【経営者の味方になってくれる力とは!?】見えないものを見る力|大平浩二

  • 優れた経営者は、どんな思考を持っているのでしょうか。
  • 実は、経営にインスピレーションをもたらすような「発見」や「創造」に関わる思考やプロセスを取り扱うことは非常に難しいです。
  • なぜなら、それは目に見えるものでないからです。
  • 本書では、そんな経営者に本当に必要なインスピレーションをもたらすような心構えとして、昨今話題の「ネガティブ・ケイパビリティ」を取り上げます。
  • 本書を読み終えると、経営をはじめ、ビジネスがいかに見える部分だけを重視して執り行われているかを意識することができ、生みの苦しみのプロセスやアイデアの源泉となる思考過程に、思いを馳せることができるでしょう。
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「見えることだけ」を追っていませんか?

ROEは具体的な数字で持って表されますから誰の目ににもはっきりとわかります。またさほど難しい計算は必要ありません。そこに意味されているのは、株主の資本を用いて1年間で企業がどれだけ効率よく利益を出したかです。

第2章 現代:見えるものしか見なくなった時代

著者はこのように、見えるものだけしか、見なくなった時代に批判的です。たしかに、数字管理で、適切に企業の取り回しをしていくのはとても重要なことです。これをおろそかにしては、回ってきません。

でも、過度に数字にこだわりすぎてもいけません。数字は企業の本質的な活動の結果であり、目的ではないのです。

例えば、ROEだけを指標にものごとを考えていけば、端的に「固定費の削減」という戦略オプションを取るでしょう。固定費の中でも代表的なのは、人件費です。つまり人を切って、経営の数字をよくするアクションを取りかねません。でも、人が経営に及ぼす影響は甚だ大きいものがあります。そして、それはなかなか目に見えることではありません。

著者が面白いのは、腸内細菌バランスを例にあげています。

なぜ私たちは「悪玉」と「善玉」を分けたがるのか。もう代替答えが出てきたように思います。そうです。私たち人間は、自分にとって都合の悪いこと(自分の不摂生など)を悪玉菌のせいにすることによって、自分の不都合を正当化しようとしているのに違いありません。

第3章 なぜ見える世界だけしか見ないようになってしまったのか

腸内細菌には、善玉、悪玉、日和見がいるといわれています。でも、大切なのは、これらのバランスなんですよね。善玉だけでも人は生きていけない。パレートの法則もそうです。上の2割だけを残しても、結局、不具合が怒っていく。こういうような複雑系の中で私たちは生きているんだということを忘れがちになっています。

この場合に何が「見えていない」のかというと、繋がりです。

悪玉や日和見がいることによって、善玉が心地よく活動できるかもしれないですし、これらの細菌の繋がりはかなり複雑なものであるはずです。互いが共存関係を築いているかもしれないことに気づくことが大切です。これはパレートの法則にもいえますね。

いや、そもそも善悪で語る時点で、それはご都合主義というもの・・。

私たちは、もっと「複雑系の中にあるちっぽけな存在である」ことに自覚的にならないといけないと、著者は言います。

ROEだけを見て、短絡的なアクションを取ることに警鐘を鳴らします。

「実証主義」が、世界にバランスを失わせている

最も根本的な原因は「実証主義(positivism)」と呼ばれる考えにあるように私には思えます。「実証主義」という言葉は、一般には馴染みの薄いものかもしれません。しかし、実は私たちの日常生活の中に随分と入り込んできています。例えば「仮説―検証」という言葉を日常生活でも効くようになりましたが、ここから生まれてきています。1990年代に、コンビニのセブン-イレブンが「仮説―検証」の考えに基づいた経営スタイルを導入したことはよく知られています。

第3章 なぜ見える世界だけしか見ないようになってしまったのか

「実証主義」を支えるのは、データです。そして、データとは、世界を理論化し、説明するのに便利なツールです。

そもそも、データで取り出した理論は世界のすべてを説明するものではないですし、また、それを取り扱う「実証主義」は、前提として初めから仮説を肯定的(ポジティブ)に見ようとする意識が含まれていることに注意すべきだと、著者は言います。

これは、仮説が示している以外の「見えない部分」が意図的に(場合によっては無意識に)排除されてしまう危険を示唆します。

また、「検証」にばかり目が向けられ(というのも数値結果が出てくるから)、いかにして「仮説」が発見されたのか?思いついたのか?が蔑ろにされてしまうこともあります。

いまこそ経営に「ネガティブ・ケイパビリティ」を!

ですから「ネガティブ・ケイパビリティ」が意味するのは、性急に答えを出すことではなく、考え抜くことであり、それに耐え抜く能力が最重要となります。言い換えれば、人の仕事の評価を出てきた結果だけで判断するのではなく、むしろ結果が出てきたプロセスを思いやる、ということだと考えます。

第4章 「見えない世界を見る」方法――「ネガティブ・ケイパビリティ」との出会い――

ネガティブ・ケイパビリティは、ジョン・キーツという詩人で、駆け出しの医者が見つけた概念です。キーツの死後、150年後、精神科医のビオンによって奇跡的に発見され、注目を浴びるにいたりました。

原典のキーツはこんな言葉で説明しています。

「消極的応力(ネガティブ・ケイパビリティ)……つまり不確実さとか不可解さとか疑惑の中にあっても、事実や理由を求めていらいらすることが少しもなくていられる状態のことだ……」

第4章 「見えない世界を見る」方法――「ネガティブ・ケイパビリティ」との出会い――

詳しくは、本書の著者も引用しており、私も過去の投稿で取り上げた「【焦るな!耐えろ!】ネガティブ・ケイパビリティ|帚木蓬生」もご確認ください。

経営の真髄や、仮説の発見など、プロセスを大切にしなければならないことに向き合う時、ネガティブ・ケイパビリティという言葉を思い出してほしいです。

こういった複雑系の中で、生みの苦しみに耐えるには、信じる力が必要です。

著者は、ビオンが精神科医として患者と向き合う際に、取り上げたネガティブ・ケイパビリティの考え方を拡張して、自然や社会に対する向き合いをする経営者の心構えとして、概念を拡張しています。

まとめ

  • 「見えることだけ」を追っていませんか?――「見えることだけ」、とくに数字だけ追っていっても、よりよい世界を創ることは不可能なのです。
  • 「実証主義」が、世界にバランスを失わせている――とくに、「検証」に無意識のうちに重きをおいてしまう、「仮説―検証」のアプローチにとらわれてはいけません。大切なのは、「仮説」発見の過程です。
  • いまこそ経営に「ネガティブ・ケイパビリティ」を!――プロセスに重きを置き、複雑系の自然や社会と向き合い続けるには、「ネガティブ・ケイパビリティ」という力を信じてみるのもいいでしょう。

予測不可能な時代に向き合いながら、前に進んでいくには、きっと耐える力が必要なのかなとも思いました。いま、皆を支配的に取り巻いている、ROE的数字の価値観とどれだけ距離をとったスタンスも持つことができるか、認知力を高めていきたいと思いました。

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