価値を測ることこそ投資!?『知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ』山口揚平

『知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ』山口揚平の書影と手描きアイキャッチ
  • あなたは、株式投資を「お金を増やす手段」だと思っていませんか?
  • 実は、株を買うという行為は、預金と本質的には何も変わらないんです。
  • なぜなら、どちらも「価値の交換作業」に過ぎないからです。
  • 本書『知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ』は、株式投資の表面的なテクニックではなく、お金や価値の本質を問い直す1冊です。
  • 本書を通じて、私たちは「何に価値があるのか」「価値はどこから生まれるのか」という根源的な問いと向き合うことになります。
山口揚平
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著者の山口揚平さんは、独立系シンクタンク「マザーハウスラボ」代表を務める思想家・経営コンサルタントです。

早稲田大学政治経済学部を卒業後、外資系コンサルティング会社を経て起業。企業の再生や投資の世界に深く関わりながら、お金や経済の本質について独自の思考を深めてきました。

山口さんの著作の特徴は、経済や投資を単なる「儲けの手段」として語るのではなく、「人間の生き方」や「社会のあり方」という哲学的な視点から捉え直すことにあります。

本書を執筆した動機も、多くの人が株式投資を「ギャンブル」や「お金持ちの遊び」と誤解している現状を変えたい、という思いからでした。株の本質を理解すれば、それは人生における価値判断の基準そのものになる――そう山口さんは考えています。

難しい経済用語を使わず、誰もが理解できる言葉で「ほんとうの株のしくみ」を語る姿勢に、著者の誠実さと情熱が感じられます。

「価値」は認識のズレから生まれる

株式投資を学ぼうとすると、多くの人がまず「チャート分析」や「財務諸表の読み方」といったテクニックに目を向けるんですね。

でも、そうした手法を学ぶ前に、もっと根本的な問いに向き合う必要があるんです。

それは「そもそも価値とは何か?」という問いです。山口さんは本書の中で、こんな公式を提示しています。

企業の価値は、その企業が稼ぐ「利益」と、適正に稼いで、会社という「意」に紐づいている

つまり、企業価値というのは単純な数字だけで決まるものじゃないんですね。

利益という定量的な要素と、「この会社は適正に、誠実に稼いでいるか」という定性的な要素の掛け算で決まる。

この視点が、私にはとても新鮮でした。

私たちは普段、価値を「客観的に存在するもの」だと思い込んでいます。でも実際には、価値は人々の認識によって決まるんです。

山口さんは「端的にいうと、株価が上がるのは、実際の価値よりも安い株が、市場から評価されてその株本来が持つ価値に近づくから」と説明しています。

つまり、株価が上がるメカニズムの本質は「認識のズレの是正」なんですね。

市場が企業の本当の価値にまだ気づいていない。
そのズレが、時間の経過とともに、あるいは何かのキッカケで是正される。
それが株価上昇の正体だということですね。

ここで重要なのは「割安」という概念です。

私たちは「割安」という言葉を、単純に「安く買える」という意味で使いがちです。

でも山口さんの説明によれば、割安とは「本来あるべき価値よりも低い状態にあること」を意味します。つまり、割安な状態は「認識が歪んでいる状態」であり、いずれ市場の参加者たちが本質に気づくことで是正されるんです。

そして、価値を理解する上でもう1つ欠かせないのが「お金の本質」です。

山口さんは「お金はあまり使っちゃいけないよ」という親の言葉は間違いだと指摘します。

なぜなら、いまの「貨幣」の性質上、お金はそれ自体が減ることで信用を背負っているからです。

これを「貨幣の価値保存機能」と呼びます。

もう少し詳しく見てみましょう。

山口さんはこう説明しています。

経済はいつもお金を必要としており、お金が動くためにはその動機が必要です。そして、腐らない貨幣が動く動機が、それ以上にして返すという、利子なわけです。「利子とは、貨幣の価値保存機能がもたらした現象である」ということを、私たちは完全に理解しておく必要があります。

この一節は衝撃的でした。

利子というのは、単に「お金を貸した対価」ではないんです。

お金が「腐らない」「減らない」という性質を持っているがゆえに、それを動かすためには「それ以上にして返す」というインセンティブが必要になる。

それが利子の正体なんですね。

逆に言えば、もしお金が「価値保存機能」を失えば、つまり持っているだけで価値が減っていくような状況になれば、人々は利子がなくても喜んでお金を使い、投資するようになるはずです。

山口さんは「この価値保存機能が失われないかぎり、お金は使わないほうが得なのです。そうすると、お金は知覚するものだからです」と述べています。

ここで言う「知覚する」とは、お金が自らの価値を感じ取り、価値が保存される場所に留まろうとする、という意味でしょう。

こうした視点から見ると、株式投資とは何か?

