【分ければ顧客価値が見えてくる!?】顧客起点の経営|西口一希

顧客起点の経営
  • 経営そして、商売の本質はどこにあるでしょうか。
  • 実は、「顧客」起点が重要です。
  • なぜなら、「顧客」こそが、価値であり、結果的に売上(市場シェア)であるためです。
  • 本書は、浸透度×NPIという非常にシンプルな顧客マップを描き、トラッキングすることで、「誰に、どんな価値を」提供すればよいのかを考えていけるフレームを紹介する1冊です。
  • 本書を通じて、顧客ありきの商いに立ち返らせてくれる、地図を得ることができます。

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「顧客」を分類して考えられる5segsとは何か!?

顧客をしっかり見ることが、経営に対してインパクトを与えます。自社の都合でなくて、顧客の都合で、自社を考えていくことで、きっと選ばれていくプロダクトを作る会社を目指すことができます。

経営とは、顧客(WHO)が価値として認める便益と独自性(WHAT)を、プロダクトを通して提供し、継続的に財務結果を向上させることを目標とする手段(HOW)

第2のフレームワーク――「顧客戦略(WHO&WHAT)」

このとき、顧客を十把一絡げにまとめて考えていても、なかなかその人となりやニーズというものは、見えてきません。顧客を分けて考えることがポイントです。その時に、活用できるのが、5segsです。

5segsは、次のようなブランドからみたヒエラルキーで顧客をとらえます。

  • ロイヤル顧客・・認知あり/購買(頻度・単価・利益)高い
  • 一般顧客・・認知あり/購買(頻度・単価・利益)中~低
  • 離反顧客・・認知あり/購買経験あり/現在購入なし
  • 認知未購買顧客・・認知あり/購買経験なし
  • 未認知顧客・・認知なし

ロイヤル顧客と一般顧客までが、現在のビジネスを支えてくれている顧客
そして、離反顧客~未認知顧客までが、成長ポテンシャルととらえることができます。

ワントゥワンのマーケティングが一時期注目されていました。たしかに各層をペルソナ的にモデルを通じて理解することは重要だと思います。その顧客のニーズや価値を見極められる補助線になるからです。しかし、あくまで、それは顧客理解のため。ワントゥワンでカスタマイズすることを施策にまで応用してしまうことについては、注意が必要です。というのも、過剰なカスタマイズ(パーソナライズ)は、コスト圧迫にも繋がりかねず、ビジネスの永続性の足かせとなり、結局は、顧客のためにならない可能性があるからです。

また、顧客と向き合う時に大切なのは、「顧客の価値」でプロダクトを捉える視点です。ドリルではなく、穴がほしい顧客の心をどれだけ見つめることができるか、が、日常業務の中で求められます。

5segsを進化させる「NPI」とは何か!?

5segsで顧客を分けて考えることが重要ですが、さらにもう1つの軸を掛け算して顧客をもう1段階分けると、よりよい理解に繋がります。

その1軸こそが、NPIです。NPIとは、Next Purchase Intentionです。次回購買意向の意味です。

次回購買意向は、NPI(Next Purchase Intention)と呼んでいます。(中略)
NPIは調査を通して事業成長のKPIとしての有効性が発表されています。

5セグズの発展形が9セグズ

これは、マクロミル社と、M-Force社の共同研究によって導かれた、経営指標に非常に高い相関関係を持つ指標です。詳しくはこちらのサイトも御覧ください。このサイト内には、このような発表があります。

今回対象とした6カテゴリ54ブランドにおいて、マーケットシェア、およびシェア拡大の重要なドライバーとされるブランドロイヤリティに対し、9segs®︎の主要KPIである「NPI(次回購買意向)※5」および「u-NPI(顧客内次回購買意向)」※6が、従来のKPIと比較して、最も相関が強いという結果を得ました。

マーケットシェア拡大に有効な新KPIを特定――株式会社マクロミルニュースリリース(2021年3月18日)

従来、ブランド管理指標(KPI)として、認知、好意度、満足度、NPSが活用されてきましたが、両社はブランド研究のすえ、これらの従来指標と比べNPIの相関が、シェア拡大との相関が高いことを判明させました。(日用品ブランド)2020年12月18日~12月22日に実施したオンライン調査と、2020年1月~12月での実購買データの、相関を測ったとのことです。市場シェアは、そのまま売上規模にも直結するため、KPIとしてはKGIに直結するものと言えそうです。

この指標を掛け算して5segsを9つにするのが9segsです。

9segsでの「顧客」トラッキングとは!?

筆者は財務諸表や顧客行動をに加えて、NPIを顧客心理のKPIとして継続的に計測することで、ロイヤル顧客や新規顧客だけではなく顧客層全体を捉えた上での顧客体験の向上、あるいは販促とブランド構築のバランスの調整や軌道修正をしてきました。

NPIは成長ポテンシャルの先行指標になる

9つの分類はぜひ、上記画像や本書、あるいは、マクロミル社のサイトをご覧ください。大切なことは、これらのフレームを通じて、顧客を分類し、継続的なトラッキングにより、成長を促す施策を検討することです。

ところで、本書の末尾に、かの有名なドラッカーさんのことばがいくつか収録されていました。グッときますので、改めて顧客起点を考える際に、噛み締めていきたいものです。

「企業の目的は、それぞれ企業の外にある。企業は社会の機関であり、目的は社会にある。したがって、事業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である」

『現代の経営』ダイヤモンド社

「企業が自ら生み出していると考えるものが、重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値を考えるものが重要である。それらのものが、事業が何であり、何を生み出すかを規定し、事業が成功するか否かを決定する」

『現代の経営』ダイヤモンド社

「顧客は合理的である。不合理であると考えるのは危険である。顧客の合理性がメーカーの合理性と同じであると考えたり、同じでなければならないと考えると同じように危険である。一見不合理に見えても顧客の利益になっているものに代えて、メーカーが合理的と考えるものを押し付けようとするならば、必ず顧客を失う」

『創造する経営者』ダイヤモンド社
ピーター・F・ドラッカー
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顧客の価値に向き合う時に、ご参考になりそうなのが、過去の投稿「【相手を知ると価値が生まれる!?】誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方|今井孝」です。お金の本質を考えていくことは、価値を考えることにつながっていくようです。

まとめ

  • 「顧客」を分類して考えられる5segsとは何か!?――プロダクト認知と購買経験(深さ)で大別します。
  • 5segsを進化させる「NPI」とは何か!?――次回購買意向のことで、市場シェアと高い相関があります。
  • 9segsでの「顧客」トラッキングとは!?――5segsとNPIの組み合わせで顧客をとらえていきます。

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