【自分の言葉を使えてる?】なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。|伊藤公一

なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。
  • なかなか相手に、きもちが伝わらない!気づくと、紋切り型の言葉しか、使えてない!など、言葉で、悩んだことはありませんか?ビジネスでますます言葉の大切さが協調される時代でもありますね。
  • 実は、コピーライターの言葉へのアプローチが、自分の言葉みがきの大きなヒントになるかも。
  • なぜなら、コピーライターは、「相手に伝わること」をつきつめて、言葉を見つけている職種なのです。
  • 本書では、電通のコピーライターである伊藤公一さんが、コピーライティングの手法を棚卸しして、極めて端的にかつ、事例も交えながら紹介してくれています。
  • 本書を読み終えると、自分と相手の間をつなぐ言葉の作り方を知ることができるでしょう。

人は、あなたの言葉を聞いていないと、考える。

インフォメーション→情報を相手に性格に伝えることを目的にしている
コミュニケーション→伝えたうえで、相手の心を動かすことを目的にしている。
この2つの違いをまずは理解してもらえればと思います。

前提として、人はあなたの言葉を聞いていない

相手は、聞いていない前提に立ちましょう。一方的に言葉を発信しても伝わりません。

伝わる言葉というのは、自分と相手の間に共通項のようにして存在する言葉です。

また、インフォメーションとコミュニケーションのちがいを知ることも大切です。

コミュニケーションとは、インフォメーション+心の動きがある言葉の伝達方法のことです。手紙を書くようにコピーを作っていくように、特定のひとりを想像し、言葉を丁寧に見つけていくことも意識したいです。

3つのステップで言葉(コピー)を見つける。

コピーライティングのプロセスは、次の3つから成り立っています。

コピーを書くときに意識してほしいプロセスについてお話しします

伊藤さんは、3つを次のように定義しています。

1)到達地点を設定する
2)文脈を発見する

そして、
3)定着する
です。

このうち、1と2が下準備で、ここに8割の労力と時間を費やします。

1)到達地点を設定する では、ひとりの人を想像し、その人にどのような気持ちになってもらうのかを設定します。ターゲットに、コミュニケーションを経て、どんな「気持ち」になってもらうのか?を決めていきます。

この大切なのが、生き生きとしたイメージを想定することです。社内文章を書くような堅い頭で想像してはいけません。

どうやって頭を切り替えればいいかというと、「企業や商品をひとりの人間だと考えて、どんな人柄だとチャーミングに思えるか?」から考えることです。

人やその人柄に例えるということですね。

2)文脈を発見する では、1のイメージをどう獲得するか?「What to say」を見つけに行くステップです。一人ひとりや世の中にとって、その企業や商品はどんな意味を持つのかを考えることでアプローチしていきます。

例えば、環境を訴えるアプローチとして、「かけがえのない地球」ではなく、「かけがえのない自分の子どもたちのために」のほうが、訴えかける質が変わります。

コピーを書く、7つの言葉のテクニック。

どうコピーを書くのかとは、別の言い方をするとどうコピーを発想するのかと同じです。コピーの手がかりを見つけていく、その発想のヒントをお話しします。

4 コピーライティングの技術

伊藤さんは、最後に定着の方法として、7つの言葉の技術を紹介してくれています。それぞれ以下のとおりです。

①異物との結合
・プール冷えてます(としまえん・1986年)
・メカニズムはロマンスだ。(キヤノンA-1・1978年)
・人生は、よくかんで。(日本生命・1990年)

②元素分解してみる
・美と力。(ホンダオデッセイ・2013年)
・セダン愛。(ホンダアコード・2013年)

③誰かになって書いてみる
A)私はユーザーの一人である。しかも初めてこの商品を使ってみたユーザーである。
B)私はその商品の開発責任者である。情熱を込めてこの商品を作った。
C)私はその企業そのものである。
D)私は客観的な観察者である。
E)私はコピーライターである。個人的であり、とても冷静な存在である。
・ただ一度のものが、僕は好きだ。(キヤノンA-1・1978年)

④逆を言う
・おじいちゃんにも、セックスを。(宝島社・1998年)
・時代なんかパッと変わる。(サントリーリザーブ・1984年)
・ちっちゃな本がでかいこと言うじゃないか。(講談社文庫・1988年)
・億は弱いけど強い。(みずほフィナンシャルグループ・2018年)
・信じられないことは、信じることから生まれる。(三井住友銀行・2019年)

⑤目と耳を意識して書く
・ハエハエ カカカ、キンチョール(大日本除虫菊・1981年)
・カリッとサクッとおいしいスコーン(湖池屋スコーン・1988年)
・でっかいどお。北海道(全日本空輸・1977年)

⑥事実をエモーショナルに
・服は、肌より先に抱きしめられる。(西武百貨店・2000年)
・父親の席は、花嫁から一番遠くにある。(キヤノンPowerShot S11S・2004年)
・四十才は二度目のハタチ。(伊勢丹・1992年)

⑦永遠の定理を発見する
・一瞬も 一生も 美しく(資生堂・2006年)
・愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。(JR九州・1992年)
・このろくでもない、すばらしき世界(サントリーBOSS・2007年)

まとめ

  • 人は、あなたの言葉を聞いていないと、考える。――情報を伝えるインフォメーション、伝えてさらに心を動かすコミュニケーション、それぞれを意識して、自分と相手の間をつなぐ言葉を見つけましょう。
  • 3つのステップで言葉(コピー)を見つける。――到達イメージの設定→文脈・意味を発見する→定着する(言葉を見つける)というステップで進めていきます。
  • コピーを書く、7つの言葉のテクニック。――7つのテクニックも大切だけれど、その前の到達イメージの設定とWhat to sayをきちんと考えましょう。

理路整然とコピーの書き方が書かれている書籍だと思いました。そういった意味で、かなり実践的な良書であると思います。

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