【健康こそ資産!?】ハマトンの知的生活のすすめ|フィリップ・ギルバート・ハマトン

ハマトンの知的生活のすすめ
  • どうしたらよりよく生きていくことができるでしょうか。
  • 実は、健康の心身を維持することかもしれません。
  • なぜなら、健康な心身からこそ、健全な思考が生まれるからです。
  • 本書は、19世紀イギリスを代表する思想家ハマトン『知的生活論』の編訳です。
  • 本書を通じて、人生に関する多くの見立てを得ることができます。
フィリップ・ギルバート・ハマトン,三輪裕範
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健康な心身と健全な思考?

19世紀イギリスの知的世界を代表する文筆家、フィリップ・ギルバート・ハマトン(1834-1894)は、画家としての経験も持つ稀有な存在でした。ランカーシャーに生まれた彼は、芸術への深い造詣と実践的な人生哲学を融合させた数々の著作を残しました。

特に『知的生活論』『知的人間関係』『幸福論』の三部作は、現代を生きる私たちにも新鮮な示唆を与え続けています。ハマトンは、知的生活を単なる学問的追求としてではなく、日常生活における実践的な智恵として捉えました。その視点は、当時の教養主義的な風潮の中で際立つものでした。

実は、明治期の日本でも高く評価され、多くの知識人に影響を与えたハマトンの著作は、旧制高校や大学の英語教科書としても広く採用されました。彼の説く「知的生活」とは、学問と実生活の調和を目指すものであり、現代の私たちが直面する「仕事と教養」「専門性と幅広い知識」といった課題にも、示唆に富む考え方を提供してくれます。

芸術評論家としても高い評価を受けたハマトンの視点は、常に実践的で具体的でありながら、深い洞察に満ちています。現代の自己啓発書とは一線を画す、その知的な深みは、時代を超えて私たちの心に響きかけてきます。

今回の1冊は、上述の『知的生活論』の編訳版です。

まず、ハマトンの論点をサマリーしていきましょう。

彼が強調するのは、心身の健康です。

ハマトンは、「疲れきった頭脳は、自ら進んで厳しい仕事をもとめ、さらに疲労を増そうとはけっしてしません」とし、そのようなときには「自然の本能が要求するものを容れてやり、たとえわずかの間でも、疲れるような仕事のことなど忘れるように生活を調整すること」を勧めています。

健康の問題を指摘しているのです。よい心とよい身体がない限り、健全な思考は難しいからです。身体が資本といいますが、ハマトンもそれを強調します。

その上で、示唆深い言葉を残しています。

例えば、自分の研究の前途に能力的、時間的な限界が見えたときには、潔くそれを認め、その研究を諦めるように語ります。

この背景にあるのは、何事にも精通するのは人生を賭けるくらいの膨大な時間が必要であるという見立ててです。それだけ、極めるということには、時間が必要だし、生半可な気持ちで挑戦できるものでもないと語ります。

時間を浪費しないためにも、戦略が必要なのかもしれません。事前にそうしたことを考えてみることが、人生の時間を無駄遣い(浪費)しないで済むのであるとします。

だからこそ、あらゆることをまずトライしてみるということはとても大切なのかもしれません。

やってみないことには、わからないことがたくさんあります。気になることがあれば、やってみて、その上で、見極めていけばいいというのも真理なのです。

また、ハマトンは、知的であることに極めて情熱を燃やします。この知性は、知識ではなく、「徳」であるとします。ものごとの真実に触れて、そして生き生きと美しく考えることができる人間を目指すことが知的生活であると語ります。

気高い思考を?

