投資とは“人格”である!?『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』東山一悟

投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実
  • どのように資産と向き合っていくことが重要でしょうか。
  • 実は、資産自体に働いてもらうことを、しっかりと人生にインストールすることが重要です。
  • なぜなら、お金にお金が集まる仕組みがこの資本主義のシステムだからです。
  • 本書は、学校ではなかなか教えてくれないお金と生き方を俯瞰する一冊です。
  • 本書を通じて、お金に縛られない、むしろお金を活かす生き方の方法と心構えを知ります。

どうしたら豊かになれるのか!?

東山一悟(ひがしやま・いちご)さんは、会社員として働きながら投資を学び、最終的には「投資で2億円」を築き上げた個人投資家です。もともとは平凡な“社畜”だったと語る彼は、忙殺される日々の中で「お金の本質」や「人生の選択肢の持ち方」に気づき、自らの資産形成と人生設計を見直していきました。

本書は、その過程で得た“真実”を、最愛の娘に向けてやさしく、しかしリアルに語りかける形式で綴られています。タイトルにある通り、娘が15歳の時点で「これだけは知っておいてほしい」と願う、29の知恵と視点がまとめられています。

お金持ちになることについて、どのように感じるでしょうか。卑しさ、豊かさ、儚さ?

いろいろなイメージがあると思うのですが、自分の意志を活かして、そして他者とともに豊かな人生を作り出していくためには、確かに「お金」というものが必要です。

そこから目を背けるのではなく、まず、正しく理解をして、その上で、自らの考えやスタンスを解像度をあげていくことが重要なのではないかと考えます。

まずひとつ目の事実として以下があげられます。

インフレに負けないぐらい本業で給料を上げるというのは、会社が支給する賃上げ面でも、労働者の意欲面でも難しいということだ。

つまり、会社に勤めてまじめに働いているだけでは、「生活がどんどん良くなる」という時代は、すでに過去のものなのかもしれません。

著者は“労働”からだけでなく、“資産”というもうひとつの視点を得ることになります。

お金は悪なのか?
投資はギャンブルなのか?
資本主義のなかで、「搾取される側」ではなく「選択する側」に回るには?

こうした問いを、15歳の娘に語るという視点で、著者は極めて平易に、しかし本質的に語りかけていきます。

たとえば、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏のベストセラー『21世紀の資本』でも語られるように、現代社会では「r > g」、すなわち「資本収益率(r)が経済成長率(g)を上回る」構造が続いています。これはどういうことかというと、働いて得られるお金(=給与)よりも、株式などの資本から得られるお金(=不労所得)のほうが増えやすいという現実です。

言い換えれば、「入ってくるお金を増やす」ために給料アップで対応しようとしても、今の社会構造では限界があるということ。

だからこそ、自らの労働力だけに依存せず、資産形成というもうひとつの選択肢を持つことが、これからの時代をしなやかに生きていく鍵になるのです。

変化の中で、会社自体も、向こう数十年に及ぶ持続可能性を見いだしにくい環境とも言えます。複業や兼業のあり方が模索され、制度としてオープンになる中、一つの組織だけで完結する働き方は、もはや過去のものになりつつあるのです。

だからこそ、自らの労働力だけに依存せず、資産形成というもうひとつの選択肢を持つことが、これからの時代をしなやかに生きていく鍵になるのです。

加えて、変化の中で、会社という存在そのものも、向こう数十年にわたって持続可能性を保証できる環境にはありません。終身雇用の神話が崩れ、複業・兼業といった働き方が模索され、制度としてもオープンになってきています。

一つの組織にすべてを預けるというスタイルは、もはや過去のものになりつつあるのです。
これからは、自分の「人生のポートフォリオ」をどう組み立てるかが問われる時代です。

キャッシュだけはむしろ危険!?

