GOALを描け!?『自分の変え方 認知科学コーチングで新しい自分に会いに行く』村岡大樹

自分の変え方 認知科学コーチングで新しい自分に会いに行く
  • どうしたら変化の時代をよりよく生きていくことができるでしょうか。
  • 実は、自分を絶えず変え続けていくことがポイントかも。
  • なぜなら、そうすることで、変化を味方にできるから。
  • 本書は、そんな、自分の変え方について考える1冊です。
  • 本書を通じて、自分という存在をもっと柔軟に、ポジティブに捉えるヒントを得ます。

絶えまない変化をもたらすには!?

村岡大樹(むらおか・だいじゅ)さんは、認知科学をベースとしたコーチングメソッドを実践・体系化しているコーチであり、企業研修や個人セッションなど幅広く活動されています。東京大学大学院で認知科学を専攻し、人間の思考や感情のメカニズムを探求。その学問的バックグラウンドを土台に、実践的な「変化の技術」としてコーチングに落とし込んできました。

現在は、組織開発や人材育成の現場で、科学的かつ人間的なアプローチを融合させた独自のスタイルで多くの支持を集めています。特に「自己認知」や「内的対話」の重要性に光を当て、他者との関係よりも先に「自分との関係性」に向き合うことを提唱しています。

また、本書『自分の変え方』をはじめとする一連の著作や講演活動を通じて、「人はいつからでも、自分を更新できる」というメッセージを発信し続けています。

村上さんは、認知科学をバックグラウンドに、コーチングで自分を変えていく支援を提供されています。

その中で学ばれた実践は、人間という生き物を捉えるということ。

それは、心と身体による基本構造をよく見つめることです。

自分を変え続けるというベースを手に入れるためには、自己理解と、目標設定が欠かせないといいます。

  • 自分自身を幸せにする要素を掘り出し、目指すべき方向を定めること。
  • そのうえで「今の生き方の外側」にあるGOALを設定し、そのGOALの自分になる。

このプロセスを経ていくことで、誰もが、自分の理想を思い描きながら、大胆な挑戦を続けていき、最終的に自分を絶えず変えていく習慣を手に入れることができるといいます。

大切なのは、GOALがいかに、それまでの自分の外側に及んでいるかということです。

例えば、「今の会社で、課長・部長を目指す」だと、それは、GOALがジャンプしていないで、結果的に自分を根本から変えていくことにはならないでしょう。

そもそもをよく考えることです、いまの会社と自分の関係性って、なんだっけ?とか、そもそも自分は社会や世の中とどのように関わっていきたかったんだっけ?とか、あるいは、自分がこれまで磨いてきた特徴特技って、ふと客観的に考えてみると何だっけ?とか、自分は何をしているときが、もっとも幸せを感じているのかな?などなど。

別人になるのではなく、自分の最終進化形態になる。

上記のような問いかけをしながら、まず自分の特性を主体的に引き出しながら、改めて社会や世の中との接点を見出してみることがGOALを抜本的に考えるヒントになります。

自分を大切に!?

人はだれでも、自分の特徴を持っています。それは、誰かが真似しようとしても真似できない、なにかです。ここに自分に自覚的になれているか、なれていないか、というのは、大きな分かれ道になります。

村岡さんのポケモンの事例は面白いです。ポケモンには、それぞれ属性というのがありますね。

「あなたはどんなタイプのポケモンですか?」

炎タイプ?水タイプ?草タイプ?──といった具合に、自分という存在をユニークな特性の集合体として捉えてみる。すると、たとえば自分が「草タイプ」だとしたら、「火に近づくとつらいけど、水辺ではのびのびと力を発揮できる」といった環境との相性が見えてきます。

ここで重要なのは、「火に強くなろう」と努力することではなく、「水辺でどう最大限の力を発揮するか」を考えること。つまり、自分の特性を無理に変えるのではなく、活かす方向で変化をデザインしていく視点です。

結局のところ、ヒトカゲが最も力を発揮するのは「ほのお」タイプの技「かえんほうしゃ」を放っているときなのです。

このようなアプローチは、一般的な「短所を克服しよう」とする自己改善の発想とは一線を画します。本書が提案するのは、よりラディカルな「自己を理解し、社会との接点を再編集する」という変化のスタンスです。

