【これからの100年企業の条件とは!?】絆徳経営のすゝめ ~100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか?~|清水康一朗

絆徳経営のすゝめ ~100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか?~
  • 企業や事業を永続させていくには、何が必要でしょうか。
  • 実は、いま改めて原点に還り「よいこと」を志向する会社の時代かもしれません。
  • なぜなら、永続というのは社会との絆が生まれて初めて実現するものであり、そのためには「よいこと」を続けられるかどうかがポイントだからです。
  • 本書は、日産や日立など名だたる企業の創業にも関わりながら私利私欲を満たすことがなかった実業家鮎川義介さんの思想にふれる1冊です。
  • 本書を通じて、定常社会における会社を興し、続ける、意義・意味について刺激を得られるでしょう。

これからの時代に必要な絆徳経営とはなにか!?

今求められるのは、「理念」と「経済合理性」を両立した経営です。売上や利益だけではなく、社会とのつながりを同時に達成できるかがポイントです。「きれいごと」こそが利益の厳選になるといっても過言ではありません。まず、利益は先立ちません。これについては、過去の投稿「【大和運輸中興の祖、小倉昌男のイズムとは!?】ヤマト正伝 小倉昌男が遺したもの|日経ビジネス」において、ヤマト運輸の中興の祖であり、伝説の経営者として現在でも注目され続ける小倉昌男さんも「サービスが先、利益は後」という言葉で、同様のことを語られていました。

現代を生きる生活者も企業が提供するベネフィットだけではなく、「世界観」を見ています。

世界観とは、単なるベネフィットを超えた、その商品や社会が生み出している理念ともいえますし、もっとカジュアルに表現すれば、醸し出す雰囲気といえるかもしれません。

お客さまはベネフィットではなく「世界観」で判断している

世界観に共感すれば、買い続け(関わり続け)、そうでなければ、離反していく。そんな、顧客と企業との関係が見えてきています。

この世界観にも深く関わる経営スタイルが、「絆徳経営」と著者である清水康一朗さんが定義するものです。

絆徳経営とは、近江商人の「三方よし」の精神を現代の会社経営に落とし込んだもので、ひと言でいえば「あいてによいことをするから、ずっといっしょにいられる」関係を目指すものです。

相手によいことをすれば、ずっと一緒にいられる

この「よいこと」というのがポイントです。

結果、利益に繋がる「よいこと」を会社経営全体(提供する価値や従業員・経営者の言動全部)で、表出し続けていくのです。

私たちが陥りがちな「7つの罠」とは!?

私たちは、絶えず、社会の「常識」にとらわれています。この「常識」の存在に気づき、意識的になれるかが、絆徳経営実践のポイントです。

  • 罠1)「(他者への)愛情」より「(自分の)心の傷」を選ぶ
  • 罠2)「感謝」より「不足」を選ぶ
  • 罠3)「幸福」より「正義」を選ぶ
  • 罠4)「信じる」より「疑い」を選ぶ
  • 罠5)「理解」より「批判」を選ぶ
  • 罠6)「与える」より「受け取る」を選ぶ
  • 罠7)「全体」より「部分」を選ぶ

罠を知り、罠の「対比」を意識することこそ、最良の罠対策

罠を知り、罠の「対比」を意識することこそ、最良の罠対策

知らず知らずに、優先してしまっていることに気付きましょう。そして、罠に触れないようにすることです。これが100年企業を目指す上で、有効な絆徳経営を目指す、基礎体力になります。

「良いこと」と「善いこと」

実は、絆徳経営の志向する「よいこと」には、2つあります。それは、「良いこと」「善いこと」です。

この二つの違いを理解することは、三方と絆を形成していくうえでは欠かせません。

場面に応じて「良いこと」と「善いこと」を使い分けなさい

<良いこと>
 ・相手を喜ばせること
 ・あなたと一緒にいるとよいことがあると感じてもらうこと
 ・価値を与えること(欲求を満たすこと)
 ・言葉、感情、体験の共有で相手を幸せな気分にすること

<善いこと>
 ・相手を成長させること
 ・あなたがいなくても大丈夫にすること
 ・模範を示しつつ、慈愛と厳しさをもった教育をすること
 ・自分が幸せになり、他人を幸せにする智慧を共有すること

同じ「よいこと」でも性格がこのように異なります。大切なのは、社会と強い絆を作っていくためには、「良いこと」だけでなく、「善いこと」も必要です。

そして、順番が大切です。相手がどんな立場の人であれ、人間関係ではまず「良いこと」から入るようにしましょう。「善いこと」にはそれ相応の厳しさも含まれるため、関係性を構築した上での、アクションがベターです。このように、良い→善い→良いの繰り返しが、会社と社会、あるいは、人と人の縁を紡ぎ続けていく秘訣になります。

本書は、人間としての判断基準に刺激をくれる良書だと思いました。絆と徳を志向する経営をしていくには、私たちが毎日の生活の中でどこか「常識化」していることを疑い、いかに生きるべきかを問い続けることが、実はとっても大切なんですね。本書で取り上げられている対比の言葉は、ことあるたびに、思い出したいものです。

まとめ

  • これからの時代に必要な絆徳経営とはなにか!?――「よいこと」を通じて、社会との永い絆を作る経営です。
  • 私たちが陥りがちな「7つの罠」とは!?――7つの罠があることを意識することが、罠に落ちない秘訣です。
  • 「良いこと」と「善いこと」――それぞれがあることを知り、良い→善い→良いで、関係を作りましょう。
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