【2050年循環型の未来へ!】サーキュラーエコノミー実践|安居昭博

サーキュラーエコノミー実践
  • 2020年政府から「循環経済ビジョン2020」にて、今後日本が進むべき道が示されました。ここにどう向き合ったら良いの!?という感想を持つ方も少なくないのではないでしょうか。
  • 実は、世界的なコンサルティング会社の研究発表を俯瞰することに価値があります。
  • なぜなら、この分野には、多くの利益創出の機会が潜んでおり、各社その潮流を捉えたいと必死なのです。
  • 本書では、サーキュラーエコノミーを学ぶためにオランダに移住した安居昭博さんの視点から、最新の各社のレポートを俯瞰できます。
  • 本書を通じて、サーキュラーエコノミーの実現に向けた考え方を俯瞰しながら、機会点の一端にふれることができるでしょう。最新の企業事例ももりだくさんです。

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サーキュラーエコノミーは、がまんじゃない!

循環型社会?それって、環境保護的なことでしょ!?がまんはいやだ!というふうにも捉えられがちなんですが、じつは、全く別の発想で眺めて見る必要があります。

これは、新しい社会イノベーションであり、世界の仕組みを作り変えるプロジェクトなのです。

だから、一定の設備投資も必要です。そのため、経済への好影響も期待でき、かつ、雇用創出まで実現する可能性が示唆されています。

現在サーキュラーエコノミーに大きな注目が集まるのは、アクセンチュアやマッキンゼー等の調査によって、サーキュラーエコノミーが環境負荷の軽減だけでなく新たな経済効果や雇用創出をもたらし、これまでにないビジネスモデルをつくりあげるための大きな機会だと判明しているからです。

CAPTER1 サーキュラーエコノミーが切り拓く新時代

サーキュラーエコノミーは、次に挙げられる3つの指針で捉えると、理解が進みます。

これらは、なんと1994年という以前に、イギリス人起業家のジョン・エルキントンさんが提唱したものです。

「Profit(経済的利益)」・・経済利益を追求すること。
「Planet(地球環境)」・・地球環境に負荷をかけすぎないこと。
「People(人々の幸福度)」・・人々の幸福度を追求すること。

大切なことは、この3つのバランスです。これまでの人類の世界では、とくに経済環境があまりに優先されてきた嫌いがあります。

ちなみに著者である安居昭博さんは、GDP/GNP偏重社会に対しても冷静です。

GDPの歴史はアメリカの経済学者サイモン・クズネッツ(Simon Smith Kuznets)氏により世界で初めて、一年あたりの一国民の所得と、一年の年間所得/生産量が算出された1930年代にまで遡る。この数字は「国民総生産(Gross National Product:GNP)」と呼ばれ、後にGDPが生まれる基盤となった。
(中略)
一方、提唱者であるクズネッツ自身は、GNPを万能の指標のように扱うことは決してなく、「国民が幸福化どうかは、国民所得という尺度からはほとんど推測できない」としてむしろGNPの限界にちうて警告を発している。

CAPTER1 サーキュラーエコノミーが切り拓く新時代

人って、数値化できるものに、なぜもこんなに弱いのでしょう・・・。

GNP、ひいてはGDPを発明した、経済学者が、その口から「幸せ」を語っていたことは、非常に印象的です。

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデルとは!?

2015年、アクセンチュアはサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルにおける特徴的な側面を抽出し、次の5分類を提唱した。

CAPTER1 サーキュラーエコノミーが切り拓く新時代

1.サーキュラー型のサプライチェーン(再生可能な原料を使用)
例えば、アディダスは2019年に、接着剤が全く使用されず、ソール、靴紐の部分も含めてすべてが熱可塑性ポリウレタン素材の単一素材で作った商品を発売したそうです。

2.回収とリサイクル(廃棄前提だったものを再利用)
例えば、フライターグは、トラックのほろで作ったかばんをすでに1993年に発売していますね。

3.製品寿命の延長(修理、アップグレード、再販売)
例えば、パタゴニアは、「新品よりずっといい」をコンセプトに使用済み商品の購入ができるサービスを展開してます。

4.シャリングプラットフォーム(保有しているものを貸して収入を得る)
例えば、ピアバイというオランダで人気の一般市民間(C to C)のシェアリングプラットフォームなどのサービスがあるそうです。日本でいえば、ジモティなどがあるでしょう。

5.サービスとしての製品(顧客は所有せずに、利用に応じて支払う)
例えば、この分野は「PaaS(Product as a Service)」とも呼ばれており、フィリップスなどは照明器具をリースで販売しているそうです。

など、具体的な取り組み企業の事例とともに本書では紹介されています。

上記事例は、すでに多くの方が知っている企業ブランドかと思います。この他本書では、オランダの先進事例も数多く紹介されているので、メジャー企業とオランダの新興企業の取り組みを、一望するのにとても良いと思います。

実践に向けて「バタフライ・ダイヤグラム」と4つのRを!

サーキュラーエコノミーの指針やビジネスモデルを理解できたら、実践を考えるステップです。

このためには、サーキュラーエコノミーを2つのサプライチェーンで理解する「バタフライ・ダイヤグラム」と、これに円循環をもたらすステップの「4つのR」を知ることが良いです。

バタフライダイヤグラムの特徴の一つは、右手側の「技術系サイクル(Technical Materials)」と左手側の「生態系サイクル(Biological Materiarls)に分けられることだ。技術系サイクルではそれぞれの工程に資源を戻すための技術的なアプローチが示されている一方で、生態系サイクルでは再生可能資材を循環させる方法が表記されている。

CAPTER1 サーキュラーエコノミーが切り拓く新時代

サーキュラーエコノミーに対して、リニアエコノミーと呼ばれる、いわゆる使い捨ての一方通行のサービスを、円循環モデルにすることがサーキュラーエコノミーです。

このために、2つのサプライチェーンを意識しましょう。

ひとつは、技術系サイクルです。これは、部品の設計とか、アフターサービスとかものづくりの技術的段階をいかに工夫するかという着眼点です。

もうひとつは、生態系サイクルです。こちらは、自然との接点のことで、バイオ原料とか、再生可能エネルギーや資源活用などを推進するという着眼点です。

そして、この2つの着眼点に円循環をもたらしていくアプローチとして次の4つのRでステップを組むと良いです。

1.その素材は本当に必要か。使用量をへらすことができないか(リデュース)
2.利用者に修理して使い続けてもらうことができないか(リペア)
3.リユース可能な素材が活用できないか(リユース)
4.リサイクル可能な素材が活用できないか(リサイクル)

最も効果的なアプローチは、上から順番です。新しい4R、覚えておきたいですね。

まとめ

  • サーキュラーエコノミーは、がまんじゃない!――社会の仕組みを改革することで、新たな経済効果や雇用創出にまで好影響が期待できます。
  • サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデルとは!?――アクセンチュア提唱のモデルを俯瞰して捉えることで、事例を追いかけやすくなります。
  • 実践に向けて「バタフライ・ダイヤグラム」と4つのRを!――実践にあたっては、技術系/生態系、2つのサプライチェーンを4つのRで改革していけるか、検討してみましょう。

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