- 経営指標として、利益をどのように取り扱っていますか?
- 実は、売上-コスト=利益として求めている方法だと、今後のビジネスきついかもしれません。
- なぜなら、プロダクトで明確な差別化が困難であるため、売り切りモデルを管理する売上-コスト=利益の考え方では通用しない時代が訪れているためです。
- 本書では、経済学者である著者が、さまざまな利益の形を紹介しながら、GAFAを始めとする現代を担う企業がいかに利益創出を行っているかを具体的に紹介し、これからの時代の利益管理(創出)の方策を提示しています。
- 本書を読み終えると、これまでの考え方と180°異なる利益づくりの考え方にふれることができるでしょう。
日本の企業は利益に鈍感!?
日本企業は、顧客に価値を提案する「価値創造」以上に、価値創造で生み出された価値を企業が利益として収穫する「価値獲得」に問題をかかえていると思うからだ。
はじめに
著者によると、日本の企業、特に製造業に関しては、利益の捉え方が固定化していると言います。
利益は、売上から、コストを引いた、単純な「残余」でしかないと思われています。
これこそが最大の誤りで、利益をそんな受け身で捉えてはいけません。
いかに「利益を獲得するか」について真剣に考えなくてはならない時代になっているからです。
なぜならば、プロダクトのみで利益を生み出す従来の方法では、限界が見えてきているのです。
1980年代には、もっぱら先行する外国製品があったためその製品よりもローコストで、ハイパフォーマンスなプロダクトを作っていれば、自ずと利益が残余として生まれていましたが、近年は、プロダクトの革新はゆっくりです。
そのため、プロダクト単体に頼った経営では、長い収益化を望むことは難しい時代になってしまいました。
収益源を多様化する時代!?
デジタル時代の価値獲得では、産み出した価値創造をベースにしながらも、課金対象はプロダクトに限らず、ありとあらゆる形で自在に収益を生み、利益を極大化する策を講じる。
◆収益源を多様化する
では、プロダクトではなく、どんな利益創出が主流になっているのかというと、
サービスや付加プロダクトによる、売り切りではない利益づくりです。
たとえば、アップル社は、プロダクトだけではなく、アプリや音楽サブスクなど周辺サービスで収益をはかっていますし、アマゾンは、EC事業だけではなく、AWSというクラウドプラットフォームでの収益も高いです。さらに、テスラは自動車販売だけではなく、排出権取引でも利益創出を行っています。
このように世界を牽引するプレイヤーは、多用な利益創出のビジネスモデルを描き、成功しているのです。
課金ポイントを再検討せよ!
新たな収益源も、まだ見ぬ何かに対して、誰かが、どこかのタイミングで支払うものになる。課金という確度から見ることで、支払う側の気持ちや痛みを理解できるのだ。
◆なぜ、収益が生まれるのか
これまでの習慣を打破し、新しい利益を検討することをいまから始めたいものです。
そのために、参考になるのが「課金(Charge)」だと著者は言います。
これは、顧客側からみた、支払いタイミングのことです。
どんな人が、どんなタイミングでお金を払う可能性があるのかを、網羅的に探していくアクションが大切です。
例えば製造業であれば、「メインプロダクト」の販売の他に、「補完プロダクト」の販売も検討できるでしょうし、そのさらに外側には「補完サービス」の販売も模索できるはずです。
まとめ
- 日本の企業は利益に鈍感!?――売上-コスト=利益という残余的に利益をないがしろにしてはいけません!
- 収益源を多様化する時代!?――特に製造業では、プロダクト単体で利益をあげるモデルではなく、周辺サービスや補完プロダクトなども含めて利益を多様化する時代です。
- 課金ポイントを再検討せよ!――新しい利益創出の方向性を検討する時に、顧客目線で誰が、どんなタイミングで課金を行う可能性があるか、見極めることがヒントになります。
中小企業診断士の2次試験の勉強中に、講師の先生が「利益+コスト=収益」という式を黒板に書きました。これでコストを捉えると、一定のコストを欠けなくては、売上やひいては利益創出が困難であるという考え方になれるとの話でした。私たちがいかに「売上-コスト=利益」という先入観にとらわれているのかを実感させていただいたものです。