それは「今の認識と本質的価値のズレを見抜き、価値保存機能を活用して合理的な交換を行う行為」だと言えます。

大事なのは、物の本質を理解することなんです。

山口さんは「大事なことは、ものの本質を理解することだと思います」と明言しています。

表面的な数字や、目先の値動きに惑わされるのではなく、「この企業は何を生み出しているのか」「この価値は持続可能なのか」「今の評価は適正なのか」を問い続けること。

それが価値を見極める第一歩なんですね。

そして、この「価値の見極め」という視点は、株式投資だけでなく、人生のあらゆる選択に応用できます。

就職先を選ぶとき、結婚相手を選ぶとき、住む場所を選ぶとき――私たちはいつも「価値」を判断しているんです。

でも多くの場合、私たちは「世間の評価」や「目に見える条件」だけで判断してしまいます。

本当に大切なのは、その奥にある「本質的な価値」を見抜くことなんですね。

山口さんの提示する「価値の見極め方」は、投資の枠を超えて、人生そのものを主体的に生きるための思考法だと言えるでしょう。

株も預金も「同じ土俵」という真実

ここで、多くの人が驚く事実が明らかになります。

山口さんは「実は、株も預金もまったく同じものなのです」と断言するんです。

この一言を聞いて、あなたはどう感じますか?

おそらく多くの人は「株はリスクがあって、預金は安全」というイメージを持っているはずです。

でも山口さんの説明を聞くと、その常識が揺らぎ始めます。

預金と株式投資のしくみを考えてみれば、すぐにわかります。預金とは、当然ながら銀行にあずけて融資または投資しているわけです。株式投資とはそれを銀行ではなく企業に自分でやっているにすぎません。株もまた、どういうものにせよ直接投資なのですから