何の苦労もない生活ということは、まずありえません。人が生きている以上、身体をそのようにとどめておく必要があるので、何らかの努力は必要です。そうして、エネルギーを与えていないと、エントロピーが増大して、身体がバラバラになっていきます。

これは自然の摂理です。

だから、生きるということは、一定程度、エネルギーが常に必要であると考えてよいです。

何の苦労もないところに、知的な生活は得られないでしょう。一定のエネルギーを常にかけて、あらゆることから学びを得ることが知的な生活であるとしたとき、わたしたちには、まだできることはたくさんあるように思います。

気高い思考を求めよ

知的生活が求めるのは、頭が良くなるとか、表現がうまくなるとか、そういう表層的なことではないのです。

低俗な思考に陥らないように、思考態度、心的態度を心がけていること、それを知的生活と呼ぶことになります。

ものごとに貫かれれる真実、つまり真理を求めてやまない態度として、知的生活は表現されるかもしれません。これは頭をつかうということとも一線を画します。

また、単に知識を得るということとも違うことを意識することができるでしょう。

労をおしまずに眼の前のものごとに深く関わってみるのが大切かもしれません。いやだなぁと思ってしまうこと、面倒だなぁと思ってしまうことに、案外ヒントがあるかもしれません。

そして、その渦中に飛び込んでみると、意義・意味を見出しやすくなり、その結果、ムリ・ムダ・ムラのない突破口へ行き着くことだってあるように思います。

大切なのは、中途半端にやらないで、一度やりきってみること。

そのやりきって見た立場でものごとを語ることです。

努力というのは、地道に続けるに越したことはありません。これは習慣の問題です。本を読むにしても、ものごとから深く学ぶについても、あるいは、仕事にちょうせんしていくためにも、それは1日1日において真剣な時間をどれだけ作り出せるか?という課題点です。

みんなが努力をしている環境では、こうした習慣がものをいいます。人との関係性のなかで、よりよい連携を得るためには、自分が何を提供できるのか、それに対して自覚的になり、成長させていくことがキーになります。

自分資本を増大させていくということかもしれません。そのことによって、人とともに働くことが可能になります。

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好き嫌いを重視してみよう?

知的な生活、そして、知的な仕事は、心から楽しめるものになります。

なぜなら、ものごとの真理に向かう活動だからです。

これはある意味、インサイトへ向かう行為と似ているのかもしれません。インサイトとは、広告・マーケティング用語ですが、その人の深い未自覚な心の声であり、それを知ることで思わず自分の行動が変わってしまうようなことを指します。

知性の旅程は無限に長いということをまず認識しなければならない。一歩一歩前進することが知的生活における最大の秘訣である。

焦って仕事をしても意味がありません。長い旅路を意識して、ビジョナリーにものごとを見通して、じっくりと眼の前のものごとに丁寧に対応してみましょう。

また、人生のなかでは、時に厳しい局面をいかに味わうか、そして、それを切り抜けるだけのトライをどれだけで来ているか、も重要になるでしょう。

厳しい訓練を積んでこそ、望みはかなう

これは、人生や、社会、世の中というのは、一筋縄ではいかないということとリンクするでしょう。自分のスキルセットや心構えをアップデートしていくためには、難しい局面において、逃げずに自分が持ち合わせているものをすべて使って、頑張ってみるという行為が、大切なのです。

ものごとに向き合っていくとき、案外、自分の「好き嫌い」をないがしろにしないほうが良いかもしれません。自分が時間を投ずることができるものごとを選択する必要があるからです。自分との相性が大切ということです。

もちろん好きじゃないから、嫌いだから、といって、ずっと逃げていては行けないのですが、好きなことを積極的に選択することは、長い目でみて、とても良い効果があるように思えます。なぜなら、そのものごとを続けるという習慣を得られるのですから。

生き方については、こちらの1冊「【気高く生きよ!】自分のための人生を生きているか~「勝ち負け」で考えない心理学|加藤諦三」もぜひご覧ください。

また次回も本書『ハマトンの知的生活のすすめ』のレビューを続けてみたいと思います。

まとめ

  • 健康な心身と健全な思考?――これらは密接に関わっています。
  • 気高い思考を?――スキルセットではなく、マインドセットも含めてものごとを捉えましょう。
  • 好き嫌いを重視してみよう?――案外、ものごとを極めていく知的生活のためには、自分との相性というのがとても大切です。
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