- 子育てとは、なんでしょうか。
- 実は、子どもだけではなく、自分自身と向き合うことなのかも知れません。
- なぜなら、子どもは全力でぶつかってくるから。
- 本書は、ひとり出版社を立ち上げられた島田潤一郎さんによる子育ての経験をまとめた1冊です。
- 本書を通じて、子どもと向き合うことについて、思考を巡らせる機会をいただくことができます。
子育てとは!?
前回の投稿「【本は、著者との「時間」の共有である!?】電車のなかで本を読む|島田潤一郎」に続き、今回も島田潤一郎さんの1冊を取り上げさせていただきたいと思います。
本書は、島田潤一郎さんの子育てに関するエッセンスのつまった1冊です。島田潤一郎さんは、夏葉社というひとり出版社を立ち上げた方です。小説家を志されていたこともあり、実際に豊かな筆致で、ご自身の気持ちを素直に表現してくださっています。
子どもを持つということは、自分を知ることでもあります。
実際に、ぼくは自分のことをもっと大人だと思っていた。
小さな舌
大人という自覚のある人は、大変なことがあっても、慎重に理性的な行動や判断ができると思っていることでしょう。しかし、子育てにおいては、その自信が瓦解します(笑)。子どもは大人の都合など、お構いなしに、自分のやりたいこと、自分の不満を、直接ぶつけてきます。そしてそれは、とてもエネルギーがあります。なぜ、あんなにも小さな身体で、そんなにエネルギーがあるのか・・・?と毎日疑問に思ってしまうのですが、不思議でなりません。
それは、まるで生きる意志というか、そういうこの世に生まれた根源的なエネルギーの発散を目の前で見ているかのようです。
大人になるにつれて、忘れてしまっていた、そういう生きる力を目の前に、なすすべもなく、戸惑うばかりの日々が、結構続きます。
会社の人や友人で子育てが一段落をした人に、当時のことを聞こうと思いますが、なぜか、皆「記憶がない」という風情で、ネガティブなマインドを置いてきていることにも気づきます。
親たちが「子育ては大変だけど、素晴らしいものだ」といって、その大変さを端折るのは、その大変さの部分を伝えたくないのではなく、そのほとんどを忘れてしまっているからなのだ。
噂はほんとだったんだね
日々成長!?
子どもは、毎日、全身全霊をかけて、成長していきます。
昨日の赤ん坊と今日の赤ん坊は違う。
噂はほんとだったんだね
そのことに気づいたのはいつごろだろう。
一つずつできることが増えていく喜びは、親だけではなく、本人も手応えとして感じているようで、毎朝起き抜けには、「今日も1日楽しむぞ!」と言わんばかりに、大爆笑をしていたりします(これは、我が家でのできごと)。
島田潤一郎さんは、子育てを通じて、自分自身が昔は、子どものように何もできなかったことを思い出していきます。いまはひとりで出版社を営んで、社長業をしているのですが、40年も前は、一人で寝返りも打てなかったし、トイレも当然面倒を見てもらっていたし、お腹が空いたとなけば、母が「七倍がゆ」をつくって、ふーふーと冷ましてから、おさじで口に運んでくれました。
今目の前の子どもが、おぼつかないように、誰もが、そうした何もできないところから、大きくなってきた軌跡に触れるたび、感慨に浸ることもあります。
子どもへの願い!?
子どもとの関わりというのは、どうあるべきなのでしょうか。実は親としてできることはそんなに多くはないのかも知れません。
息子を取り出してくれた産婦人科の医師は、ぼくにはっきりと、「親は身体を張って子どもを守ることしかできません」といった。その言葉はきっと、ほんとうのことなのだと思う。
親の願い
子どものやりたいことを、見出したり、子どもの進路を決めたり、あるいは、子どもの将来を作っていくことは、子ども自身でしかできません。むしろをそれに介入できるかも知れない、と思ってしまうこと自体が、子育てを変な方向へと導いてしまったりするのですが、では、結局のところ親にできることはなにか・・・というと、身体を張って子どもを守ることくらいなのかも知れません。
彼や彼女がこの世界で生きていくために、その手応えを感じながら、大きくなっていくために、できることは身体を張ること・・そのためには、自分自身が健康にしっかり働いて、楽しんで人生を送っている事実を、もっとも身近な大人として、共有してみることだってできることかも知れません。
ぼくはなんというか、息子に、たくさん、「生まれてきてよかったね」といいたいのだ。
おもちゃを買う
今日も、明日も、いいことあるね、と伝えたいのだ。
ずっとずっと、いいことがある。
大人になってからも、変わらずそんなふうに思ってくれたら、こんなにうれしいことはない。
まとめ
- 子育てとは!?――想像以上に、自分自身と向き合うことでもあります。
- 日々成長!?――人は生涯成長することを教えてくれる気がします。
- 子どもへの願い!?――子どもが、楽しく生き抜くことこれに尽きるのかも知れません。