この説明は目から鱗でした。

預金というのは、私たちが銀行にお金を預け、銀行がそれを企業や個人に融資・投資している。

つまり、銀行という「仲介者」を通じた間接投資なんですね。

一方、株式投資は、銀行を飛ばして直接企業に投資している。

構造的には、まったく同じことをしているわけです。

違いは「仲介者がいるかどうか」だけ。

そして山口さんは「株も預金も不動産も、みなすべて『同じ土俵』で評価できる」と言います。

この視点は革命的です。

私たちは普段、「預金」「株」「不動産」「債券」といった金融商品を別々のカテゴリーとして捉えています。

でも本質的には、すべて「自分の資産をどこに配分するか」という同じ土俵の上にある選択肢なんですね。

そして、ここからがさらに重要です。

山口さんは「利回りの大きさ自体にはなんの意味もない」と指摘します。
これも衝撃的な主張ですよね。

私たちは「年利3%の預金」「年利5%の投資信託」「年利7%の株」といった数字を見て、「利回りが高いほうがいい」と単純に考えがちです。

でも山口さんはこう説明します。

利回りが高ければよい、ということはありません。世の中に出回っている金融商品の利回りの高さは、通常、単純にそれをまわりのものの利回りと比較しているだけなのです

つまり、利回りの高さは相対的な数字に過ぎず、それ自体に意味はないということです。

大切なのは「その投資が本質的な価値を生んでいるか」「期待利回り以上の価値を生むか」という点なんですね。

山口さんは「どのような投資でも、利益を上げるためには、その期待利回り以上の本質的な価値を生むかどうかが大事なのです」と述べています。

ここで重要なキーワードが登場します。

それは「本質的な価値」です。

表面的な利回りの数字ではなく、その投資先が実際に何を生み出しているのか。

社会にどんな価値を提供しているのか。

それが持続可能なのか。

こうした本質を見抜くことが、真の投資家に求められる眼力なんですね。

そして山口さんは、もう1つ重要な指摘をします。

「現金はそんなに偉くない!――株式投資の本質は価値交換にあり」という主張です。

私たちは無意識のうちに「現金=最も確実な価値」と思い込んでいます。

でも実際には、現金も株も、どちらも「価値の代替物」に過ぎないんです。

山口さんは「結局のところ、現金にしろ株にしろ、価値の代替物であることに変わりはありません」と述べています。

つまり、現金も株も、それ自体には本質的な価値はないんですね。

どちらも「価値を一時的に保存し、交換するための道具」に過ぎない。

だとすれば、「現金で持つか、株で持つか」という選択は、「どちらの道具がより効率的に価値を保存・交換できるか」という合理的な判断の問題になります。

ここで私が感じたのは、投資とは結局「自分の時間とエネルギーを何に変換するか」という問いなんだということです。

私たちは働いて給料をもらいます。

その給料は、私たちの時間とエネルギーの対価です。

その対価を現金で持ち続けるのか、株に変えるのか、不動産に変えるのか――それは「自分の時間とエネルギーをどのように保存し、増やすか」という選択なんですね。

そして、その選択は「何が本質的な価値を持つか」を見極める眼があってこそ、合理的に行えるものです。

山口さんの主張は、投資を「お金儲けのテクニック」から解放し、「価値を見極め、交換する行為」という本質に立ち返らせてくれるんです。

この視点を持つと、投資は単なる資産運用ではなく、自分の人生をどう設計するかという大きな問いと繋がっていきます。

山口揚平
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投資は「交換作業」、そして価値を追いかける生き方

ここまで読んできて、あなたの中で「投資」に対するイメージは変わったでしょうか?

私は、山口さんの最も重要なメッセージは、このセクションで語られる内容だと思います。

それは「投資とは、すべて『交換作業』である」という考え方です。

山口さんはこう述べています。

私たちは、目の前にある証券の価値が手元の現金よりも高いと思えば、現金と株を交換されればよいし、手元の証券の価値よりも高い値段で売られている(株価が高い)のであれば、今度は現金に交換されればよいのです。すべての投資は「交換作業」、それだけのことです

この一節を読んだとき、私は深く頷きました。

投資というと、どうしても「買って、持って、売る」という一連のプロセスを想像してしまいます。

そして、そのプロセスの中で「いかに儲けるか」ばかりを考えてしまう。

でも山口さんの視点はまったく違うんです。

投資は「交換」なんですね。

現金という価値の保存手段と、株という価値の保存手段を、どちらがより合理的かを判断して交換する。

それ以上でも、それ以下でもない。

そう考えると、投資はとてもシンプルな行為になります。

「今、この株の値段は、その企業の本質的価値よりも高いか?」
この問いに答えられれば、売るか持ち続けるかが決まる。

山口さんは「合理的な交換のできる投資家は長期的に利益を上げる」と言います。

ここで言う「合理的」とは、本質的な価値を見極めた上での判断ができる、ということです。

目先の株価の上下に一喜一憂するのではなく、「この交換は合理的か?」を問い続ける。

それが、長期的に資産を増やす唯一の方法なんですね。

そして、山口さんはさらに踏み込んだ主張をします。

それは「現金にしろ株にしろ、価値の代替物であることに変わりはありません」という指摘です。

この言葉は、私たちの「現金信仰」に揺さぶりをかけます。

多くの人は「お金を持っていれば安心」と考えています。

でも、お金も株も、どちらも「価値そのもの」ではなく「価値を表現する記号」に過ぎないんです。

だとすれば、私たちが本当に追いかけるべきは何か?

