- ものごとに対してより良い向き合い方をしていくためには、何が重要でしょうか!?
- 実は、集中力こそが大切にしたいポイントかもしれません。
- なぜなら、集中力があれば、時間を効率的に使うだけでなく、自分の心の健康を養うことにもなるからです。
- 本書は、人気著者・樺沢紫苑さんが語る、集中力にまつわる多くの論点をファクトで見つめる1冊です。
- 本書を通じて、集中力の真実に触れ、自分自身の行動を振り返るきっかけを得られるでしょう。
集中力は、めぐる!?
樺沢紫苑(かばさわ・しおん)さんは、1965年北海道生まれの精神科医。札幌医科大学卒業後、米国留学を経て臨床と研究の両面でキャリアを積まれました。
精神科医として20年以上の経験を持ちながら、執筆や講演、YouTube・メルマガ・SNSといった情報発信を通じて、精神医学や脳科学をベースにした「人生をよりよくする実践的な知恵」を幅広く届けている人物です。
『アウトプット大全』『インプット大全』など数々のベストセラーを手がけ、特にビジネスパーソンに向けた「メンタル×行動科学」の応用に定評があります。
本書では、長年の診療経験と科学的知見を背景に、「集中力」と「ゾーン」の再現可能なメソッドを伝えようとしています。
ちなみに、樺沢紫苑さんのその他のご著書は私も多くのレビューを書かせていただいております。こちらの1冊「【楽しい!に素直に?】精神科医が教える 毎日を楽しめる人の考え方|樺沢紫苑」やこちら「【実は3:7がベスト!?】学びを結果に変えるアウトプット大全|樺沢紫苑」もぜひあわせてご覧ください。


「集中力とは、才能ではなく、技術である」
樺沢さんは、集中力を生まれつきの資質ではなく、
誰でも鍛えられるものとして語ります。
ここで強調されるのは、集中力は有限であり、意識的に管理する対象だということです。
環境や時間を整えれば、その力は自然と引き出されるのです。
「集中力が高いと、すべてがうまくいく」
著者が繰り返し強調するのが、この好循環の仕組みです。
集中できれば、同じ仕事をより短時間で質高く仕上げられる。
残業が減り、心身の疲労も少なくなる。
趣味や家族との時間が確保され、リフレッシュが進む。
すると翌日の集中もさらに高まる。
このサイクルが繰り返され、成果が上がり、人間関係も円満に。
集中力は単なる生産性の向上ではなく、生活全体の充実をもたらす起点になるのです。
この視点は、ゾーンのような一時的な没入だけでなく、
日々の安定した集中にも当てはまります。
小さな達成感が積み重なり、自己肯定感が高まり、心の健康が守られる。
つまり集中力は「効率化の技術」であると同時に、
「幸福を支える基盤」とも言えるでしょう。
結局のところ、集中力を高めるとは、
自分の時間の質をデザインし、よりよく生きる循環を自ら創り出す行為ではないでしょうか。
成果と健康、そして人生の手応えを同時に生み出すこの力を、
意識的に育てていくことが求められているのだと思います。
ゾーンをいかに味方にできるか!?
集中力は脳科学的に言えば「前頭前野」の働きに依存します。
そこは「集中」「注意」「記憶」「判断」などを司る司令塔であり、私たちが日常的に発揮する高次な認知機能の中心にあります。
樺沢さんは、この前頭前野の働きが低下すると「感情や欲望のコントロール」が難しくなり、結果的にメンタルの不調へと直結すると指摘します。
「コントロール力がないとメンタルが病む」
これは現代的な病理でもあります。睡眠不足のままSNSやゲームに没頭すれば、前頭前野の働きは鈍り、感情の暴走や意欲の低下につながる。まさに「制御の喪失」が、不安や抑うつを深めてしまうのです。
興味深いのは、この論点が古代ストア派の思想とも響き合う点です。ストア派は「外界の出来事はコントロールできないが、自分の内面の判断と態度はコントロールできる」と説きました。つまり、心をいかに制御するかこそが、人間の幸福と自由を決定づける。
樺沢さんの言う「集中力=前頭前野のコントロール力」という視点は、この哲学的命題を現代の脳科学で裏づけているように思えます。
集中力を高めるとは、単なる効率化でも自己満足でもなく、外部の刺激に振り回されずに「自分の心を自分のものとして取り戻す」営みではないでしょうか。
ゾーンとは、普段以上の力を発揮できる特別な集中状態です。
仕事やスポーツなどで「完全に没入し、気がついたら何時間も経っていた」という経験は、多くの人にとって身近な現象かもしれません。
「夢中、熱中を超えた『没入』。時間を忘れるほど集中して、没入してしまう。それが、ゾーンです」
しかし、ゾーンは偶然訪れるものではありません。樺沢さんは、そこに入るための条件を「難易度」と「興味」のバランスに見出します。課題が簡単すぎれば退屈し、難しすぎれば不安に押しつぶされる。
適度なチャレンジが設定され、自分の関心や楽しさと結びついたとき、ゾーンは自然に開かれるのです。
ここには自己理解の重要性があります。自分がどんなことにワクワクし、どんな難易度なら挑戦したくなるのか。逆に、どんな状況では心が萎えてしまうのか。こうした自分の「集中の条件」を知ることが、ゾーンを再現可能にするカギとなるのです。
つまり、ゾーンに入るとは「外側から与えられる環境」に従うのではなく、「内側の自分を深く理解し、最適な環境を設計する」営みなのではないでしょうか。
集中力の先にあるゾーンは、単なる超人的な瞬間ではなく、自己理解と環境設計によって生まれる「人間の可能性の発現」だと思います。
大人の学びで、ワーキングメモリを鍛えよ!?
