【パラドックス・マインドセットとは!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス

両立思考
  • どうしたら、択一思考ではなく、両立思考でものごとを複雑なまま取り扱うことができるでしょうか。
  • 実は、自分の思考のパターンに俯瞰的になる必要がありそうです。
  • なぜなら、両立できるかどうかは、考え方次第だからです。
  • 本書は、これからの時代にかかせない、両立思考に関する1冊です。
  • 本書を通じて、複雑なものごとの中で、新しい方向性を提示する力を養えます。

パラドックス・マインドセットとは!?

前回の投稿「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」に続き、今回もこちらの1冊「両立思考 「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するパラドキシカルリーダーシップ」をご紹介していきたいと思います。

両立思考を考えていくためには、A or BではなくA and Bのマインドセットを身につけることが大切です。こうした基本的な考え方・心構えを「パラドックス・マインドセット」と呼びます。

高いレベルのパラドックス・マインドセットを備えた人は、緊張関係を、自然で、価値があり、活力をくれるものと考える。

両立の前提への転換

A and Bもありうることを心に留めることで、新たな問いを見出し、そこから新たなブレークスルーを生み出すことが可能になります。

リソースの問題とは!?

パラドックスの解像度を上げる時、その背景に、リソースが限られていることに起因している問題を見ることがあります。例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

ピザを2人で分けるシーンを想像して見てください。ピザは1枚で、8ピースに切られています。一人はさっきまで仕事をしていて、疲れているのでたくさん食べたいと思っているし、もう一人は、ピザが大好物なので、たくさん食べたいと思っています。通常互いに4ピースですが、今回の状況では互いにもう少し食べたいとおもっています。緊張状態が生まれているといっていい。

ピザのサイズを実際に変えないで、さらに大きな価値を引き出す方法はないだろうか。

リソースが潤沢だと解釈する

たとえば、ピザの具に着目してみて、好きなところを分け合うとか、互いの食生活のスタイル(ヴィーガンとか、脂質をなるべく避けるとか)を知った上で、ピースを分け合うとか、別の分け方を考えることで、新しい解決策を見出し、かつ互いにとってより良い状態を目指すことが可能にもなりうるのです。

1次元(ピザのピース数)と捉える考え方から、別の次元(ピザのどこが好きかなど)を考慮する考え方に移行する。

リソースが潤沢だと考える

時間の使い方について考えてみるのも同じ発想ができるでしょう。1日24時間です。リソースが限られているといいってもいいです。ただ、時間の価値はすべて同じではありません。例えば、午前9時に完了できる仕事の量と、午後9時に完了できる仕事の量は異なりますし、さらに、集中できる時間帯も異なるでしょう。取り組む順番にだって、時間の質をコントローするするファクターは隠されています。

時間の量だけではなく、使い方・質という観点を導入することによって、限られたリソースの中でもより価値を発揮する状態を目指すことも可能なのです。

著者のウェンディ・スミスさん、マリアンヌ・ルイスさんは、緊張状態を打破する方策として、次の1冊を事例に上げてくれています。

GIVE AND TAKEという一見対立構造で緊張関係を示すような状態について、よりよいGIVEを行い続けることによって、結果的に、互いにWINの状態を目指すことを説くアダム・グラントさんの「GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代」です。ぜひ、こちらの投稿「【正しく、“ギバー(Giver)”になるには!?】GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代|アダム・グラント,楠木建」もあわせてご覧ください。

一般的には、他の人に与えれば、自分のために必要な時間やエネルギーが奪われるとみなしますが、アダム・グラントさんは、この考え方に180°異なるアプローチをしました。彼は、人を助けようとする人は、結果的にさまざまな利益を得ることになると示したのです。

競合する要求に直面すると、不足によって緊張関係が生じます。リソースが不足しているという前提に立つと、要求同士がリソースを奪い合うように思えてしまうのです。これに対して、リソースが潤沢にあるという考え方をすれば、可能性が広がり、リソースが必ずしも行く手を阻むものではなく、新たなシナジーを実現する場合があるとも捉えられます。

大切なことは、手中の鳥にフォーカスしてみることです。これまでできたこと、積み上げた資産、人脈を使って、何ができるかを検討しましょう。手元にあるものごとを再評価することから、パラドックス・マインドセットとは養われます。

問題解決は、「コーピング」へ!?

パラドックスを乗りこなすには、問題解決への別のアプローチが求められる。

「コントロール」ではなく「コーピング」として

問題解決の前提を、「コントロール(管理)」から「コーピング(対処)」へとシフトすることも、パラドックス・マインドセットにつながります。パラドックスは、能動的で、かつ持続的です。対立する力が残っているので、完全な解決というか、解消はできないのです。

そこで完璧な管理を目標にするのではなく、対処に軸足を移すのです。不確かさを受け入れ、曖昧さを尊重し、自分の意思決定に立ち戻る必要性を認識しながら、その時点で先に進むための道を探すことです。

前提二分的なマインドセット  
(Either / Or)
パラドックス・マインドセット
(Both / And)
知識矛盾は両立しえない矛盾は両立しうる
真実はひとつ真実は複数
正しい答えはひとつ競合する答えが複数
Win-LoseWin-Win
リソース不足潤沢
ゼロサム・アプローチポジティブサム・アプローチ
競争的協力的
問題解決管理・コントロールコーピング
解決適応
不確かさとリスクの最小化不確かさとリスクの許容
パラドックス・マインドセットとは?まとめ

まとめ

  • パラドックス・マインドセットとは!?――A or BではなくA and Bのマインドセットです。
  • リソースの問題とは!?――手元のリソースでできることにアプローチしてみましょう。
  • 問題解決は、「コーピング」へ!?――矛盾は両立するというマインドセットの元、柔軟に対処しましょう。
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