山口さんは明確に答えています。

私たちは、現金にほど近い「株価」を追いかけるのではなく、もっと「価値」を追いかけるべきです。株価の上下ではなく、その企業の価値そのものに賭けるべきです

この言葉が、本書の核心だと思います。

私たちは、数字を追いかけるのではなく、価値を追いかけるべきなんです。

そして山口さんは、こんな理想を語ります。

投資先企業の価値の増大をじっくり眺めるだけの生活をしていたいもの

この一節に、私は深く共感しました。

投資とは本来、「この企業は社会にどんな価値を提供しているのか」「その価値は増大しているのか」を静かに見守る行為なんですね。

毎日チャートを見て、上がった下がったと騒ぐことではない。

自分が信じる価値を持つ企業を見つけ、その企業が社会に価値を提供し続ける様子をじっくりと眺める。

そして、その企業の価値増大の果実を、気長に待つ。

それが本来の投資の姿なんです。

ここまで読んできて、私は気づきました。

山口さんが本当に語りたかったのは、投資のテクニックではなく、「生き方」なんだと。

「何に価値があるのか」を自分の頭で考える。
「世間の評価」や「目に見える数字」に惑わされず、本質を見抜く。
そして、自分が信じる価値に賭ける。

この姿勢は、投資だけでなく、人生のあらゆる場面で必要なものです。

就職先を選ぶとき、パートナーを選ぶとき、住む場所を選ぶとき、友人を選ぶとき――私たちはいつも「価値」を判断しているんです。

でも、どれだけの人が「本質的な価値」を見抜く眼を持っているでしょうか?

多くの人は、「年収が高い会社」「有名な大学を出た人」「人気のエリア」といった外面的な指標で判断してしまいます。

それは、株式投資で「株価が上がっている銘柄」「配当利回りが高い銘柄」だけを見て判断するのと同じなんですね。

山口さんが教えてくれたのは、「当たり前を疑う」ことの大切さです。

現金は本当に偉いのか?
株はギャンブルなのか?
利回りが高ければいいのか?

こうした「当たり前」とされている常識を、一つひとつ疑ってみる。

そして、自分の頭で本質を考え抜く。

この姿勢があってこそ、私たちは「自分を生きる」ことができるんです。

山口さんは「当たり前を常に疑わないと自分を生きるということになりづらい」と語ります。

この言葉は、投資の枠を超えた人生哲学です。

他人の価値観や、社会の常識に従って生きるのではなく、自分自身で価値を見極め、自分の判断で生きる。

それこそが「自分を生きる」ということなんですね。

そして、そのために必要なのが「論点を持つ」ことです。

「何に価値があるのか?」
「なぜそれが価値を持つのか?」
「その価値は持続可能なのか?」

こうした問いを常に持ち続けることで、私たちは表面的な情報に惑わされず、本質を見抜く眼を養うことができます。

山口さんの教えは、投資を学ぶというよりも、「生きる知恵」を学ぶことなんだと、私は理解しました。

そして、その知恵は誰もが身につけられるものです。

必要なのは、当たり前を疑う勇気と、本質を追求し続ける姿勢だけ。

この本を読んで、私は「価値を見極める眼」を持つことの大切さを、深く実感しました。

それは投資だけでなく、人生のあらゆる選択において、自分を導いてくれる羅針盤になるはずです。

投資については、こちらの1冊「投資とは“人格”である!?『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』東山一悟」もぜひご覧ください。

また、人生論的投資については、こちらの1冊「【時間を、信頼の貯蓄に変える!?】投資思考|野原秀介」もおすすめです。

まとめ

  • 「価値」は認識のズレから生まれる――企業価値は利益と「意味・意図」の掛け算で決まり、株価の上昇は市場の認識と本質的価値のズレが是正されるプロセスです。お金の価値保存機能を理解し、物の本質を見抜く眼を持つことが、価値を見極める第一歩となります。
  • 株も預金も「同じ土俵」という真実――株式投資と預金は本質的に同じ「価値の配分」であり、利回りの数字に惑わされず、期待利回り以上の本質的価値を生むかを判断することが重要です。現金も株も価値の代替物に過ぎず、どちらがより合理的かを見極める視点が必要となります。
  • 投資は「交換作業」、そして価値を追いかける生き方――すべての投資は合理的な価値の交換であり、株価ではなく企業の本質的価値を追いかけることが本来の投資です。当たり前を疑い、論点を持ち続けることで、投資だけでなく人生のあらゆる場面で自分を生きることができるようになります。
山口揚平
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