集中力を高めるもう一つのポイントは、「脳の流れ」を意識することです。
「入力 → 思考 → 整理 → 出力」
樺沢さんは、脳の働きをこの流れとして整理します。外部から情報をインプットし、それを材料に思考をめぐらせ、感情や考えを整理し、最終的にアウトプットへとつなげる。
この循環がスムーズに流れるとき、人は自然に集中できます。逆に、インプットばかりで整理や出力を怠れば、情報は滞留し、脳は疲弊してしまう。
ここに「集中力が続かない」理由の一端があるのです。
著者は『アウトプット大全』でも強調していましたが、集中力とはアウトプットまでを含めた循環が成立してはじめて持続可能になるもの。集中力は孤立した瞬間的な力ではなく、情報と感情を循環させるプロセスだといえます。
そして、この流れを回すためには、自分に合ったインプットの方法やアウトプットの形を知る、すなわち「自己理解」が欠かせません。
読書や学習のスタイル、思考の整理法、人前で話すか文章で表現するか──自分にとって自然なやり方を見つけることで、脳は軽やかに動き始めます。
結局のところ、集中力とは「自分の脳の流れをいかにデザインするか」にかかっているのではないでしょうか。
集中力を支えるもうひとつの鍵が「ワーキングメモリ」です。
これは脳の作業領域とも呼ばれ、情報を一時的に保持しながら同時に処理する能力を意味します。
「ワーキングメモリは集中力や脳の処理能力を大きく左右する要因のひとつである」
この容量が大きいほど、複雑な作業を効率よくこなせます。逆に容量が小さいと、少しの刺激で気が散りやすくなり、集中が続きません。
重要なのは、ワーキングメモリは年齢に関係なく鍛えることができる点です。最近の研究では、平均的に「3〜5項目」を保持できるとされていますが、意識的なトレーニングによって処理のスピードと正確さを伸ばすことが可能なのです。
その方法は、決して特別なものではありません。
- 7時間以上の十分な睡眠
- ウォーキングや自然の中での運動
- 読書や暗記、暗算といった日常の習慣
- ボードゲームや料理での段取り力の活用
- マインドフルネスによる「今」に集中する訓練
これらの習慣がワーキングメモリを刺激し、前頭前野の働きを高めます。結果として集中力は強化され、日常のパフォーマンス全体が底上げされるのです。
つまり、集中力を養うとは特別な才能を得ることではなく、脳の仕組みに沿った生活習慣を意識的に整えることだといえるでしょう。これは精神科医としての臨床経験と科学的根拠を重ねてきた樺沢さんならではの説得力ある視点です。
集中力を支える具体的な方法として、樺沢さんが強調するのが「記録する」ことです。
「言われた直後は誰も正しく記憶している可能性が高いので、その情報をきちんと書き残しましょう」
人の記憶は時間とともに急速に薄れていきます。
30秒後には内容が曖昧になり、3分後にはほとんど忘れてしまうことも珍しくありません。
だからこそ、記録は情報を保持するためだけでなく、集中を定着させるための技術でもあるのです。
さらに興味深いのは、「書く」こと自体が前頭前野を刺激し、集中力と記憶力を同時に高めるという点です。パソコンやスマホで簡単に入力できる時代にあえて手書きを選ぶのは、脳を活性化させる効果を知っているから。敏腕の記者や研究者が、今なおメモを欠かさないのもこのためでしょう。
つまり、記録とは単なる備忘録ではなく、集中力を引き出し、再現可能にするための最もシンプルな習慣です。メモを取るという一見地味な行為が、私たちをゾーンに近づけ、日常を少しずつ好循環へと導いてくれるのです。
集中力を養うことは、単なる仕事術や効率化の話にとどまりません。
それは、人生のどの段階においても自分を成長させ続ける「大人の学び」と深く結びついています。
「大人の勉強はワーキングメモリのトレーニングになる」
語学の習得や新しい知識の習得は、覚えることが多く、暗記や反復を通してワーキングメモリを鍛えてくれます。つまり、大人が学びを継続すること自体が、集中力を強化し、脳を若々しく保つ最良の方法なのです。
結局のところ、集中力を高めるとは「自分の脳を使いこなしながら、生涯を通じて学び続ける力」を手にすることではないでしょうか。
成果と幸福を同時に生み出すこの力を、日々の学びの中で磨いていくことが、現代をよりよく生きるための鍵になると思います。
まとめ
- 集中力は、めぐる!?――集中力をたいせにすることで、よりよい言動を誘発され、さらに自己肯定感を高めるため、ポジティブサイクルを誘発するのです。
- ゾーンをいかに味方にできるか!?――難易度や自分の好きなテーマを適切に設定することで、集中力を非常に高める活動が可能になります。
- 大人の学びで、ワーキングメモリを鍛えよ!?――大人になってからも学び続けることで、ワーキングメモリを増強し、集中力体質を目指すことができるようになります。