資産の重要性を感じながら、いかにそれを増やすのかが人生の戦略にとって不可欠な論点となっているのです。

改めて、「お金持ちになるには正しい投資が必要だ」ということをしっかり理解してほしい。

キャッシュだけを持つことも実はリスクがあります。

デフレからインフレに経済構造が転換しつつあるためです。

これはどういうことかというと、現金のまま資産を持ち続けると、その価値が時間とともに目減りしてしまうということです。たとえば、毎年2~3%のインフレが続けば、10年後には今の100万円が実質的には80万円台の価値しか持たなくなる――そんな計算になります。

つまり、「貯金は安心」という感覚が、むしろリスクになり得る時代なのです。

だからこそ、著者は「投資=お金を増やすための勝負」ではなく、「未来の自分のためにお金の価値を守る行為」だと位置づけます。
株式、投資信託、不動産など、資産運用の基本にふれることで、長期的な視点で“お金の居場所”を考える力が養われていきます。

これは単なる金融リテラシーの話ではなく、「人生を設計する視点を持つこと」にほかなりません。

一方で、若いうちからいち早く市場に参加し、投資を始めることで、「時間」という最大の資産を味方につけることができます。
複利の力は、まさに“時間が経つほどに強くなる魔法”のようなものであり、それを活かせるかどうかが将来の大きな差につながっていくのです。

そこで、投資の基本となる「3つの原則」を改めて確認しておきましょう。

1.長期投資
市場は短期的には上下しますが、長期的に見ると成長を続けてきた歴史があります。目先の上げ下げに振り回されず、じっくりと構えて投資を続ける姿勢が重要です。

2.積立投資
一度に大金を投じるのではなく、毎月少額ずつコツコツと投資することで、リスクを平均化できます。価格が高いときも安いときも淡々と買い続けることで、いわゆる“ドルコスト平均法”の恩恵を受けられるのです。

3.分散投資
ひとつの銘柄や資産に集中せず、複数の資産クラス(たとえば日本株・米国株・債券・不動産など)に分けて投資することで、リスクを分散し、安定したリターンを得やすくなります。

正しい知識と行動をすれば、アメリカをはじめとする他国よりも、普通の人が億り人になれる可能性は高い。「金持ちは意外と普通の生活をしている」ので、それを見習うことが資産形成の第一歩だ。

素人はとにかく、予測に頼るのではなく、すぐに始めて、かつ、余計な手出しをせずに、市場から撤退しないことを心がけるのに限ります。

文明が続く限り、投資をする恩恵が中長期で得られる可能性が高い。

未来のことはたしかにわかりませんが、世の中がまっとうに続くと考えて、世の中を信頼して資産を預けていくことが、理にかなっているということは言うまでもないかもしれません。

投資は“人格”を磨くこと!?

長期投資は、単にお金を育てる技術ではなく、自らの「欲」と向き合う旅路でもあります。

株価が下がったときに慌てて売ってしまいたくなる衝動。
短期間で利益を得たいという焦り。
他人の成功と自分を比較してしまう感情。

そうした“揺れ動く心”を自覚し、整えていくことも、長期投資の一部なのです。
だからこそ、長期投資には「技術」と同じくらい、「スタンス」が問われます。

これはまさに、人生そのものと重なります。
短期的な成果に一喜一憂するのではなく、自分が信じる道を一歩ずつ進むこと。
未来を信じて、今という時間を投資すること。

著者が15歳の娘にこの話を語る背景には、単なるお金儲けの話ではなく、「どう生きるか」という問いが根底にあるように感じられます。

最悪なのは手放して投資をやめたり、損切りをしてしまったりすることだ。

キーは、ただひたすらに投資をし続けるマインドセットです。そのための習慣を作り上げていくことが、実はとても重要な手段であることに気づくはずです。

なぜなら、今の時代において、方っておいても運用はできるから。

定期入金されて、定期買付ができるサービスは当たり前になりました。

大切なのは、それをいじらないという心構えです。下落局面においても、自分の心持ちを一定に保てるような、自己理解と正しい市場理解、それらが何より欠かせないスキルセットの基盤をなすのです。

こうした「長期投資は、自らの欲と向き合う旅である」という視点を深めていくときに、忘れてはならない先人がいます。
それが、「日本の蓄財の父」とも呼ばれる本多静六(ほんだ・せいろく)さんです。

