【みんなリーダーになれる!?】リーダーシップの旅~見えないものを見る~|野田智義,金井壽宏

リーダーシップの旅~見えないものを見る~
  • リーダーとは何でしょうか!?
  • 実は、起点になるのは、他者との関係よりも、自分との関係かも。
  • なぜなら、セルフ・リーダーシップこそが、リーダーの始まりだからです。
  • 本書は、リーダーがリーダーになる旅路を追った1冊です。
  • 本書を通じて、リーダーとは何なのか?誰がリーダーなのか、視点を得ることができます。
野田智義,金井壽宏
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リーダーの起点とは!?

リーダーを考える時、フォロワーシップについて想像が及ぶでしょう。

誰か、明確なリードしてくれる人と、それに対してついていく(フォロワー)の人。でも、こうした人と人の関係を想像すると、行き当たるのが、リーダーとはどうしてなりうるのか、ということです。始めから、リーダーはリーダーで、フォロワーはフォロワーなのでしょうか。実は、リーダーを人の関係性の中だけで見ていくと見誤ることがあります。

リーダーの起点にあるのは、自分自身に対するリーダーシップなのです。リーダーは、リーダーになろうとしてなるのではなく、結果的になるものです。

リーダーシップは、一部の限られた人の問題ではなく、誰にも持ちうる、あるいは、起こり得る状態だと言ってもよいのです。自分自身に対してリーダーシップを発揮できている人は、まずもって、すべてがリーダーであると言えるからです。

反対に捉えれば、自分自身にリーダーシップを持つことができていない人も、多くあるのではないかと考えられます。本当に自分がやろうとしていることを見極められていない、そうしたことを考えてもいない、あるいは、他者に言われるがままに行動している、他者の価値観や社会が作った既成の価値観で自分自身を見ている・・などなど、こうしたスタンスを持つ人は、リーダーシップが発揮できているとは言い難いものです。

フォロワーは旅の途中で現れる。リーダーと出会い、一緒に旅をする。しかも、この時点で、しばしばリーダーは自分のリーダーシップには気づかない。見たいものを見、やりたいことをやり、自身が描く目標に向かって歩いているだけで、自分がリーダーシップを発揮しているとは意識しない。

序章 「リーダーシップ」はなぜ心に響かないのか

リーダーシップは、先天的なものなのか、後天的なものなのか、という議論がよく起こりますが、それ自体にそんなに意味はありません。リーダーシップは、すべての人に備わる素質なのです。リーダーシップは、その門をくぐれば、そこから卒業はありえません。常に、成長段階によって、つきまとう考えや行動であるのです。

リーダーは、「大きな絵」を描いて、フォロワーに対して視点や視座を提供します。それに共感する人がリーダーを自然と支えていく構造を作ります。民間で小口配送を始めたヤマト運輸の小倉昌男さん、宗教改革を行ったマルティン・ルター、インドの父となったマハトマ・ガンディー、彼らは数千、数万という単位で人を巻き込み、業界や国、そして世界を変えて生き抜きました。

その人生というリーダーシップの旅路には終わりはなく、そして、その意思はいまだ今を生きる私たちに対して、「大きな絵」という記憶を通じて、生き続けています。

リーダーとは!?

桃太郎は、リーダーです。村人を困らせていた鬼を、仲間であるいぬ・さる・きじとともに、退治して、平和を導きました。しかし、目を凝らしてみれば、桃太郎は生まれながらにして、リーダーではなかったのです。確かに桃から生まれたという先天的な、神秘性を纏う人材であったことには間違いないのですが、そのままやさしいおじいさんとおばあさんと、ゴロゴロ暮らすことだってできました。

彼をリーダーたらしめたのはいくつかの要素がありますが、概ね次のようなポイントです。

  • 村を困らせている問題を意志をもって解決したいと思った。
  • そのために、いぬ・さる・きじに対して、その意志を説明し、仲間として迎えた。
  • 結果、チームで協力して問題を解決することができた。

大切なのは、はじめの1歩目です。最初から実は、いぬ・さる・きじという仲間の存在はなかったのです。最初にあったのは、確固たる思い。それも内発的にみなぎる思いでした。

リーダーシップの旅は、「リード・ザ・セルフ(自らをリードする)」を起点として、「リード・ザ・ピープル(人々をリードする)」、さらには「リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)」へと段階を踏んで変化していく。

第1章 リーダーシップの旅

これら3つの段階は、リーダー自身の1人称による語り、フォロワーによるリーダーへの帰属、社会による公認と、説明することができるでしょう。

肝心なのは、よくあるリーダー論に惑わされず、迷うことなく「リード・ザ・セルフ」の論点を意識できるかにあります。リーダーというのは、結果的に社会での名声や承認など、第三者的に語られるのですが、それ以前に、1人称、そしてフォロワーからの2人称の関係性で語られ、育まれていくものなのです。

