【BS的思考で勝て!?】リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する|三嶋憲一郎,FABRIC TOKYO

リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する
  • D2Cビジネスが、話題に登ることがたいへん多くなりましたが、その本質を捉えていますか!?
  • 実は、BS的思考を基軸に捉えると、ビジネスの全体像が見えやすくなるかも。
  • なぜなら、D2Cビジネスの商売のタネは、ブランド、オペレーション(ケイパビリティ=組織能力)、データの”蓄積”にあるからです。
  • 本書では、D2Cリテイルブランドとして注目されるFABRIC TOKYOの三嶋憲一郎さんが、独自の観点からD2Cビジネスの全容を語ります。
  • 本書を通じて、ブランドづくり、組織運営、資金調達に至るまで、D2Cビジネスのリアルに触れることができるでしょう。

詳しくは表紙をクリック!!(どうか・・切実 泣)

D2CはBS思考で捉えよう!

私が、この三嶋憲一郎さんの本が、非常に現場的だなと思ったのが、財務の軸を通している点だと思います。そのキモが、このBS思考ということ。バランスシート的にアセット(資産)が蓄積していくことを考えることが、D2Cビジネスを創るということです。その反対のPL的思考は、従来型の小売ビジネスと説明し、対比をしてくれています。

一方、D2CはLTV(Life Time Value = 顧客生涯価値)を主要な指標とする、BS(Balance Sheet = バランスシート)思考で動きます。

KPIの違い

D2Cビジネスの根幹には、顧客と企業が直接の対話の中で、創り上げるブランド、そしてそのブランド活動(ブランディング)がとても重要です。

本書の中でも、ミッション、ビジョン、バリューの重要性が勝たれています。この点については、過去の投稿「【D2Cの本質とは!?】DtoC After2020 日本ブランドの未来|株式会社フラクタ」における、下記の引用部分と合わせて考えると、理解が深まります。

D to Cに限らず、従来企業が顧客となる消費者へ価値と感じる魅力を提供できるかは「企業の提供価値」「消費者の需要(顕在ニーズ)」「社会の課題(潜在ニーズ)」の3つの集約ポイントを突き詰めてることで判断できます。

DtoC After2020 日本ブランドの未来|株式会社フラクタ

ブランドの作り方は、非常に重要な視点です。

ただ一方で、ブランドを作ったとしてもそれを、いかに末永く運用するかということも同時に必要な問いです。本書では、そのリアルな運用のための視点が、財務のBS思考になぞらえて語られる点が、非常にリアルだと感じました。

では、D2Cビジネスの管理指標とは?

D2Cの場合、売上や利益ではなく「顧客」と「店舗」の二つのユニットエコノミクスをKPIにおきます。具体的には、顧客のユニットエコノミクスは「継続率」と「継続回数」を見ています。「1年目に商品を購入した顧客が、2年目以降だとどれだけ継続購入したか」を示す継続率、「1顧客が、1年間に何着商品を購入したか」を示す継続回数の二つで測っています。また、店舗のユニットエコノミクスは、1店舗の価値を「どれだけリピート顧客数を増やせたか」という視点で測っています。ミルフィーユ型に、顧客やLTVが積み上がる店舗を作ることが重要です。

KPIの違い

この着眼点は、テレビCMを打ったときのKPIである認知率と忘却曲線の掛け算によく似ています。テレビCMというのは、一過性のものだという認識が一般的にはあると思うのですが、実は人間の思考や記憶を考慮に入れていくと、実は、忘却されなければ、それは外部資産であると考えられるのです。

まさに、三嶋憲一郎さんが語る、顧客側に蓄積した資産がいかにあるかを管理するというのは、BS的であり、かつ、本質出来であると感じました。

こうした管理指標を持つことで、D2Cビジネス/ブランドの方向性や、毎日の店舗オペレーションも異なってきます。

つまり、
・短期的な数値の追求を行わないことによる、顧客満足度の追求、推奨度の追求が可能になり、
・良心に沿わない販売(本書出典)ではなく、熱狂的なファンづくりに集中できるようになる。
ということです。

顧客と直接対話やコミュニケーションを行って、つねにフィードバックを歓迎するのがD2Cビジネスです。よって、24時間265日、<同じ人格>で運用する必要があります。例えば、ときに売上追求で、ときに顧客満足度追求である場合、顧客には、”商売”が透けて見えてしまいます。

だから、私は、ブランドづくりも大切だと思うのですが、じつはこの管理指標をいかに持てるかが、D2Cビジネスの根幹に有るのではないかと考えました。

そして、同時によりよいビジネス構築のためには、ブランド・商品設計や毎日のオペレーションを考える際にも、「アセット」をいかに蓄積するか?がポイントになります。

BS的に考えるから「アセット」の蓄積を考えられる

アセット(資産)の蓄積がD2Cビジネスの根幹だとしたとき、では、アセットとはどんなものでしょうか。

他の人に対して再現性を持たせることがアセットです。

組織カルチャーから生み出されるアセット

この考え方は、非常に端的でありかつ、本質的だと思いました。

対比して見てみると理解の補助になるのですが、再現性がないオペレーションについて、三嶋憲一郎さんは次のようなケースをあげてくれています。

・その場限りの割引による販売
・皆のWHY(ビジョン)やハイコンテキストが共有できない超感覚的な施策やクリエイティビティ
・リピートしなさそうなその場限りの押し込み販売
・ユーザーの深いインサイトがない商品企画
・ユーザーがなぜこの商品を買ったのかについて深い洞察がなく、的外れな接客やマーケティング
・アパレル業界で言えば、トレンドや流行を追うこと

という具合です。

とくにFABRIC TOKYOはアパレル業界なので、感覚的なことが顧客から評価されやすいと言います。たとえば、「かっこいいから」とか「店員がよかったから」とか。でも、これでは、再現性が担保されていません。

大切なことは、これらの毎日のオペレーションであっても、マニュアル構築をするようにノウハウとして蓄積していくことです。

そして、これをD2Cビジネスだから可能にするのが、本書のタイトルでも掲げられていた「DX」です。
つまり、データ活用のことですね。

「BS的思考を基軸に、顧客との直接的なやり取りを通じて、アクセスデータ、商品データ、体験データを武器に、再現性を担保し、アセットを貯め、ビジネスのもとでにする。」ということ、これが、D2Cビジネスの根幹なのですね。

まとめ

  • D2CはBS思考で捉えよう!――D2CビジネスはBS的思考を軸に考えると捉えやすいです。
  • では、D2Cビジネスの管理指標とは?――「継続率」と「継続回数」や、「リピート率」などを顧客側に蓄積された資産だと捉えてみましょう。
  • BS的に考えるから「アセット」の蓄積を考えられる――アセットは「再現性」が担保されるものです。例えば、おもてなしやクリエイティブも超人的な解釈で片付けず、データを駆使して向き合いましょう。

詳しくは表紙をクリック!!(どうか・・切実 泣)

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