えてやっていけば、そのうち景気が本格的に回復して、また日本は爆発的に発展するはずです。二〇三〇年ころ、次なる「大きな発展期」が来ると私は見ています。
いま時代は確実に「量」から「質」の時代に向かい、日本は世界に先駆けて、まさにその転換期を迎えています。ぜひ、これからのものの見方・考え方に、この視点を一本、大きな柱として据えることです。

第3章 間違いを減らす技術

もしかしたら、「大いな発展期」を捉えるヒントが、たとえばオムロン社の「SINIC理論」にも見られるようにも思えました。2030年を前後して、ちょうど、「最適化社会」から「自立社会」「自然社会」へと向かう中、人類の歴史はもう一度浮上するのかもしれません。「農業社会」に次ぐ発展の世界の中で、私たちはどんな社会や人生を送るのでしょうか。わたしも、できるかぎり「本質的に」考え続けたいと思います。

まとめ

  • ふと立ち止まってしまうときを、大切に!――いろいろな立場や角度から、ものごとを視ることが大切です。
  • 考え始める技術とは!?――自分の考えや仮説を大切にしましょう。主流だと思わずに、検証を続けましょう。
  • 考えを深めるためには!?――パラドックスを愛しましょう。

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