そう考えると社会のいたるところにリーダーシップの原石は転がっています。日常生活の中で、どういう暮らしをするのか、あるいは、もっと身近にして、どういう時間の使い方をしようとしているのか、などなどとても身近なシーンにおいても、リーダーシップというのは発揮されているものなのです。

誰にとっても大切な考えがリーダーシップということになります。

自分が突き詰めたいから、やってみる、というような「リード・ザ・セルフ」の考え方は、素直なリーダーシップとなります。これを、ペンシルバニア大学のR・J・ハウス博士はその研究の中で「自然発生的なリーダー(emergent leader)」と名付けました。

他に2つのリーダーと比較するとこの特異性を理解することができます。他の2つは「選挙で選ばれたリーダー(elected leader)」と「任命されたリーダー(appointed leader)」です。2つが外発的あるいは、権威からの押し上げに対して、「自然発生的なリーダー」は、内発的であることに気が付きます。

エマージェントという言葉が含む「場面」のニュアンスも重要だと思う。

第1章 リーダーシップの旅

確かに、めちぇめちゃ平和な村に桃太郎が不時着しても、何も事件は起きずに、幸せな放蕩息子に育って物語にはならなかったかもしれませんね。

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リーダーとマネジャーの違い!?

改めて、リーダーシップを考える旅路の中で、リーダーとマネジメントの違いについて意識を向けてみましょう。3つのポイントで違いを触れてみます。

1)「見える」か「見えていない」か。
リーダーは「見えないもの」を見て、あるいは「見ようと」します。新しい世界を作り出そうとする原点となる視点を持ちます。一方で、マネジャーは「見えるもの」を分析し、それらに対して受動的もしくは能動的に対応しながら、漸進的に問題を解決していくスタンスを取ります。

2)「人としての働きかけ」か「地位に基づく働きかけ」か。
これは、上述の「自然発生的なリーダー」か他の2つか、についても触れるところです。リーダーもマネジャーも周囲に働きかけをしていくことについては同等です。しかし、リーダーが、人々の価値観や感情に訴え、共感・共鳴を得て、賛同者・支持者のネットワークを広げていくのに対して、マネジャーは、組織の成員に対して、地位に基づく権威、権限を持って働きかけます。

リーダーはパーソナルなパワーをよりどころとし、マネジャーはポジショナルなパワーをよりどころとする。

第2章 なぜリーダーシップが必要なのか

3)「シンクロ(同期化)する」か「モティベート(動機づける)」か。
リーダーは、人々の内在的な意欲に基づく自発的な行動を誘発し、同じ方向へ向かって歩みをともにします。マネジャーは、アメとムチを使って人々の行動を管理(コントロール)し、ある方向へ向かわせようとします。

つまり、リーダーシップとは、リーダーとフォロワーの間でそれぞれの夢がシンクロナイズしていく過程であり、その中でリーダーの夢が全員の夢へと昇華させれていきます。これに対して、マネジャーの原点には、人を動機付けてその行動を変えていくという側面があることを意識してみることが大切でしょう。

なぜ、このような違いが生み出されていくのか・・という疑問には、リーダーが結果的に、運命的に背負う役割があるからなのです。

「リーダーは創造と変革を扱う」

第2章 なぜリーダーシップが必要なのか

リーダーは、現状を大きく変えたとか、何か新しいものを作り出したりして時代を変革した人物なのです。その一方、マネジャーは、現状を維持するか、少しずつ漸進的に変えていきます。

組織の安定性や持続性を維持するためにマネジメントは機能しますが、組織の変革を生み出すためにリーダーシップは機能します。

リーダーの起点になるのは、常に自分自身をリードするマインドセットです。そして、それが伝播していくことがなければ、変革をもたらすことはできません。つまり、共有し、共感できるかどうかがキーなのです。最初の起点になるマインドセットは、つまり「自己」と「利他」の接点であり、もっといえば、自分と社会の接点を考え、見いだせるかどうか、という点に関わってくる、それがリーダーシップなのです。

リーダーシップを俯瞰するには、こちらの1冊「【優越ではなく、協働がポイント!?】リーダーシップとマネジメントの違い|ジョン・P・コッター」もたいへんおすすめです。ぜひご覧下さい!

まとめ

  • リーダーの起点とは!?――自分自身をリードできるか?です。
  • リーダーとは!?――社会との接点の中に、意志を見出し、行動できる人です。
  • リーダーとマネジャーの違い!?――比較から、リーダーシップの理解を深めましょう。
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