だからこそ、GOALを設定する際には、自分の“今”からあまりに近すぎる目標ではなく、「本当にそうなったらワクワクする」「ちょっと怖いけど、やってみたい」くらいのジャンプを必要とする未来を描くことが推奨されているのです。

大切なのは、「別の人」を目指すのがGOALではないということ。

自分自身の「進化系」を考えた先に、GOALがあるということ。

私達が、だれもが生まれ持った、特性、それは、無意識にも発揮されてしまう特別なもの、そうした能力を見極めて、知り、意識的に育てていけるかが、“本来の力”を発揮し、理想のGOALへと向かい、よりよい変化を自らにもたらしていくということになります。

コンフォートゾーンを再定義せよ!?

変化といっても、大切なのは、コンフォートゾーンの取り扱いです。

GOALを設定するということは、“現在の”コンフォートゾーンから外へ自分が出る!と想像しがちですが、そうではありません。

GOALの設定により、未来のコンフォートゾーンを“ずらす”ことで、今に違和感を感じて、思わず外に出てしまうような習慣を作るということが、GOALの本質的な目標になります。

以下を比べてみましょう。

  • 社員が数人しかおらず、売上もごくわずかな会社の社長
    (GOALから、見つめた時=臨場感を抱けない、自分にとって居心地の悪い現在)
  • 売上数兆円の世界的企業のトップ
    (GOALとの整合性=臨場感を抱くことができ、自分にとって居心地のよい未来)

例えば、この事例は、ソフトバンクの孫正義代表を模したものですが、見事に未来からのバックキャスティングで、現在のコンフォートゾーンがズレていることに気づきます。

まさにこの“ズレ”こそが、変化を引き起こす駆動力になるのです。

成功者はコンフォートゾーンが未来へズレている

「今の自分にとっての違和感」を意図的につくりだし、それをエネルギー源にして人は動き始めます。このとき、無理やり自分を奮い立たせる必要はありません。大切なのは、未来の自分が居心地よく感じている状態──つまり、新たなコンフォートゾーンに、ほんの少しでも“臨場感”をもてるようになることです。

この臨場感を高める手法として、本書では「映像記憶」と「身体感覚」の活用が紹介されています。

たとえば、未来の自分の姿を、まるで映画のワンシーンのように、できるだけ具体的に想像してみる──どんな場所にいて、何をしていて、誰と話していて、どんな声や匂い、感情があるのか。五感を総動員して、未来の自分の状態を描き出していくのです。

さらに、その状態において「どんな呼吸をしているか」「姿勢はどうなっているか」といった身体感覚に意識を向けることで、現在の自分との“違い”がよりクリアになります。

このようにして、未来のコンフォートゾーンのリアリティが高まれば高まるほど、今の自分が「居心地悪い」と感じる頻度も増していきます。その結果、自然と行動が変わり、変化が起こり始める──。

言い換えれば、自分を変えるとは「未来の自分のリアリティ」を上げていくことに他なりません。

ここで認知科学が活きてきます。

人間の脳は、「臨場感が高いもの」を“現実”として認識するという特徴があります。だからこそ、現状よりも未来のビジョンに高い臨場感をもてれば、脳はそちらを“今の現実”と捉え始め、無意識のうちにそちらに向かうように行動が変わるのです。

この一連の流れが、本書で語られる「変化の習慣化」のメカニズムです。

コンフォートゾーンについては、こちらの1冊「【“心地よさ”が最強の戦略!?】コンフォート・ゾーン|クリステン・バトラー,長澤あかね」もぜひご覧ください。

次回の投稿も引き続き、本書『自分の変え方』のレビューを続けていきましょう。

まとめ

  • 絶えまない変化をもたらすには!?――飛躍のGOALを設定することです。
  • 自分を大切に!?――“自分を軸”に、変化をドライブさせましょう。
  • コンフォートゾーンを再定義せよ!?――未来のコンフォートゾーンが今を引っ張り上げます。
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