- 新しいビジネスの切り口を見つけたいと思いませんか。
- 実は、未来に実現可能な技術を今のうちからつかむことで、新しいビジネスチャンスをつかめるかもしれません。
- なぜなら、これまでの技術進化の中で、今後、高い可能性で実現可能な技術の目星はすでについているのです。
- 本書では、日経BPの技術記者200名と、総合研究所の職員50名により、2022年に注目するべき未来技術を100種類紹介されています。
- 本書を読み終えると、これから実現する未来技術を活用して、市場や生活がどのように変わり、そのことで、どんなビジネスチャンスが訪れるのか?を具体的に想像することができます。
2030に期待できる技術
ニーズ側について、ビジネスパーソンへ100件の技術を見せ、「2030年において期待度が高いと思う技術」を選んでもらうWebアンケートを実施し、1215人から有効回答を得た。
第1章 世界を変えるディープな技術
本書では、専門記者とシンクタンク所員が選出した未来の技術100に対して、ビジネスパーソンに期待度でアンケートを取っているところがユニークなところです。
その結果を上位から並べると下記のようになります。
1.水素の大量輸送
2.Co2フリー水素
3.e-Fuel(代替燃料)
4.CCS/CCUS(カーボンリサイクル)」
5.量子コンピュータークラウド
6.AI医療
7.量子インターネット
8.水素エンジン
9.国産医療ロボット
10.人工光合成
循環型社会(カーボンニュートラル/脱プラ)を意識した項目が上位に並びます。
また、量子インターネットや量子コンピューターなど、大容量のデータ解析、通信を支える基礎技術も注目を浴びているようです。
2050年までに完全な循環型社会を目指すという国の基本方針を受けた形の結果と見ても良いでしょう。
このうち特に得票が多かった3つの技術を眺めてみます。
|012|水素の大量輸送
生産地でトルエンと反応させタンカーで輸送、需要地で戻す
|012|水素の大量輸送
菅首相が2020年10月に「2050年にカーボン・ニュートラル」と宣言したことを受けて、12月に経済産業省が発表したグリーン成長戦略に置いては、2030年の水素調達量が年間に最大300万トンと10倍に膨れ上がりました。
こうした政府方針を受けて、水素市場が熱を帯びています。
ENEOSは、2021年8月水素を大量輸送する技術の実証実験を開始すると公表しました。
ここで使用されるのが、MCHという技術です。MCHは、有機ハイドライド・メチルシクロヘキサンの略で、生産地でトルエンと反応させることで、水素を常温・常圧下において、液体保存することが可能だそうです。
MCHの調達について、次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD=千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船の共同設立)とENEOS社が売買契約を既に締結をしています。
また、化石燃料由来の水素ではなく、再生可能エネルギー由来の水素、いわゆる「グリーン水素」にいかに置き換えていけるかも争点の1つとなるでしょう。
|003|CO2フリー水素
太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくった水素
|003|CO2フリー水素
欧州などでは、再生可能エネルギー由来の水素を「グリーン水素」、化石燃料などの非再生可能エネルギー由来のものを「ブルー水素」と区別するそうです。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーで、水素を生成する技術が日本でもさかんに研究されています。
地域新電力の北九州パワーと北九州市は2030年11月から、福岡市、IHI、福岡酸素、ENEOSと共同で、地域の再生可能エネルギー電力を用いて水素を製造・供給する実証事業をはじめています。
|001|e-Fuel(代替燃料)
余剰電力でつくった水素と濃縮回収した二酸化炭素を合成
|001|e-Fuel(代替燃料)
e-Fuelは、水素と二酸化炭素を触媒反応で、合成しガソリンのように利用可能な液化燃料です。
既存の内燃機関でも利用が可能の場合が多いそうで、化石燃料の代替燃料としての可能性を模索されています。
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダは、それぞれe-Fuelの研究開発に本腰を入れ、効率的な合成法や、使用法、事業モデルなどを検討開始していきます。
まとめ
- 2030に期待できる技術――循環型社会を目指すための技術や量子コンピューターに関する技術への期待度が高い傾向にあります。
- |012|水素の大量輸送――生産地でトルエンと反応させタンカーで輸送、需要地で戻す技術です。
- |003|CO2フリー水素――太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくった水素です。
- |001|e-Fuel(代替燃料)――余剰電力でつくった水素と濃縮回収した二酸化炭素を合成する技術です。
期待度で言うと、だいぶカーボンニュートラルに関連した技術が上位を占めているなという印象を持ちました。政府主導で行うカーボンニュートラルかつ、既存の内燃機関を活用できる水素に着目した技術が特に、1~3位となっています。水素 vs 電池の派遣争いが一定続くものと見られます。どちらがデファクトスタンダードを取れるのでしょう。