【居心地を求める社会において・・】なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?|高井尚之

なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?
  • コメダ珈琲、行ったことがありますか?最近は、東京都内でもだいぶ店舗拡大をしているそうです。なんと、伸長率では、群を抜くとか、なぜ、こんなにも広がりを見せているのでしょうか。
  • 実は、そこに「居心地の良さの提供」という、単にモノによらない店舗思想があるのです。
  • なぜなら、競合環境も、現代社会の問題をとっても、私たちは案外、街の中で居心地を失っているようにも見立てられるのです。
  • 本書は、そんなコメダ珈琲の戦略や店舗展開の秘密を数多くの「なぜ?」で切り取った1冊です。
  • 本書を通じて、顧客視点の経営とはどんなものなのか、具体的な事例を知ることができます。

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コメダの最大の特徴は?

コメダの特徴は「カッコつけないところ」だ。

なぜ、「コメダ珈琲店」は人気なのか?

2016年現在の出店数は、1位スターバックスコーヒー、2位ドトールコーヒー、3位コメダ珈琲店です。スターバックは、米国のおしゃれな雰囲気を楽しめ、ドトールは、効率重視のクイックなサービスを提供しています。

ここに一線を画するのが、コメダ珈琲です。コメダ珈琲は、どこか昔ながらの喫茶店という風情をまとっていて、だれもがほっと落ち着けるそんな空間づくりをしています。

店舗の席配置も居心地の良さを追求したこじんまりとしながらも、他のお客様と目線がさり気なく遮られるスタイルですし、メニューも非常にシンプルで、注文しやすい馴染みのある名前がついています。また、お客様が席に座って、注文して、配膳されるフルサービスを貫いている点も、競合差別視点では重要な要素です。

具体的に、コメダのやっていることとは!?

創業者の加藤太郎さんは、コメダ珈琲が差別化のために設定した取り組みを次のように説明しています。

新しい店が次々に紹介されているのですが、数カ月後にそれを模した店がすぐ現れる。こんな追いかけっこをしていても仕方がないな、と思いました。そこで差別化のために「駐車場完備の大型店」「長時間営業」「コーヒーは均一の味」という基本方針を定めたのです。

特別インタビュー 創業者・加藤太郎氏が語る「コメダらしさ」とは

「長時間営業」をすることも、コメダ珈琲にとって非常にポイントだといいます。喫茶店はモーニング、ランチ、それ以降で客層やニーズが全く異なります。すべての時間に対応することで、効率的に運営する量を販売する時間と、ゆったりとした時間でくつろいでいただく時間の両方を兼ね備え、経営にしなやかさを持たせています。どちらかに偏ったのでは、効率性が重視されず、結果的に、顧客に価値提供をすることが難しくなってしまいます。

コメダ珈琲は、長い時間営業することで、さまざまな顔を1日の中で見せながら、顧客それぞれのニーズに的確に対応しながら、経営の効率化、冗長性の獲得をなしえているのです。

また、「コーヒーは均一の味」というのも、コメダ珈琲らしいエピソードがあります。開業当初、加藤太郎さんはハンドドリップで1杯ずつ淹れたてのコーヒーを提供する店としてコメダ珈琲を立ち上げたそうです。しかし、順調に客足が獲得される中、運営に限界が見えてきた・・そんな中、コーヒーを急冷すれば風味が落ちないことを知ったそうです。さらに、地元の厨房機器メーカーとの知り合いが幸運となり、取り組んだのが独自の抽出機械の開発だったそうです。

今では、コメダ珈琲は、すべてセントラルキッチンで、量を生産して個店に届ける仕組みを確立しているそうです。あくまで、コーヒーの味を均一に保ち、一定の価格ラインを超えないようにして、お客様をおまたせせずに、いつもの品質を提供できるようにしたこと、ここにコメダ珈琲らしいもうひとつのバランス感覚がありそうです。

まちなかだけではなく、少し離れた郊外に、クルマで行けるようにしたのも独自の出店思想に、もとづくものでしょう。

コメダが提供していることとは!?

こうした、コメダ珈琲の独自の戦略と戦術は、次に掲げられているような店舗ビジョンから生まれています。

くつろぐ、いちばんいいところ

コメダ珈琲ホールディングス経営理念・ビジョン

この店舗ビジョンに、コメダ珈琲が本当に提供しているものが表現できていると思います。

それは、「居心地」です。

もちろん、豊富な独自メニューやおいしいコーヒー、店舗設計やパーソナルな接客の素晴らしさもあると思うのですが、おそらくそれらが、この「居心地の良さ」として結実しているからこそ、人はリピートしてしまうのではないかなと、思います。

本書の著者でライターの高井尚之さんも、「また、行きたい店」と「一度行けば十分な店」は全く異なると言います。コメダ珈琲が高効率と高品質の絶妙なバランスをもって、「また、行きたい、居心地の良さ」をつくり出していることは、なんともいえない、芸術的な存在であるとも思えました。

単身者世帯の増加が、今後も社会問題として取り上げられるようになると言います。そんな、個別化の社会の中で、私たちはまちなかでホット一息つける「いつもの場所」を求めてしまうのかもしれないですね。そんな、個別化の社会に関しては、過去の投稿「【小舟化時代のこころのとらえかたとは!?】なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない|東畑開人」がおすすめです。

まとめ

  • コメダの最大の特徴は?――カッコつけない気軽さ、日常に溶け込み、何度でも行きたくなるお店づくりです。
  • 具体的に、コメダのやっていることとは!?――「駐車場完備の大型店」「長時間営業」「コーヒーは均一の味」という基本方針を貫き、価値提供をしています。
  • コメダが提供していることとは!?――モノもそうですが、肝心な提供価値は、「居心地の良さ」を提供しています

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