【経営とは、実践である!?】新しい経営の教科書|岩田松雄

新しい経営の教科書
  • どうしたら経営について、深く学ぶことができるでしょうか!?
  • 実は、実践がもっとも重要かもしれません。
  • なぜなら、経営は常に動いているからです。
  • 本書は、多くの企業の社長としてブランドを輝かせてきた岩田松雄さんによる経営書です。
  • 本書を通じて、日々の経営実践とはどんな視点が重要かについて触れることができます。

企業を改めて考える!?

企業を考える時、もっとも重要なのは、その企業の存在理由です。なぜ、その企業は存在するのか。ということです。なかなか真剣に向き合わないと、創業期でもない限り、見つめられてないことではないでしょうか。でも、これがとても大切です。

なぜなら、存在意義があるからこそ、企業は社会の関係性の中で、自らを育み、人を集め、事業を成り立たせることができるからです。

企業にとってまず、大切なのは「何を」するかより、「なぜ」するのか?という問いです。

「本質に一致、行動において自由、すべてにおいて信頼」

旧カトリック教会スローガン

旧カトリック教会には次のようなスローガンがあったといいます。これを岩田松雄さんは取り上げてくださっています。ミッションという言葉は、キリスト教から生まれました。

ミッションを皆で共有し、その大前提に従って、自由に行動をします。そしてその大前提は、従業員相互の信頼関係を基礎にしている言葉です。

ミッションは、もともとラテン語で「送る」などを意味する「mittere」に由来します。 キリスト教の礼拝で用いられたことから「伝道」を表すようになり、「使命」や「任務」の意味合いを含むようになりました。 ビジネスシーンで用いられる場合には、「なぜそのビジネスを行っているのか」という、企業の存在意義を示します。

最近では、パーパスという言葉で語られることが多くなってきた、企業のミッション、存在意義ですが、今一度、真剣に向き合いながら、検討してみることが大切です。社会は常に動いていて、そして企業で働く人も入れ替わっていきます。変化をすれば再定義だって必要です。

「なぜ?」というシンプルな問いを中心に自社の存在意義を考えてみましょう。

改めて言葉の定義を明らかにしておくことも大切です。そんな時には、こちらの1冊「【MVV理解の解像度上げられる!?】理念経営2.0 ── 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ|佐宗邦威」がおすすめです。

かのドラッカーは、「最小利益(Minimum profit)」という考え方を示しています。「顧客に適正な価格で販売し、従業員に適正な給料を支払、取引先には適正な対価を支払、そして株主にも適正な配当をする。その結果、残ったものが、最小利益」とのこと。自社の存在意義を考える時、そもそもの会社の社会的な役割を考えてみたいものです。

経営者は、常に最小利益を意識してバランスを取るべきなのです。

ルールはいらない!?

ミッションさえ共有していれば、一定の行動指針の元、細かなルールは不要になります。事実スターバックスでは、「人々の心を豊かで活力あるものにするため」というミッションのもと、細かなマニュアルを規定していません。

あるのは、「JUST SAY YES」という行動指針のみ。これは、道徳、法律、倫理に反しない限り、お客さまが喜んでくださることは、何でもして差し上げることという意味です。

従業員が自ら考える余白を残しておくこと、ただし、考えるガイドラインとしてのミッションと行動指針(バリューに含まれる場合もあります)を用意しておくことが重要です。これらがなければ、協働が難しくなるからです。

さらに、重要なのが、ビジョンです。自らがステークホルダーと共に見たい絵姿ということになるかもしれません。自分たちが未来に向かってどのような世界を作っていくのかを言語化し、みんなが同じ方向に力を出せるように調整するのです。

経営にとって耳に痛い情報が届くようにすることが、とても重要です。

結局のところ、経営者に何より求められるのは、「人間力」です。

27 「悪い情報」を経営トップに上げやすい空気を作る

悪い情報を伝えてきたときに「よくぞ伝えてくれた」と言えるかどうか、「悪い情報」こそ、早くトップにあげてもらわなければならないのです。これを放置していくとたいへんなことになります。

最近、また、企業の不祥事が取り沙汰されることが増えてきたようにも感じます。自分たちの意義意味と照らしながら、ボトムアップで言動できる会社を作っていくことが必要なのだと思います。

経営者はいかに評価されるべきか!?

経営は、1日にしてならすです。ある程度の時間がかかるものです。なぜなら、それは人が動く仕組みを作っていくことだからです。人が変わるのには時間がかかります。だから、人が構成する組織が変わっていくのもとても時間がかかるのです。

岩田松雄さんは、最低でも半年は、成果が出るまで辛抱しないといけないと言います。一方で、新任社長はクイックウィン(いち早く成果を出して、従業員に「この社長となら大丈夫!」という確証を得てもらう)を求めたいのも事実でしょう。スジのいい、路線を見出しながら長短のバランスを見極めることも経営ということです。

また、利益について、短期的に利益を出すことは難しいことでないことも事実です。人件費、研究開発費、採用や研修などの投資コストをカットして、資産を売却し、人をリストラして、儲かっている事業を売却などすれば、短期的にはキャッシュは黒になります。会社が倒産しそうな末期症状においては、必要な手立てもありますが、永続性を目指す企業にとっては、カンフル剤にしかならず、中長期的な体質づくりにはまったく逆効果です。

強烈なリーダーシップ(ボス)の元で、動く企業も短期的な成果の積み重ねを繰り返しているとも、捉えられるかもしれません。考える従業員ではなく、従う従業員がよく教育され、ボスの言う事に右ならえ状態なので、ボス交代で組織が機能しなくなることだってあるでしょう。

本当に大切なことを取り組むためには、時間がかかるのです。だから、本来社長や経営の評価をするのは、時間的猶予が必要になります。

人の心をいかに動かし、中長期的な成長基盤を構築するか、これが大切です。人の心を理解する、そんな経営がこれからの時代においても普遍的に求められていくのでしょう。

企業価値やキャッシュフローでは、人の心は動かせない

01 企業は、事業を通じて世の中を良くするためにある

まとめ

  • 企業を改めて考える!?――企業とは事業を通じて世の中を良くし続ける存在です。
  • ルールはいらない!?――ミッションと行動指針により、考える従業員を育てましょう。
  • 経営者はいかに評価されるべきか!?――人に関わることは、短期的には本質的成果が見えません。
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