【リアルもデジタルも、リアル!?】SHIBUYA109式Z世代マーケティング――若者の「生の声」から創る|長田麻衣

SHIBUYA109式Z世代マーケティング――若者の「生の声」から創る
  • 新しいZ世代マーケティングは、何が重要でしょうか!?
  • 実は、リアルとデジタルの連携と、SNSの使い方かも。
  • なぜなら、彼らにとって全てが「リアル」な世界観だからです。
  • 本書は、109ラボ所長の長田麻衣さんによる次世代マーケを考える1冊です。
  • 本書を通じて、顧客を巻き込むマーケティングの考え方に触れられます。
長田麻衣
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SNSが当たり前に存在する世代!?

いつの時代も、若者は近い未来に当たり前になっている最先端の感覚を身に着けているものです。Z世代、その先のアルファ世代と呼ばれる人たちの感覚を研究することは、未来を見つめることにつながります。そこから、現在を眺めることで、ビジョンを見出すことが可能になります。

まず、いまの若い世代が物心ついたタイミングにすでにSNSが存在したというのは、大きな要素でしょう。彼らにとって、リアルも、SNS(デジタル世界)も、いずれも当たり前の存在になっています。

リアルもデジタルも”リアル”

SNSによるコミュニティの変化

SNSが当たり前に存在する中で、生まれた価値観は、次の3つです。

1)コミュティ・・コミュティがオンラインにも拡大しました。ここでは、距離の制約がないので、趣味や#で関連性を持った繋がりを構築することが可能です。リアルの地縁とはことなるロジックで繋がることを可能にしています。このことがオフライン(リアル)のコミュティにも影響を及ぼしています。Z世代にとって、地縁で結ばれたコミュティは、かならずしも仲良く同調「しなくてはならない」集まりではありません。あくまで、リアルでたまたま結ばれた仲なので、学校などで結ばれた友達と、好きなモノやコトが一緒であることをそれほど重視しません。

2)コミュニケーション・・デジタル上で写真がやり取りしやすくなったことから、ビジュアルコミュニケーションを活発に行うようになりました。メール世代と異なり、写真の加工度や加工内容で、互いにジャンルやコミュティの色を見分けます。

3)自分らしさ・・周囲の評価や評判への意識が、Z世代の自己表現方法に影響を及ぼしています。「周りからこうみられている」という他者からの評価を主軸に、「自分らしさ」を認識・定義しているケースが多く見られているのも特徴です。「周りから浮かない程度に自分らしさを発揮したい」と考えています。

SNSも使い分け!?

インスタグラムは、自分のキャリアを蓄積したようなSNSとして認識されています。

Instagramは写真や動画を中心にした自己紹介ツールとしても活用されており、これまで投稿している写真や動画からお互いの人となりを知ることができるからです。

SNSによるコミュニケーションの変化

過去の投稿を遡り見ていくことで、共通点を見つけ、「その人らしさ」を感じながらも、仲良くできるポイントを探すことができます。

一方で、TikTokは新しいことについて触れるSNSとしての色合いが強くなっています。Instagramは、アルゴリズムがはたらき、自分の好みに最適化した情報が提供されてしまうのに対して、TikTokは、少しずらした投稿も見ることができます。また、TikTokは、能動的に検索すると言うよりも、受動的にみる情報消費スタイルになるため、新しい情報に触れやすくなります。

SNS上でフォローするインフルエンサーからの情報もキャッチアップをします。インフルエンサーに求めることは、「自分と近い人であること」です。Z世代にとっては、リアルもデジタルもリアルです。だから、アイドルや芸能人といった手の届かない存在ではなく、あくまで少し手が届きそうなインフルエンサーの存在感に、自然なコミュティメンバーとしての同調性を求めるのかもしれません。

Z世代にとっては、リアルもデジタルも両方とも「リアル」なのです。これはSNSによって周りの人と常時接続状態が実現したことで、コミュニティが変化し、コミュニケーションが様変わりした結果です。

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「個人的には」の背景には!?

リアルやデジタルで常時接続が可能になるなかで、「調和」を重んじるようになります。

「私の個人的な意見ですが・・・・」とか「間違っているかもしれませんが・・・・」など、謙遜する態度や、謙虚な前置きがあった上で話し始める様子が目立ちます。自分の考えを人に共有する場合でも、言葉選びや伝え方を入念に考えているのです。

彼らはSNSの投稿が批判されたり炎上したりする光景を間近に見ていることで、もしかすると次は自分にその矛先が向いてくるかもしれない、警戒心を持っているのです。

あるいは、自分の意見を表明することで、誰かを傷つけたり、コミュニティの調和を乱したりしてしまうかもしれないことを非常に恐れています。

「自分はこう思う」という形の表現、つまり自分を主語にした意思表明をなるべく避ける傾向にあります。

”自分らしさ”の表現方法の変化

Z世代の生きる社会や情報環境を見ていると、平野啓一郎さんの「分人」を思い出します。私たちは、少なからずいろいろな自分の人格を持ちながら、対外的に反射して生きています。リアルとデジタルによる常時接続が可能になり、さらには趣味や#で、繋がりの種類を選定できるようになったからこそ、「分人」的な生き方がもっと表に出てきているのかもしれません。

分人については、こちらの投稿「【本当のあなたの「個性」はどこにある!?】私とは何か「個人」から「分人」へ|平野啓一郎」もぜひご覧ください。

まとめ

  • SNSが当たり前に存在する世代!?――リアルもデジタルも、リアルです。
  • SNSも使い分け!?――インスタは自己紹介、TikTokはトレンドウォッチです。
  • 「個人的には」の背景には!?――炎上を避け、調和を求めます。
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