彼は明治時代の林学博士であり、東京大学の教授として活躍する一方、質素な暮らしを貫き、投資によって莫大な資産を築いた人物として知られています。

本多さんの投資の基本は、「収入の4分の1を必ず貯金・投資にまわす」というシンプルなルールでした。
給料が上がっても、生活水準はそのままに、投資額だけを増やしていく。
そして、その蓄財によって得た財産の多くを、最終的には社会に寄付しています。

ここで重要なのは、投資によって「より豊かに生きる」ことを目指しながらも、決して欲に溺れなかったという点です。
彼の言葉に、次のような一節があります。

「人生即努力、努力即幸福」
「蓄財の第一義は、精神修養にあり」

まさにこれは、東山さんが本書で娘に伝えたいこととも重なります。
お金はあくまで人生を豊かにするための“手段”であり、それをどう使い、どう生きるかが問われる――そうした哲学的な問いに、本多さんの生き方が静かに応えてくれるのです。

本多さんに関しては、ぜひこちらの1冊「【本多の生き方にこそ、人生の極意あり!】本多静六 若者よ、人生に投資せよ|北康利」もご覧ください。

自分と向き合うことは、消費を再検討するということでもあります。

浪費を極限までなくすことができれば、それだけ、投資市場への入金力がUPするも同然だからです。その際には、「義理」「恥」「見栄」の3つについて自分自身でどのような視点で消費をしてしまっているのか、浪費につなげているのかを理解してみることが重要でしょう。

例えば、年末年始の付き合いでなんとなく参加している高額な飲み会や、周囲に合わせて購入してしまうブランド物の服や時計。

あるいは、「子どものため」と言いながら、実は周囲の家庭との比較に無意識に影響されて選んでしまっている高額な習い事など。

それらの消費の背景には、
「義理だから断れない」
「恥をかきたくない」
「見栄を張ってしまう」
という、外部からの目線に左右された心理が隠れていることが少なくありません。

著者は、こうした“無意識の消費”を一つひとつ棚卸しし、自分の価値観に照らし合わせて再定義することの大切さを説いています。

浪費を減らすことは、単なる「節約術」ではなく、
“自分が本当に大切にしたいことにリソースを集中させる”ための行為です。

そしてその結果として、投資への「入金力(=資金投入力)」が増せば、将来にわたって資産形成のペースが加速していきます。

つまり、節約とは「がまん」ではなく、「選択」なのです。

お金や資産を考えることは、実はとても人生を考える上でとても大切な手助けになります。なぜなら、自分自身の人格を問うということだから――それは、自分という人間の世界観をどう定義して、それに基づく活動をどれだけ行うのか、そしてその際に、他者との関係性の見立て(ギブ)をどう捉えていくのかを常に考えていくことになるのです。

そのためには、この社会の仕組みや人という生き物のインサイト、そして、他者の考え方にふれることが欠かせないのです。

お金や資産を通じて、学びの機会を提供されていると思ってみれば、なんて素晴らしい体験になることでしょう。

お金を稼ぐこと、増やすこと、守ること。
それは決して利己的な営みではなく、「どう生きるか」「どう他者と関わるか」を考えるための鏡でもあります。

著者・東山一悟さんは、「投資で2億稼いだ」という実績の裏にあるのは、派手さやテクニックではなく、日々の選択の積み重ねであるということを、15歳の娘に向けて淡々と、しかし情熱を込めて語っています。

本書『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』は、
金融教育という枠を超えて、「生きる力」を育てるための一冊です。

もし私たちが、お金を通じて、自分自身のスタンスと向き合い、社会の構造を理解し、他者と分かち合う意志を持てるようになれば、
そのときにはきっと、お金以上に大切な“豊かさ”が、私たちの手の中に育まれているのではないでしょうか。

まとめ

  • どうしたら豊かになれるのか!?――仕組みの理解と、市場への参加が欠かせません。
  • キャッシュだけはむしろ危険!?――インフレ時代に、価値を損なっていく可能性があります。
  • 投資は“人格”を磨くこと!?――常に正しい選択ができる自分を作り上げていくことです。
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