大人こそ、「知的生活」で、創造的になれる!?『20歳の自分に伝えたい 知的生活のすゝめ』齋藤孝

20歳の自分に伝えたい 知的生活のすゝめ
  • よりよく生きるためには、どのような論点を大切にするのが良いでしょうか。
  • 実は、「知的生活」が良いかも。
  • なぜなら、それは、創造的で情熱的な人生をもたらすから。
  • 本書は、齋藤孝さんによる、インプットとアウトプットをより良質にするための「知的生活」のあり方を説く1冊です。
  • 本書を通じて、よりよく生きるためのヒントを得ることができます。

知的生活とは!?

著者の齋藤孝(さいとう・たかし)さんは、1960年生まれ。教育学者であり、明治大学文学部教授として長年にわたり教壇に立つ一方で、『声に出して読みたい日本語』をはじめとする数々のベストセラーを世に送り出してきた人物です。

教育、読書、身体、コミュニケーションといった多様な領域にまたがりながら、「学ぶこと」「生きること」を一貫してテーマにしているのが齋藤さんの特徴です。

その根底にあるのは、どこまでも“現場主義”な知性。つまり、理論や抽象概念を語るだけでなく、日々の生活のなかでどのように実践し、身につけるかということを非常に重視しているのです。

特に本書『20歳の自分に伝えたい 知的生活のすゝめ』では、大学生や社会人初期の若者たちに向けて、自らの経験をふまえながら、知的生活の“入口”としての習慣や意識づけが語られています。

知的に生きるとは、どういうことなのでしょうか?

読書をしたり、人の話を聞いたり、知識を増やすことが知的な営みだと思われがちですが、それだけでは片手落ちかもしれません。

本当に「知的な生活」とは、インプットとアウトプットの“循環”によって成り立つものではないでしょうか。

現代は、膨大な情報に日々さらされる時代です。

ネットを開けばすぐに知識に触れられ、動画やSNSでも無数の教養コンテンツが流れてきます。けれども、ただ「見た」「読んだ」「知った」だけでは、人生は変わりません。

齋藤さんが本書で強調するのは、

「インプットばかりでアウトプットをしない人は、知的とはいえない」

という厳しさです。

得た情報を“作品”にまで高める必要はないけれど、自分なりに言葉にして返していく、表現として外に出す──そうした姿勢こそが、創造的で情熱的な人生につながっていくというのです。

印象的だったのは、「知的生活とは、情熱のある生き方だ」と明言されていた点です。

「知性」と聞くと、冷静で理性的なイメージを抱きがちですが、著者はむしろ逆のことを言います。インプットによって自分のなかに“火種”を仕込み、それをアウトプットによって次の何かにつなげていく。この行為が、人生にワクワク感と創造性をもたらしてくれるのです。

そして大切なのは、アウトプットの定義を狭めないこと。「作品」でなくてもいい。「語り」でも「日記」でも「人との対話」でもいいのです。

本書を通じて、知的生活とは、決して学者的な営みや難解な思索のことではなく、自分の中にある好奇心を燃料に、インプットとアウトプットの往復運動を続けることだと実感させられました。

「知的生活」とは、感性に素直な生き方である――。

齋藤さんは、「知的生活」という言葉から「堅苦しさ」や「義務的な学び」を連想する人も多いだろうとしながら、むしろその真逆であると語ります。

キーワードは「情熱」。つまり、知的生活とは、自分の衝動や感動、好奇心といった内なる火種に、素直に反応し続ける態度なのです。

誰かの言葉にハッとしたり、本の一節に心を奪われたり、思わずメモをとりたくなったり──そうした“ときめき”こそが、知的営みのはじまりであると、齋藤さんは繰り返し強調しています。

それは、冷静沈着で論理的な知性ではなく、むしろ「燃えるような知性」。「この世界をもっと面白く知りたい」「自分の感覚を確かめたい」といった願いに根ざした知性です。

本書では、こうした“知性とワクワクの蜜月関係”に気づき、それを育てていくことこそが、現代を生きる私たちに必要な態度だと語られます。

そして、それは誰もが今日から始められることでもあります。

  • 昨日気になった言葉を、今日ノートに書き出してみる
  • 気になった話題について、自分の言葉で話してみる
  • 本や人との対話を通じて、「自分の好奇心の形」に気づいていく

そうした小さな実践の連なりが、やがて知的生活という「軸」を育てていくのです。

知的好奇心に素直になれ!?

なぜ、人は「知ること」に魅了されるのでしょうか?

