- どうしたら上手に目標と実績が管理できるでしょうか!?
- 実は、分けて考えるがベースになるかも。
- なぜなら、いっしょくたでは、複雑なものごとの本質に触れづらいからです。
- 本書は、中小企業でも導入しやすい管理会計の教科書です。
- 本書を通じて、日々の数字管理を行う視点と方法を得られます。
変動費と固定費に分ける!?
昨日の投稿「【管理会計を導入しよう!?】すぐわかる 中小企業の管理会計「活用術」|林健太郎,梅澤真由美」に続き今回も、こちらの1冊『すぐわかる 中小企業の管理会計「活用術」』をレビューしていきたいと思います。
費用について分けて考えることを意識してみましょう。費用といっても大きく2つに大別されます。それが、売上と連動する費用か、売上とは関係なくかかってくる費用かということです。売上と連動している費用は、「変動費」。そうでない費用は、「固定費」と呼ばれるものになります。
変動費と固定費に分けると、利益が容易に予測できる
1 管理会計のベース、変動費と固定費
変動費:売上に対して発生する費用
- 材料費
- 商品売上原価(期首棚卸高+仕入高-期末棚卸高)
- 外注費
- 荷造運賃
固定費:売上に連動しないで、決まった額が発生する費用
- 給与
- 賃金
- 法定福利費
- 地代家賃
- 減価償却費
- リース料
変動費と固定費は、管理会計のベースとなる考え方です。変動費と固定費を分けるのは、利益を予測するためです。たとえば、売上が2割増えると、最終的に残る利益がいくらになるのかを予測するには、変動費と固定費を分けなくては正しい計算は難しいでしょう。
家計と同じで、固定費を削減すると効果は長く続きます。一度大変な思いをして減らしてしまえば、効果が長持ちします。ただ、一方で、固定費を減らしてしまうと、売上をUPするための資産を減らすことも多々あるため、回復するためには同じように多くの手間がかかってしまうこともありうるのだと意識が必要でしょう。たとえば、人件費がこれにあたります。
固定費を下げておくことで、利益を出しやすい体質を作ることができます。新規事業などは、なるべく固定費を下げながら、売上を作っていくことを志向します。
<変動費と固定費を分ける理由>
- 利益を予測するため
- 費用の削減効果が違うから
- 新規事業では固定費にはとくに注意が必要だから
CVP分析をしてみよう!?
いくら売上を獲得すれば、黒字化が達成するのか?の基準ラインを感覚値として知っておく必要があります。このラインを「損益分岐点」と言います。
損益分岐点(Break-even Point, BEP)は、事業や製品が利益も損失も生まない販売量や収益のポイントを指します。このポイントを超えると利益が発生し、下回ると損失が生じます。
損益分岐点(単位販売数) = 固定費 ÷ 単位あたりの寄与利益(限界利益) によって、算出されます。
売上高をベースにするには、次の式を採用します。
損益分岐点(売上高) = 固定費 ÷ 寄与利益(限界利益) です。
寄与利益とは、単位あたりの寄与利益を単位あたりの売上高で割ったものです。
おすすめは年1回、例えば年度の決算が終わった後に、損益計算書の月次推移表などを使って分析してみるといいでしょう。
3 会社の「体質診断」、CVP分析
直近の決算書をもとに、その期の利益がどのような構造の中で生み出されたのかを明らかにして、把握してみましょう。分析するときには、変動費率、固定費の額、損益分岐点売上高、安全余裕額(率)も計算してみることもポイントになりそうです。
毎年、定期的に、CVPを把握することによって、自社の経営体質の変化にすぐ気づくことがポイントでしょう。
部門別PLを見てみよう!?
管理会計が大切にするものに、「当事者意識」があります。
5 「自分ごと」化につながる部門別PL
部門別PLを考える際に大きく2つに大別されます。一つは、「異類タイプ」です。これは1つの会社の中に異なる収益構造をもった事業が混在しているときに使います。例えば、流通業の会社で、卸売をやっているけれど、実は小売もやっているなどの場合です。顧客も異なりますね。
もうひとつは、「同類タイプ」です。これはたくさんの店舗を運営しているコンビニのフランチャイズチェーンなどです。店舗ごとにPLを算出することで、店長や従業員の成果を見える化することが可能になります。
いずれの場合でも、部門長(店長)が登場します。部門長(店長)が自分で努力して上下できるところとそうでないところを見分けてあげるのがキーポイントです。これは、固定費の按分に役立ちます。
固定費の中で、例えば、光熱費などは、なんとか努力で下げられるかもしれませんが、家賃などは不可抗力が大きいものです。自助努力の中で、コントロールできるかどうかで、固定費を按分しましょう。ここが部門別PLを算出する上でもっとも大切なことになります。
部門別PLは本当に必要な業種や場合に限って作成すればいい。
5 「自分ごと」化につながる部門別PL
部門別PLは算出するのに、それなりの工夫と工数が必要になります。せっかく算出してみたけど、あまり使えない・・みたいなことが、中小企業では往々にしてあります。まずは、売上の細分化、変動費・固定費の見える化を、既存の勘定科目をもとに実施することを優先しましょう。
それでもなお、部門別PLが必要の場合(例えば、上述のようなコンビニフランチャイズチェーン、複数の事業を展開する企業など)は、実施してみることをおすすめします。
「ありもの」を活かすということです。
3 いつもの帳票でできる!管理会計の見方
まとめ
- 変動費と固定費に分ける!?――利益を正しく計算できるように整えましょう。
- CVP分析をしてみよう!?――健康診断のように体質理解をしましょう。
- 部門別PLを見てみよう!?――必要の場合に限って、固定費を按分して算出してみましょう。