本書のなかで、印象的に語られるのが“ニュートンの林檎”のエピソードです。

「なぜ落ちるのか?」という問いに驚き、考え、世界の仕組みに迫ろうとした姿勢──そこには、知的生活の原点とも言える「驚きの感受性」があります。

齋藤さんは、「知性を持つことの最大の恩恵のひとつは、日々の生活の中で“驚く”ことができること」だと言います。

これはとても深い言葉です。

古代ギリシャの哲学者ソクラテスも、知の出発点は「驚き(タウマゼイン)」だと語りました。

驚くこと、つまり「既知のもの」と「未知のもの」の“あいだ”に立ち、そこに問いを持つことが、知的生活の始まりなのです。

「知る」とは、何かを理解して終わることではありません。

むしろ、すでに持っている知識と、これから出会う未知の何かを「つなげる」こと。

そこに生まれる発見と興奮が、学ぶことの本当の喜びであり、それが人生を幸福にする感覚に直結しているのです。

つまり、
知性とは「驚く感性」であり、「つなげる力」であり、「好奇心に従う勇気」なのです。

知的好奇心は、むしろ“大人”の特権である

本書で齋藤さんは、世間的な「子ども=好奇心のかたまり」という見方に、あえて一石を投じます。

「純粋な子ども」よりも「知的な大人」のほうが好奇心は強い。
「子どもは好奇心の塊である」と言われますが、私は必ずしもそうは思いません。

子どもはたしかに感受性が豊かで、知らないことに反応はします。ただし、それは“まだ何も知らない”という意味での驚きであり、意図的な問いや深掘りとは少し違う。

大人になればなるほど、すでに知っていること、過去に得た経験、体系化された知識といった「地図」を持つようになります。その地図があるからこそ、未知の世界との“ズレ”や“境界”に気づき、「もっと知りたい」「なぜそうなる?」という意識が生まれます。

無垢ならアイディアが湧くわけではありません。
知識がなければ、創造性も出てこないのです。

この言葉には、大人としての知的生活への強い励ましが込められています。

私たちが社会経験を積み重ねる中で感じた違和感や不満、直感的な問い──それこそが、知的好奇心の源泉です。むしろ大人だからこそ、「ただの知識」にとどまらない“問いの力”を持てるのではないでしょうか。

そして、その問いを捨てずに育てていくことこそが、創造性につながる

齋藤さんは、子ども時代の好奇心を賛美しすぎる風潮に対して、「知的に成熟した大人の問いこそが創造の母体である」という主張を、一貫して本書で語り続けています。

センスとは、「身体化された知性」である

本書のなかで明確に言及されているわけではありませんが、齋藤さんの語る「知的生活」は、決して頭のなかだけの営みにとどまりません。

読み、書き、話し、動く。
つまり、五感を通じて世界と関わり、感応する身体性こそが、知的生活を“生きたもの”にするのです。

「センスがいい人」というと、生まれつきの才能や美的感覚を想像しがちですが、それは違う。センスとは、日々どれだけ感動し、動かされ、他者と出会い、驚きを蓄えてきたかという経験の集積なのです。

そしてこのプロセスは、AIには代替できない、人間固有の営みです。

AIが高速で情報を処理し、答えを提示してくれる時代。そんな今だからこそ、「なぜそれに心が動いたのか?」「それを自分はどう意味づけるか?」という、人間ならではの問いがますます大切になります。

知的生活とは、ただ知識を増やすことではありません。
自らの“感性”を駆動し、“足を運び”、“人と出会い”、その出会いによって世界を更新していく運動でもあります。

書斎の中にとどまるだけでは、世界は広がりません。

本を片手に、街を歩き、人に会い、語り、考え、また書く──。
そうした移動と対話のなかで、私たちの「知的生活」は、より創造的で、情熱的なものへと熟していくのです。

知性は何をもたらすのか!?

本書を読み終えて感じたのは、知的生活とは決して一部の教養人だけのものではなく、誰もが手にできる「人格の土壌」であるということです。

読んだ本の言葉に勇気づけられたり、語り合った対話のなかで価値観が揺さぶられたり、何気ない日常のなかにふと新しい視点が差し込んだり──それらはすべて、人格を少しずつ育んでいく知的な営みです。

そして、その営みには終わりがありません。

たとえ歳を重ねても、立場が変わっても、知的好奇心を持ち続け、問いを手放さない限り、人はいつでも成長できるのだという希望が、本書には込められています。

齋藤さんが「20歳の自分に伝えたい」として語る言葉の数々は、まさに“いまの私たち”にも向けられた言葉です。

AIが日々進化し、情報の正確さや効率性では人間が敵わない時代になっても、自らの内なる感性に火をつけ、身体を動かし、言葉を発し、誰かと心を通わせるという営みは、人間にしかできない尊い創造です。

そして何より──

想像力が、知性の翼になる

この言葉に込められているのは、知的生活とは、“自由に飛ぶための羽”を私たちに与えるものである、という信念ではないでしょうか。

本書を手に取った人が、自らの内なる問いを育て、世界と新しい関係を築いていけることを、心から願っています。

「知的生活」のためには、読書というインプット&著者と自分自身との対話が欠かせません。齋藤孝さんのこちらの1冊「読書は、人格を磨く!?『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤孝」もぜひあわせてご覧ください。

ハマトンのち的生活のすすめは、こちらの投稿「【健康こそ資産!?】ハマトンの知的生活のすすめ|フィリップ・ギルバート・ハマトン」からどうぞ!

まとめ

  • 知的生活とは!?――自らの感性と衝動に素直な生き方をするということです。
  • 知的好奇心に素直になれ!?――知的好奇心によって、人は多くの発明をしてきたし、文化を形成してきました。ひとりひとりにそうした底力が内在しているのです。
  • 知性は何をもたらすのか!?――それは絶え間ない知的好奇心への刺激と行動です。そのことが、さらなる人格形成と行動を誘発していくというスパイラルを描きます。
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